最近の記事

今まで、いろんな人の喫煙習慣に触れたとおもう。私の父だって煙草を吸うけれど、私が吸っていることを知れば、きっと辞めたらどうと当たり前のような顔で言うと思う。私が初めて吸った煙草は当時のバイトの先輩におすすめされたウィンストンだった。その先輩は、バニラの匂いがするよとすすめてくれたのだけど、私には分からなかった。初めての喫煙体験を他の先輩に話したら、俺はこれだよと今度はメビウスのオプションパープルを一本くれた。きっとフレーバー民なんだろう、私はこれだと謎のうれしさを抱えて、一本

    • 夏も終わってく

      今年の夏はほんとうにいろんなことがあったと思う。ただひたすらに落ちていく日々もあれば、数日前のようなひたすらいい時間の日もある。夜部屋の窓を開けているだけで涼しい風が入ってきて、ああ、こうやって今年の夏も終わってくのかと思った。 3日前は最近バイト先で今までないくらい仲良くなった人と服を買いに高速を走らせ、行った。バイト以外での遠出は初めてだったので、会ってそうそう、緊張をほぐすために煙草を吸うためにコンビニに車を停めた。 たしか、8月の終わりに初めて会った人とも、会って

      • 踏み入れること

        前の彼と別れて2年と数ヶ月がたった。その頃からか、自分は人に踏み込むことが怖くなっていた。自分は一生悪いことはしないだろうって予感がしていたから、たいせつな人に対する自分の気持ちの変化に心底驚いた。浮気をしたなんてことはなく、ただの互いのすれ違いからの別れなんだけれど、その頃から、火の粉は降りかからない限りは払わないし、できるだけ火の粉の飛んできそうな場所へは足を踏み入れないようになっていた。 類は友を呼ぶというように、わたしが踏み入れないことで、もちろん踏み込んでくる相手は

        • お久しぶりです

          まだ暑いけれどそろそろ一つの季節が終わろうとしている。蝉の声も少しずつ減ってきましたね。 今まで過ごした散々な夜について綴ってみようと思います。 紅葉をみにいったことがある。 地元の有名な場所だったけれど紅葉を見にわざわざ行くのは初めてだった。 いくつか前のバイト先で出会ったひと。 どうして仲良くなったのか、もう憶えていない。 憶えているのは、そのひとの大きな車で、駐車場に停められなかったこと。 激混みな駐車場から、やっと空きを見つけたと思えば、それはずいぶんと端で、その

          水色

          夜明け前の薄暗い朝がすきだった。 薄暗い朝がすきだからこそ、本当にすきなひととしか見たくなかった。 薄い水色の空が地面も、わたしたちの顔も、長さの違う手脚も、厚さの異なる唇もすべて、薄い水色のような空色に染める。 水が怖かった。得体の知れない物、掴めないもの。 でも海の水はそんなわたしをこっちへおいでと誘うようにギラギラと水面を光らせている。 今年は海の誘いにのり、思いきり泳いでみたい。 小学校のころのすきな色。男の子はもっぱら青色ばかりで、女の子はピンクか赤。 わたしは

          また何処かで。

          スッと過ぎていく日常のなかで、気づいたら、彼を思い出すことは無くなっていた。いや、確かに思い出すことは無いに等しいけれど、今も何処かで飄々と生きてくれていればいいなと思い返すことはある。最後に会った時から4ヶ月が経とうとしている。4ヶ月もあれば季節は当然のように移り変わり、とうとう夏が来ようとしている。夏、夏がくる。そういえばふたりきりで会うようになったのは、2年も前のことか。2年というとなんだかとても長く感じるけれど、ふたりの時間はそこまで過ごしていないと思う。きっと指折り

          また何処かで。

          久しぶりに

           昨夜久しぶりに鮮明な彼の夢を見た。夢で来ている彼のシャツやデニムは全て想像のものであるくせに、あの頃の色褪せた合わせ方は残ったままのように思った。黒いシャツを着ていて、少しレディスライクだなと思った。いつしか日常に彼を思い出すことはスッとなくなり、お互いの世界から排除された。それでも優しい雰囲気は変わらないままで、夢でさえ優しい彼にもはや羨望の眼差しを送っていたような気がする。  朝起きて、ハッとなり、ああ今は2024年6月かとまともになりながら、久しぶりに会った嬉しさのよ

          久しぶりに

          18歳の誕生日

          過去の写真はパソコンにバックアップを取ったから、過去の人との写真、残っていた。なんだか懐かしいなとそんな軽い気持ちで眺めていたら、わたしが18歳の誕生日に彼からもらったLINEのスクリーンショットが残っていた。二人だけの思い出が書き綴られた文の終わりには、「一生」という言葉が使われていた。そのときのわたしは、一生という言葉を軽く信じていて、言葉の重みを知らなかったと思う。「ずっと」とか、「大学生になっても」とか、「あなたしかいない」とかね。 ほら、一生なんてないじゃん。ね。と

