書を読んで、旅へ出よう #1
こんにちは。
ひるねこBOOKSの小張です。
先日の「ついたち報」でのご挨拶が先になりましたが、これから月に一回程度、本の紹介や本にまつわることを書いていきたいと思います。
本の良さや魅力はいろいろとありますが(とても語り尽くせませんね)、その一つは「行った事のない場所や時代にトリップできる」という面白さではないでしょうか。
ページを開けば飛び込んでくる絵や風景、そしてそこに綴られた文章・物語は、読み手を地球上(時には宇宙の彼方まで!)のあらゆる所へ連れて行ってくれますし、現実では体験できない何千・何百年前の遠い昔や、はるか未来の世界まで誘ってくれます。
昨年から続く“非日常”の社会は、私たちの足を止めてしまいました。
旅行どころかちょっとした遠出さえ憚られるような今の状況です。
だからこそ本の世界に飛び込んで、今まで頻繁に訪れていた近くのあの町、
そしてまだ見ぬ遠くのあの場所へと、想像の翼を広げて飛び立ってみませんか。
本を通して、そんな「旅」のお手伝いが出来ればと思います。
前置きが長くなりましたが、第一回はひるねこBOOKSのある町、「谷根千」です。
東京の台東区と文京区にまたがる「谷中」「根津」「千駄木」(頭文字をとって谷根千)は、メディアでもよく取り上げられていますし、この記事を読んでくださっている方の多くはお越しになった事もあるでしょうから、「今さら?」と思わなくもないのですが、この地で店を営んでいる私自身も実はまだまだ知らない事ばかり。
奥深き谷根千の町を楽しんでいただける3冊をピックアップしました。
①南陀楼綾繁 著『新版 谷根千ちいさなお店散歩』(WAVE出版)
「谷根千」エリアは、ノスタルジックな町並みと、そこに点在する小さくとも個性のあるお店が人気。古くからあるお店と、新しく始めたお店がバランス良く集まっています。
雑貨店、パン屋、カフェ、ギャラリー、本屋……。どのお店・場所にも物語があり、縁があり、人がいる。一度は訪ねて空間に身を浸し、話をしてみたいところばかり。谷根千散策には必携の1冊です。
②谷根千工房 編著『ベスト・オブ・谷根千』(亜紀書房)
そもそも「谷根千」という愛称が付いたのは、地域雑誌「谷中・根津・千駄木」から。1984年に生まれたこの雑誌は、地域に住む3人の母親たちが立ち上げ、25年間に亘り「まち」や「ひと」を記録し、記憶を繋いできました。本書はその中から特に興味深い記事を選んだアンソロジー。
「私たちの街には東京には珍しい自然−−樹々や鳥や風と、戦災・地震に耐えた建築物、史跡、そして形にはならない暮らしぶり、手の芸、人情がまだたっぷり残っております」。
③森まゆみ 著 『谷根千のイロハ』(亜紀書房)
上記の「谷根千」立ち上げメンバーにして、この地域に関するあらゆる書物を執筆してきた“生き字引”でもある森まゆみ氏が、2017年ごろから歩き直した谷根千の町。弥生式土器が発掘された弥生町、江戸将軍家の菩提寺・寛永寺と上野、鷗外や漱石が暮らした千駄木、遊郭があった根津と権現様……。
古代からの歴史を丹念に辿りながら、現在の谷根千へと橋渡ししてくれるような本書。「これからの町は、これまでの町を無視しては考えられない」。よく知っていたはずの景色が、違った色合いを帯びて見えてくるかも。
いかがでしたでしょうか。
初回という事もあって少し長くなりましたが、束の間の小旅行気分を味わっていただければ嬉しいです。この続きは本で楽しみ、そしていつか訪れる日を待ちましょう。
これからも全国各地、そして日本を飛び出して世界のあちらこちらにお連れしたいと思います。
ひるねこトラベル、今回はここまで。
また次の場所でお会いしましょう。
この記事を書いた人
小張隆(書店店主)
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