その濃厚な匂いはあの世からの囁きか ~ 「真夏の夜の匂いがする」 あいみょん
真夏に咲いて、濃厚な匂いを放つ花。
家の庭先や、近所の垣根や茂みの中、仕事帰りの夜、おもわず足を止めてしまうくらいの濃厚な香りが、蒸し暑い真夏の夜の空間に漂っています。
それは、我々を異空間へ誘う香。ジャスミンの香です。
ジャスミンの種類にその名もナイトジャスミンというものがあります。漢字だと「夜香花」「夜香木」。アジアには広く群生しているようです。
たしか、水木しげるさんの漫画にこんな場面がありました。
戦時中、東南アジアの密林の中で敵兵を認め、おもわず崖の茂みにぶら下がって隠れた兵士の話。。手が疲れて限界が、、、というときに、漂ってきたのは、ナイトジャスミンの香。というくだり。
この花は真夜中に咲く花。闇夜の中でも、薄ぼんやりと白い花びらが浮かび上がるという、まさに幻想的な風景だったようです。戦時中ですから魂の具現化のようにも見えたでしょうし、香りと共に記憶にのこる景色だったのではないでしょうか
古来より夏は、お盆の時期であの世とこの世が結ばれる時期ですから、夏の夜は、なにか霊的な物と合わせて語られることが多いです。ジャスミンの香りは濃密であるがゆえに、人の心になんらかの諍いを引き起こしていくのでしょう。
「真夏の夜の匂いがする」というタイトルを見たときに感じたのがジャスミンの香り。誰かにぐぐっと引き寄せられてしまうのも夏の夜の夢ならば、何者かが心に忍び寄ってくるのも夏の夜の夢。
こういった経験は、現世を生きる我々に、あちらの世界の存在を忘るなという戒めなのかもしれません。
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