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雪かきフォーリンラブ

今日は、私の雪かきについての熱烈な思いを語る、雪かきへのラブレター(?)です。かなりうざいと思いますが、どうぞお付き合いください。

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冬の農閑期に入り、あっという間に2か月ほどが過ぎた。

このご時世だが、私の職場はテレワークできないので、今も基本的に週5で職場に出勤しているんだけれど、冬場は農作業がないため、ほぼデスクワークになる。

インドアなくせに、同じ場所に一日中じっとしているのが苦痛な私にとって、冬の期間はすごくつらい。『あ~~、動きたい~~~』という衝動にかられ、外に飛び出したくなる。

しかしながら。勤務中は『動きたい』モードなのに、やっと休みが来ると『家にこもりたい~~』モードに切り替わる。これは本当に不思議。なぜだろう。全く休みが取れない農繁期中は『冬になったらあれをしよう、これもやろう』と思うのに、実際に冬が来るとほとんど実行できないのと一緒である。

農業のオンシーズンは過剰なほどに肉体を酷使するため、冬くらいは休んでもいいんじゃない?と思う方もいらっしゃるかもしれない。だが、冬の数ヶ月間、完全に身体を休めてしまうとどうなるかというと・・・春、農作業を再開するときになって、めちゃくちゃ身体がつらいのだ。

雪が少なくて全く除雪しなかった昨年の私を例にとって見てみると、農繁期に比べ、運動量が減る冬場は体脂肪率が2~3%ほど増加していた。体重は年間通じてほぼ変わらないのに、体脂肪率だけが増加するということは、失われた筋肉が全て脂肪に変わっているということだ。

具体的にどのくらいの筋肉が失われているのかは定かじゃないが、単純に考えれば失われた分、農作業がきつくなって当然である。たかが3ヶ月弱怠けただけでこれとは・・・。恐ろしい。

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そういうこともあってか、雪国の農家さんは冬期間中も、何かしら身体を動かしている方が多い気がする。

冬場は農業収入がなくなるため、出稼ぎに出かけたりアルバイトをしたりしている方も多いし、お金に余裕がある人は、ゴルフの打ちっぱなしに行ったり、スノボなどのウインタースポーツに足繫く通ったり。じっとしている人は少数派である。まあ、農家を志す人でインドアな人自体が少ないと思うので、冬もアクティブに過ごす人の方が多そうではあるけれど。

じゃあ、私のようにお金もなく、日中は仕事で思うように動けない人間はどうすればいいのか。ご安心あれ。雪国限定ではあるが、冬の運動不足解消にうってつけのトレーニングがある。それは、除雪(雪かき)だ。

自分で人体実験(?)をしてみて思うが、雪かきをすると首から下のほぼ全ての筋肉を使うので、かなり優秀な筋トレだし、同時に有酸素運動にもなる。スコップやスノーダンプさえ持っていればお金もかからないし、最高のエクササイズと言えるのではないだろうか。

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スコップなどを使って、私が1時間雪かきを行った時の様子を思い出して実況してみよう。

まず、ゴムでできた冬用長靴を履いた足元は雪に埋まり、その時点で既におもりをつけているのと同じ。その状態で、数キロ前後ある雪のかたまりを適宜すくい、スコップで放り投げるかスノーダンプで数メートル先まで運ぶかして投棄する。

庭や道路が平坦でない場合は、坂道を何往復もすることになるので、足も使うし、スコップを振るう手は筋トレをし続けているかのような負荷を感じる。

雪かきを始めて10分後くらいには息が上がり始め、マラソンをしている時のように肺が痛くなってくる。最初は痛いくらい冷たかった手袋の中の指先が温まる頃には、上半身は汗だくになっており、動かし続けた手足はだるくて上がらなくなる。もう疲れた、身体が動かなくなってきた・・・となった頃合いで時計を見ると、ほぼ1時間経過。

この間、戯れに除雪のカロリーを調べてみたところ、「1時間きつめの雪かきをして、ポテチ1袋分くらい」らしく、運動強度を表すMETsはスコップを使用した雪かきの場合、6メッツとのこと。

1時間泳ぎ続けたり、バスケットボールをし続けたりすると考えたら、雪かきがいかに大変かが分かっていただけると思う。雪かきをしなかった昨年は、体重が変わらずとも、身体のシルエットや顔の輪郭がぽよんとしていたのに、雪かきしまくっている今年はわりとシュッとしたままでいられている。これはひとえに、雪かきをしているおかげだと思う。

私は腕力がないので、スコップを使った作業をすると腕と肩だけが筋肉痛になるのだが、背筋や体幹、足の筋肉は農作業でよく使うので、雪かきで酷使してもそこまでダメージを感じずに済んでいるのかもしれない。

農作業の中で、個人的に一番きついのはスコップを使った作業だと思っているから、足りない腕力を強化するためにも、私は雪かきを有酸素運動というより「筋トレ」だと思って行っている。

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これまで雪かきのよいところばかりを述べてきたが、正直、私も雪かきに辟易して、ネガティブな捉え方をしてしまう時がある。雪かきは、生活上必要な「しないといけないこと」だから、嫌でもやらないわけにいかない。ここが雪かきの一番つらいところで、1日に2回も3回も雪かきする羽目になり、心身が精魂尽き果てても、雪かきは「しないといけない」のである。

農作業をしている時もそうだが、疲れがたまると、たいていの場合ポジティブには考えられなくなるものだ。なので、ネガティブになってるな、と思ったらお風呂でしっかり湯船に浸かったり、なるべく早めに寝たりして調整する。

「しないといけないこと」だからこそ、私は雪かきを前向きに捉えるようにしている。「筋肉を鍛える」とか「農作業のパフォーマンスを上げたい」とか、自分なりの理由付けを行っているからこそ、雪かきという過酷な作業も楽しくやれているんだと思う。

そう、農業も除雪も、自然との戦いという点が共通している。自然という、人間の力ではどうにもならない相手だからこそ、争いたくないのだ。雪国は雪のせいで人気がないけれど、「楽しさ」もあるんだって伝えたいから。

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除雪(雪かき)に対する、私の愛憎入り交じる熱烈な思い、伝わりましたか?雪国仲間の方は、もう少しの間、ともに頑張りましょうね。雪のない地方の方は、今度ぜひ一緒に、雪かきに恋をしましょう。

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