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在野研究一歩前(45)「読書論の系譜(第二十七回):内村鑑三編『偉人と讀書 讀書に關する古今偉人の格言』(山縣圖書舘、1900)⑧」

 今回も前回に引き続き、内村鑑三編『偉人と讀書 讀書に關する古今偉人の格言』内で紹介されている、「偉人」の「読書」論を見ていきたいと思う。

ジェレミー・コリアー
「人常に讀むことに依りて賢くならんとせば是れ常に食して強くならんとするが如し。書籍をして吾人の用を爲さしめ、心に健全と活氣とを供せしむるものは、吾人の思惟と消化力となり」(P37)

ジェレミー・コリアーは、イギリスの牧師。ケンブリッジ大学卒業。王政復古期喜劇の不道徳性を攻撃したパンフレット『イギリス演劇の不道徳性と涜神に関する管見』によって論争を巻き起こしたことで知られる。
 ジェレミー・コリアーは語る。
 人が常に「読むこと」によって賢くなるのは、人が常に「食べること」によって身体を強くしていくことと同じである。私たちが「書籍」を通して、自分の心の健全と活気をはかる上では、私たちの物事を「思惟」する力と「消化」する力が大切になってくる。


ジヨセフ・アヂソン(ジョゼフ・アディソン)
「書籍は大なる天才が人類の爲めに遺せる遺産にして、代々に傳へらるヽものなり」(P39)

ジョゼフ・アディソンは、イギリスの文学者、政治家で、エッセー新聞『スペクテイター』の創刊者である。
 ジョセフ・アディソンは断言する。
 書籍は、大いなる天才が私たち人類のためにのこしてくれた、代々受け継がれていく遺産である。
 ―同意である。


ヘンリー・フィールヂング(ヘンリー・フィールディング)
「吾人が書籍の爲めに腐敗せらるヽは友人の爲めに腐敗せらるヽが如く易し」(P41)


ヘンリー・フィールディングは、18世紀イギリスの劇作家、小説家。小説『トム・ジョウンズ』で知られ、「イギリス小説の父」と呼ばれる。また、ジャーナリストとしても活躍し、当時のウォルポール内閣を批判した。その批判が一つのきっかけとなり、内閣は崩壊。その後、フィールディングは、ボウストリート治安裁判所の治安判事に就任した。
 ヘンリー・フィールディングは語る。
 私たちが書籍のために腐敗することは、友人のために腐敗することと同じくらい容易なことである。
 ―「腐敗」という言葉を使うと分かりにくいが、つまり、自分の身を犠牲にしてでも守る価値があるものとして「書籍」と「友人」を取り上げているということができる。

 以上で、「在野研究一歩前(45)「読書論の系譜(第二十七回):内村鑑三編『偉人と讀書 讀書に關する古今偉人の格言』(山縣圖書舘、1900)⑧」」を終ります。お読み頂きありがとうございました。


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