          18歳の誕生日

          ふたり乗り

          免許をとり、誰彼構わず車で色々なところに行く年頃はもう過ぎた。隣に乗せる相手は誰でも良いわけじゃない。バイクじゃなくても、車にたったふたりであればふたり乗り。前の車のブレーキランプでふたりの顔は赤く染まる。そんな時間帯になると、隣に乗る相手のことをふと考えてしまう。 あなたと海へ行ったときは、潮風がすこし肌寒くも感じられる夏の夜だった。遠くでは海で夜を越すのか、停泊中の船たちの光。そんな小さな光たちは、宝石のようにキラキラ輝いていて、私たちふたりを見ていてくれる。光は私達ふ

          ふたり乗り

          青春18✖︎2 君へと続く道

          青春18×2 君へと続く道 という映画を観た。余命10年の監督ということもあり内容が少し似ていたような気もするけど、それを抜きにしたらとても感動した。予告すら見ずに行ったけれど、案の定ぼろぼろと涙を流して観た。私の着ていた紺色のスウェットは涙のしみが出来ていた。映像がとにかく美しくて引き込まれた。この映画のサウンドトラックを聴きながら大学行きのバスの中でこれを書いているけれど、今も思い出して泣けてしまうくらい。映画の中のふたり。来世ではどうかふたりで、幸せになってくれていたら

          青春18✖︎2 君へと続く道

          私の幸せについて

          夜寝る前のベランダ、車を運転している時でさえ虫の鳴く声が聴こえる季節にだんだんと、なってきたことを実感しています。遠くに住むひとたちは、同じように実感しているのかなと考えています。あなたのことや、きみのことも、たまに思い出します。何故かそれがとても心地よく思えます。時間の流れを共にしていなくても、そこであなたたちが生きていること、たまに顔を見られれば、それってすごく幸せなことなんじゃないかなと思います。あなたと買いに行った服も、音楽も、きみとみた綺麗な空も、雨の音も。すべて美

          私の幸せについて

          言えるだろうか

          私は言えるだろうか、映画パスト ライブスのような、さよならを。同じ瞬間を過ごしたときにみた綺麗なピンク色をした空。急に降り出したかと思えばとてつもない量の雨。その雨を光がキラキラと照らし、宝石のようにみえた車の中。まるで車が宝石箱のように思い、宝石箱の所有主は隣でスースーと寝息をたてている。ここにいたら、その大事な宝石箱、壊れちゃうよといわんばかりの強い雨も、美しく見えた。写真をとっておいてよかった。たしかにそこに存在していた私たちの時間を、その写真は教えてくれる。でもすべて

          言えるだろうか

          映画 パスト ライブス/再会 を観て

          人との出逢いのすべてはタイミングだとよくゆわれる。恋愛においてもそうだとまさしくこの映画が教えてくれた。主人公の彼女と彼は幼少期を共にし、やがて彼女は言語すらちがう国へ移住した。彼は彼女のことを忘れられず、数年後再会を果たした。その再会は、ネット上のものであり、実際に会えるまで、7年~8年もの時間を費やした。そのあまりにも長い期間に彼女は結婚し、幸せであろう毎日を送っていた。私は彼に対し、彼があのとき会いに行ってさえいればとたらればを思った。きっと、違う土地で目標に向かって走

          映画 パスト ライブス/再会 を観て

          レモンシロップ

          ご近所さんにもらったレモンを水につけておく。その間、瓶を買いに出かける。納得できる瓶を買い、家まで戻るため車を走らせる。もうお昼の2時になってしまった。勝手にとても大切に思っている人と会う予定があるのに。そうおもいながら家に着く。レモンを拭き水気を取る。レモンを包丁で薄く薄く切り種を取る。レモンと、レモンの半分の量の砂糖を、買ってきた瓶に何層かに分けて入れる。10分もすればレモンの水分と砂糖が溶け合い、液状になる。そんなできあがったレモンシロップをみて、恋とどこか似ているよう

          レモンシロップ

          包まれて眠る

          はじめての部屋では、スッと眠れないことの方が圧倒的に多い。それでも、灯りを消し、あれ、誰かがわたしをその日の暗闇へ引っ張っていると気づいた。それは紛れもなく、横にいたあなただった。パーマの残りで、すこしだけ、くしゃくしゃした、かみのけ、ほそくて、長い手脚をもつひと。 もしかして、眠れないんじゃないの?という懸念が生まれた時点でわたしの負けであって、それはどんどん部屋全体に広がっていって、わたしはそれに覆われて、押しつぶされてしまうような。 あなたの部屋の、あなたの腕の中で

          包まれて眠る

          拝啓 きみへ

          あなたと別れ、車を走らせる。君島大空と塩塚モエカのうたうサーカスナイトを聴く。幼気なわたしは歌詞を噛み締めながら、泣かないように必死に、とにかく必死に煙草に火をつける。近くのコンビニに車をとめ、車にもたれながら吸う。 みつめあったときの彼の目をおもいだす。彼の目に、わたしすら知らないわたしの奥をみつめられている気がするから笑って誤魔化している。まっすぐすぎる目がわたしには手に負えず、すこし心臓に痛みが走る。その痛みを癒すかのように触れるから心地が良いのだろう。 わたしは彼

          拝啓 きみへ