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港町が育てた神戸のパン文化【フロインドリーブ】
近代、外国人居留地としてパンの製法がいち早く伝わった神戸に根付いたパン文化は、日本人にもなじむおいしいパンに昇華し、今も気鋭のパン職人を輩出しています。ベーカリーを舞台にした小説『真夜中のパン屋さん』の著者で、自身もパン好きの作家・大沼紀子さんがおいしいパンを求めて神戸を旅します。(ひととき2022年10月号特集「幸せをよぶパン ──パンで旅する京都と神戸」より)
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歴史ある京都の地で花開いているパン文化。しかし歴史を紐解けば、西のパン文化は神戸からはじまったようです。
神戸はいわずと知れた港町。今も残る北野の異人館街を訪ねれば、港町として発展してきた歴史に触れることができます。幕末・明治の激動の時代。しかし神戸の人々は、未知の世界からやって来た異文化を、恐れるのではなく好奇心と寛容さをもって受け入れ、楽しみ面白がり、取捨選択しながら取り入れていきました。そして独自の神戸文化を、しなやかに洒脱に築いていったのです。
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パンが刻む神戸市 フロインドリーブ
そんな神戸の地で、はじめて本格的なドイツパンのお店を開いたのが「フロインドリーブ」。創業は1924(大正13)年。初代オーナーはドイツ人のハインリッヒ・フロインドリーブ氏。14歳でパンの道に進んだ彼が、ベイカーとして来日したのは30歳の頃。第一次世界大戦終戦の翌年には敷島製パン所初代技術師長に就任。40歳で独立し「フロインドリーブ」をはじめました。
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フロインドリーブのパンは、お米のように毎日食べても飽きのこないパンを、という思いのもと作られています。まさに日々の暮らしに寄り添うパン。徹底した品質管理をモットーに、熟練した職人たちによって毎日手作りされており、親子4代にわたり通い続けるお客さんも多くいらっしゃるんだとか。そこには強いこだわりと、日本に根付くための柔軟性が。
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3代目に当たる社長のヘラ・フロインドリーブ上原さん曰く、「初代がパンを学んだドイツはハードパンが主流で、創業当時はお店に出すパンもハードパンがメインでした。しかし日本のお客さんからやわらかいパンも欲しいという声をいただき、今のソフトタイプのパンも作るようになったんです」
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ただしパンの製法は初代の味を守るため、創業当時から変えていないそう。特に窯は煉瓦窯にこだわっており、現在も電気窯にレンガを敷いた窯を使っているのだとか。
サンドウィッチをいただいて納得。雑味のないやわらかなパンは、毎日食べても飽きないシンプルで優しいどこかホッとする味わい。
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旧神戸ユニオン教会を改装した店舗の2階にはカフェも併設されており、パンメニューも充実。ゴシック建築の歴史ある建物でいただくパンには、また別の思いが募ります。現在の旧教会に店舗を構えるまでに、フロインドリーブは2度の移転を経験しています。1度目は第二次世界大戦の空襲による店舗の全焼、2度目は阪神淡路大震災による被害。しかしフロインドリーブはそんな困難を乗り越え立ちあがり、現在もパンを焼き続けているのです。
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人々の食卓においしいパンを届ける。そんな貴い信念が、そこにはあるように感じられました。
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──この続きは本誌でお読みになれます。おいしいパンを求めて全国から人が訪れる京都と神戸で、ひととき編集部が「このお店なら電車に乗ってでも訪れてほしい」と思う選りすぐりのパン店の歴史と技について、ぜひご一読下さい。パンと向き合い続ける職人たち、そして美味しそうなパンの写真の数々をご覧になれば、きっと幸せな気持ちになれるはずです。
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目次
●覗いてみたい 京都パンの世界
●パンで旅するにっぽん ご当地パン10選!
●港町が育てた 神戸のパン文化
文=大沼紀子 写真=佐々木実佳
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大沼紀子(おおぬま・のりこ)
作家。1975年、岐阜県生まれ。2005年に『ゆくとし くるとし』で第9回坊っちゃん文学賞を受賞しデビュー。真夜中にしか開かないパン屋を舞台にした小説で、ドラマ化もされた『真夜中のパン屋さん』シリーズは、累計150万部の大ベストセラーに。自身もパンが大好き。
*本特集では撮影のためにマスクを外しています
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