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一進一退

 ここ数ヶ月、「最近、〇〇さん、SNSの投稿とまってるな……」と心配していたら、数週間後に亡くなっていたことを知る、ということが続いていて、胸を痛めている。これは他人事ではなくて、実際に自分のSNSの投稿が数週間とまるようなことがあれば、同じような不幸に見舞われたと考えた方がいい。そんな風に考えると、ますますキリキリと胸の痛みが強まった。

 ときどき自分の書いたnoteの記事を読み返す。二日に一度の更新を、数年間続けていたら、記事の数も大分多くなって、「こんな文章書いたな〜。すっかり忘れてた」となることも増えてきた。
 同じ人間が書いた文章であるはずなのに、明らかに今の私とは違う考え方をしている。そういう気づきがあったりもする。あと、昔の私の主張の方が、今の私のそれよりも内容に深みがあると感じることがあり、喜ぶべきか悲しむべきか、心境は複雑だ。
 その複雑さの中には、人間の実像が垣間見える。人間は一方向に成長し続けるわけではなく、ときに後退したり、立ち止まったり、急に歩みをはやめたりする。
 数年間、記事の投稿を続けるだけでも、自分の趣向の変化が観察できた。今後も継続すれば、さらに面白い変化に遭遇できるかもしれない。

 冒頭で語ったことは、これまでのnoteでの発信に、新しい指針を加えることになった。
 ある日突然、我が身に不幸が訪れ、以降noteの更新ができなくなったとき、少なくともその時点までの数年間、私が普段どんなことを考えていたかを確認できるようにしておくこと。
 こう宣言したからといって、急に記事が舌鋒鋭くなったり、逆にマイルドになったりすることはないと思う。これまで以上に、誠意をもって執筆に臨む、これに尽きる。

「人生の本質的な問題は、次の点にある。今日が最初の日であるかのように、毎日、新しく生活を始めることーーしかし、一切の過去、その一切の結果、忘れられぬ一切の古いもの、それらを必ずそこに集めて、前提とすること。」
ジンメル著、清水幾太郎訳『愛の断想 日々の断想』岩波書店、P85)

 あえて今後のnoteでの発信、及び自分自身の生活に、一つ言葉を捧げるとすれば、このジンメルの言葉を真っ先にあげたい。この言葉通りに動くことができたとすれば、ある日突然この世からおさらばすることになったとしても、後悔をしなくてすむと思う。





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