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フリースタイル書評バトル第2回「出版芸人」ーNo.1『自虐の詩』

本と出会えるサイトホンシェルジュの新企画「フリースタイル書評バトル-芸人編-」。芸人におすすめの本を紹介し合ってもらう執筆バトルで、皆さまからの投票で連載権を獲得する芸人が決まります。(詳細は過去のnoteをご覧ください)

ホンシェルジュのサイト上にアップした本企画の記事ですが、このマガジン記事では芸人による作品紹介文の部分だけを読みたいという方向けに、1作品ごとに公開しています。

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No.1『自虐の詩』

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小説家になりたいなぁと思って定期的に小説を書いている。なので勉強も兼ねてそこそこ小説を読んでいるのだが、時折何のために本を読むのだろう?と考えることがある。そこそこのそれなりだから偉そうなことは言えないが、それでも僕なりに出した答えがある。

――本を読む前と読んだ後では違う人間になっているということだ――

何でもいい。「その本を読む前はリンドウという花の存在を知らなかったが、調べてみよう」とか「主人公の生き方がカッコ良かったから真似してみよう」とか、そんな程度で充分だ。

得るものがひとつでもあれば、儲けもんでなーんにも心が動かされなかったという本は山程ある。もちろんこれは僕にとっては、という意味で他の人にとっては人生で忘れられない本になることももちろんある。読む年齢や置かれた状況というのが大いに関係がある。なので心が動かされることがあればラッキー。タイミングもバッチリというのは奇跡みたいなものだ。

皆のタイミングに合うかなぁ? 合うといいなぁ。

僕が大学生の時にそれまで生きてきた人生観をグラリと根本的に、抜本的に、そりゃもうね、根幹ぐらぐらになるくらいの本に出会った。

しかも散々、小説の話をしていたのにオススメするものは漫画。しかも4コマ漫画。おまけにギャグ漫画だ。

業田良家先生の『自虐の詩』 。

最初はパラパラと流し読み程度に暇潰しとして読んでいた。はじめはというより上下巻の下巻の4分の3まで暇潰しとして読んでいた。しかし残り4分の1に差し掛かった時に気持ちは鷲掴みされるし、何度も戻り読みさせられるし、そのたびに気持ちを揺さぶられ、最後の頁をめくった時には、22歳の僕はうぉーと叫びながら大号泣していた。大号泣しながら上巻をもう一度読むと、このギャグは必要なひとコマだったのかーと突かれる思いをした。

『生きる』という意味のわからなかった僕は22歳でこの作品に出会えて本当に幸運だった。まさしく読む前とは明らかに違う人間になっていた。

僕にとってこれが読書の意味。皆さんにもぜひ体感してほしいし、願わくば『自虐の詩』を騙されたと思って、手に取ってください。

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■第2回「出版芸人」参加芸人

当記事は、こちらの参加者のうちの誰か1名が執筆したものです。

・芋洗坂係長 
・Hi-Hi 上田浩二郎 
・マシンガンズ 滝沢秀一 
・オジンオズボーン 篠宮暁

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