エッセイ ステインときどき近代文学の「歯」
ステイン~♪って歌うCMがあったね。
歯に最適解って、あるのだろうか。
結局は、ひとそれぞれ?
🦷
私は未だに歯磨き粉も歯ブラシも、なんなら磨き方の最適解も判然としないままでいる。
かつて学校の歯科検診で習った歯の磨き方を元に、歯磨きを続けていた。
歯間ブラシを使うようになったのは社会人になってから。
朝でいうと、鏡の前に立ち、眠たげな野暮ったい顔を半目で見つつ目尻の目ヤニを小指の背で取るところからはじまる。
朝のルーティーンの回では触れなかった朝の影の部分。
うがいをして、歯を磨く。
歯を清潔に保ちたい。
もちろん、色は白がイイ。
🦷
一方で、お茶好き珈琲好きにとって歯の“着色汚れ”というものは、なにかと気になる存在。
そういえば昔、「ステイン~」とご機嫌に歌い上げるCMがあったなァと、そんな想いを過らせた。
花王だったか、サンスターだったか。
どこのCMだったかいまいち思い出せない。
そんなステインを歌うCMのことを思い出しながらも、私は懲りずに今日も珈琲を飲んでいた。
いつものホットでね。
歯はだいじ。
着色汚れはこわい。
それはそれとして、珈琲紅茶は好きでやまない。
では、最適解とは?
とりあえず、日本歯科医師会のwebサイトを見て「正しい歯の磨き方」でも読んでみるかな……。
さて、ここからは歯にまつわる文学と文章の話について、珈琲を飲みつつざっくりと。
近現代文学から拾う「歯をどう見ていたか」。
晩秋の香りただよう夕の頃合いもとうに過ぎ去ってしまい、もっぱら冬の冷めた空気を感じ始めるころ。
夜、白いマグカップにフレンチプレスで淹れた珈琲を注ぎ、キャスターつきのチェアに腰掛ける。
ギッと、椅子の節々が私の体を支えて悲鳴をあげていた。
それに素知らぬふりをして、おもむろにマグカップを手に取り珈琲を口につけた。
「あっつ」
猫舌というよりも、唇に触れる熱がちょっとニガテ。
🦷
ともあれ、私は温もった珈琲を片手に一冊の本を開いた。
『人物表現辞典』。
例によって、今回も中村明先生の書籍。
名の通り、辞書。
この本には、日本の近現代文学で綴られた文章のなかで、人物の特徴や仕草、動作についての表現がさまざまな分類基準でまとめられている。
たとえば「目」。
眉、瞼、睫毛、瞳、目元、目尻などの類に分け、その特徴を記した文章を用例として載せている。
たとえば「体つき」。
大柄、小柄、長身、頑丈、筋肉質、肥、痩、など。
かつての文豪・作家たちが人体の特徴や仕草をどのように見て、どのように表現してきたかが体系的に学べる一冊になっている。
これが執筆の際にとても参考になるので、私はヒマができたらマーカーと珈琲を手元にこの本を紐解くクセをつけていた。
で、本題だが、もちろん「歯」の用例も存在した。
この「歯」の分類と例文を一部抜粋し、歯がどのように見られていて、どのように表現されてきたのかのエッセンスを抽出してみたいと思う。
用例「歯」。
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