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君は美しい(完結)

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とあるカリブの国を舞台にした、恋愛小説。 すべて無料です。
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2017年6月の記事一覧

君は美しい(第十夜)

君は美しい(第十夜)

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(私だけは、彼の気持ちを信じる)

そう決めたら、もう迷いはなかった。

ヒロミのメールはショックだったが、おかげでかえって気持ちが固まった。

インターネットルームを後にし、簡単な朝食を食べて部屋に戻る。

今日の服は、迷った末にピンクのレースがついたキャミソールと、ミニのフレアスカートにした。

スカートは日本だったらぜったいレギンスを履きたい短さだが、この国で

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君は美しい(第九夜)

君は美しい(第九夜)

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「......」

カラのサイフを見たときの気持ちを、どう言えばいいのか。

iPhoneのときよりも冷静だったのは、どこかで(やっぱり)という気持ちがあったからかもしれない。

でも、この出来事をどう感じたらいいのか、心が迷っている。

頭が真っ白のまま、ふらふらとベッドに腰かけ、パタンと横になった。

さっきまでネスティの肌を感じながら寝ていたのに。
今はひとり

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君は美しい(第八夜)

君は美しい(第八夜)

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「大丈夫。私、持ってる。心配しないで」

お金なんて、どちらが払っても同じことだった。
それより早く二人きりになりたい。

ネスティはそんな私を見つめ、口を開いた。

「ダメだよ、ノリコ。それはできない」

「どうして」

「君に迷惑をかけたくないんだ」

「迷惑だなんて...」

どう言えばいいだろう。なんて言えば、彼のプライドを傷つけずに受け入れてもらえるだろう

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君は美しい(第七夜)

君は美しい(第七夜)

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「ゆうべはよく眠れた?」

抱きしめた体をそっと離しながら、ネスティが聞いた。
夢中でうなづいて、彼の顔を見る。

(来てくれた)

よかった。

(信じてた)

その笑顔を見ただけで、全身の細胞がふにゃふにゃになる。

今日のネスティは、黒いTシャツに白いパンツ姿で、それがコーヒー色の肌に似合ってまぶしい。

私の白のショートパンツとペアルックみたいなのが気恥ずか

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君は美しい(第六夜)

君は美しい(第六夜)

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薄く目を開けると、窓からのまぶしい光が目を刺した。

「んん…」

昨夜ベッドに倒れ込んだまま、夢も見ないで寝ていたらしい。

両腕をついて、ゆっくり体を起こす。

「いたたたた…」

腰がどっしりと痛重くて、すぐには立てない。よつんばいで少しじっとしてから、そろそろと起き上がった。

「あ~…」

(筋肉痛だ)

ちょっと笑ってしまった。日本にいたときは、自分にこ

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君は美しい(第五夜)

君は美しい(第五夜)

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こんなにも体が誰かを求めるのは、生まれて初めてだった。

ネスティの、短いけれど柔らかそうな髪。

美しく伸びたまつげ。

熱い瞳は、月の光を反射してゆれている。

まっすぐ通った鼻すじ。

薄くて甘い、その唇。

たならまく魅惑的な匂いのする、首すじ。

しっとりと汗ばんだ厚い胸板。

ピンと立った乳首。

呼吸に合わせて動く、引き締まったお腹。

おへその下から

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