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塵が積もっても山にならないと思っていた

「何においても形になるのは5年後だと思ってやっている」とある方がSNSで言っていたの聞いて、碇を下ろして動けなくなっていたその時の私の心がふっと軽くなって動き出した感覚を鮮明に覚えている。

きっとずっと長いこと私は、「早く」「多く」「高く」進むこと、結果を出すことが全てだと思い込んでいたのだと、この時に改めて気づくことができたらしい。フリーで仕事をしてきたことも大きく影響しているのか、今すぐに売上を上げるためにはどうしたらいいか、できるだけ早く多くの人に認知してもらうにはどうしたらいいかを永遠に考えていたように思う。そしてその方法を知ってるビジネスコンサルに出会えばその方法を教えてもらい、実践する。そして一時的にちゃんと結果を出す。これを繰り返していたように思う。

しかし、これはいつも失敗に終わる。今までのコンサルさんたちは本当に一生懸命向き合ってくれたし、おかげさまで私は自分で自分が稼ぎたいと思った時には間違いなく稼ぐことができるという方法は身につけられたのだと思う。とてもとても感謝している。ただ、この動きをすることが私にはかなりの副作用を及ぼす。「続かない」ということだ。

そりゃそうだ。そもそも「続く前提」で取り組んでいないのだから。「早く」「多く」「高い」結果を出すための手法を教えてくれる人から、私はそれを学んでいたし、実践していた。来月〜万売り上げるためには、今月を超えて来月結果を出すためにはと動いていたことで、完全にバテてしまい、継続できずにきた。(もちろんその時その時取り組んできたことは間違いなくやりたいことだったのはとても有り難かったのだけれど。)こうして何かに取り組んだ時、右肩上がりどころか、直角上りを繰り返すことで、数年先も続けるイメージが一切湧かなかったのが本当のところだった。

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ゆっくり、丁寧に、無理なく、取り組む。そして着実に、一段一段積み上げるように結果を残す。そんなことができたらいいなあと、バテバテになりながらも心の底では望んでいたのだろう。そんな時にこの「5年前提」の話を聞いた私は、あまりにも単純でシンプルな一言に「あ、そっか。5年かけていいんだ。」とストンと肩の荷が下りたのがわかった。

何か新しいことを始める時もそうだ。やったけれど、始めてみたけれどすぐに結果に繋がらなかったらどうしよう、たくさんの人に認めてもらえなかったらどうしよう、なんだか恥ずかしい、そんなことを考えては不安に飲み込まれそもそもスタートさえ切れない、そんなこともしょっちゅうだ。でも、これも5年前提であれば話は別だ。始めてすぐに結果を期待するからこそ結果が出なかった時に落ち込んでしまったり、やっぱりダメかと諦めてしまうけれど、最初から結果なんか出るわけないし気長に気軽にやりましょ、くらいで始められたら、きっと5年も経たないうちに何かしらの結果は出始めたりするもの。

塵が積もっても大した山にはならないと私はずっと思い込んでいたけれど、むしろなるのだろう。そしてその山の方が、きっと崩れにくい。丁寧にゆっくり時間をかけて自然に積み重ねることが、確固たるものを造る。

小さな一滴がいずれ大きく岩を削っていくように、小さな微生物が地道に発酵するように、はたまた毎日のちょっとしたおやつがお腹周りに蓄積してしまうかのように。ゆっくり、少しずつ、丁寧に。長い年月をかけた小さな小さな積み重ねは、間違いなく大きな「何か」となって返ってくる日が必ずくるのだろう。

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