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2022年最も記憶に残った「飼い慣らされない」ということ

"「本当の」わたしに会いに行く"(原題UNTAMED)

グレノン・ドイル 著

まさかこの本について自分がnoteを書いてなかったとは、と驚いた。
昨年読んだ文章の中で一番強烈で、それでいてまだまだ消化しきれていない。

けれど、男女問わずとにかく一度は読んでみて欲しい。


著者のグレノン・ドイルは元々人気ブロガーで、摂食障害やアルコール依存症ドラッグ依存症を克服した過去や、夫の不倫による夫婦の危機、そしてそれを乗り越えたことなどについての回顧録を二冊出版している。

今作はその後の人生の劇的な変化について書かれている。



グレノンは夫婦の危機について書かれた二冊目の広報活動中にアビー・ワンバックという女性と恋に落ちる。(アビーはアメリカのサッカー元代表選手)

恋に落ちたこと、離婚、パートナーシップ、家族関係、子供を育てること、仕事、宗教、政治など様々なことを通してグレノンが自分自身と向き合っていく過程や、悟ったこと学んだことが書かれている。


フェミニズムが軸にあるので、暑苦しくないというと嘘になる。

理解出来なかったり共感出来ない部分も沢山あるけれど、誰が読んでもひとつは心に深く突き刺さるところがあるはず。


原題のUNTAMED(飼い慣らされない)というのは、プロローグでグレノンがアビーと子供達と一緒に行った、動物園の小さな柵の中にいるチーターの話からきているのだろう。

チーターのタビサは野生の世界を知らず、薄汚れたウサギのぬいぐるみを取りに行く芸をすることでステーキを貰う。
そしてまた柵の中へ戻される。

タビサが"野生"というものを知れば、飼育員や観客たちみんなをズタズタに出来てしまう。
けれどタビサは野生を知らず、飼い慣らされている。

グレノンはそこに世間の風潮や圧力によってほとんど飼い慣らされてしまっている自分(たち)を重ねた。
(タビサは小さな柵の中ではなく野生を知ってみたいかも?とグレノンが想像するのは理解出来る。けれど私は人間の言葉を話せない動物の気持ちを勝手に代弁したり想像して可哀想だと仮定して扱うのは本当に好きじゃない)


そして飼い慣らされず"自立したひとりの人間としてこの世界で生きること"が一貫したテーマだと感じた。

これほど難しいことはないと思う。
自分で稼いだお金で基本的な生活が出来ていればそれが自立なのだろうか?


『安定した精神を保ち人や物の何にも依存しない。
自分の考えや信念をしっかりと持ち、主張も拒否も出来て、柔軟に人の意見も受け入れられる。
他人からのジャッジの目や筋の通っていない批判に影響されない。』

私はこれこそが真の自立なのではないかと思う。

男女問わずみんなが他人の目を気にして、〜〜らしい言動をしなくては、というストレスを抱えているのに、自分自身も誰かをジャッジする側になっている。
それさえ辞めてしまえば色んなことが解決するのにも関わらず。



特に心に残ったことは二つ。

一つ目は自分のKnowingに問いかける、ということ。
私が思うにこれは自分自身と対話するようなもので、悩んだ時は周りからの影響を排除した本当の自分の心の声を聞くこと。

妥協の積み重ねは思った以上に負荷がかかる。
誰かに配慮して妥協した判断を下さないようになれば、心が軽くなる。

誰にでも出来るとても素敵なことだと思う。



そして二つ目。

それは「人か自分自身のどちらかをがっかりさせてしまうような決断をしなくてはいけない時、常に人をがっかりさせる方を選ぶ」ということ。

なんだか聞こえが悪いけれど、要は自分を尊重して生きよう、ということ。


決して簡単ではないけれど、これも誰にでも出来るとても素敵なことだと思う。




最後に。

「私は大事な娘のためにこの結婚を続けている。だけど私は大事な娘にこんな結婚を経験させたいと思う?」という一節がある。

これは色んなことに置き換えることが出来ると思う。

私はこれから先、何度もこの言葉を思い出し自分のKnowingに問いかけるだろう。

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