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「希望を持ち続ける女性の姿」を描いた作品 ~ クリント・イーストウッド監督「チェンジリング」(アメリカ映画)

この映画の主題はタイトル直訳の「取替え子」ではないですね。権力の恐ろしさと、それに立ち向かう力強さでもない。

一番の主題は、「希望を持ち続ける女性の姿」を描いたということでしょう。

時として権力は、ここまで暴力的になるのかと、映画を見ていて、正直うんざりしてしまう。映画「アンタッチャブル」のアルカポネと結びついていた裁判官や、映画「ザ・ファーム 法律事務所」の腐敗した弁護士の姿が思い浮かびます。

これに対して、声を上げて抵抗していく神父。

彼が主人公の女性を後押しする形で、権力VS一般市民の構図が出来上がっていきます。

嬉しく思うのは、腐敗した制度を許した国でありながら、その腐敗した制度それ自体を否定する力がかの国に残っているということでした

サンドラ・ブロックの「インターネット」やウィル・スミスの「エネミーオブアメリカ」といったフィクションだったら制度自体を否定する力の存在自体も虚構だったってことになって救いようがなくなってしまいますが、現実は、まだ捨てたものじゃないということでしょうか。

とはいえ、女性が権力に勝利したとしても、息子は戻ってこない。ラストの方で聴衆はその現実と向き合わざるを得なくなる。

ただ。

同時期に失踪していた子供が保護されることで・・女性に生きる希望が沸き起こってくる

それは、可能性の限りなく低いものかもしれない。でも、彼女にとっては暗闇に光を照らす希望に他ならない。

その後の彼女の軌跡は描かれないですが、この光をきっちりと携えながら歩んでいっていたはず。そこに、無償の愛情を感じてしまうし、勇気をもらったような気がします。

目を背けたくなる現実のなかで光を持ち続けることの重要さを確かに感じることのできる映画でした。


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hisataroh358
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