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大乗仏教 空の思想

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#ブッダパーリタ

【大乗仏教】背理法(帰謬法)

【大乗仏教】背理法(帰謬法)

中期中観派に入る前に「背理法(帰謬論証)」と「古代インドの論理学」に少し触れておきたいと思います。今回は「背理法(帰謬論証)」を見ていきます。龍樹後の中期中観派の仏護(ブッダパーリタ)が帰謬法を用いて龍樹の説法を論理的に説明しようと試みます。

○背理法(帰謬法)
ある立言$${r}$$が真であることを証明したい時、まず$${r}$$が偽であるとする非$${r}$$、つまり$${\bar r}$$

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【大乗仏教】中期中観派

【大乗仏教】中期中観派

龍樹の論理が古代インドの論理学(ニヤーヤ学派やディグナーガの論理学)で表すことのできない異質的なものであったことは、五世紀以後の中期中観派にとってはかなり困ったことになっていました。この時代のインドは論理学と認識論が哲学の主流となってきた時代でもありましたので、中観派も自己の哲学思想を主張して他派と論争するためにも、その教義を論理的に発表しなくてはならなかったのです。

中期中観派の中では帰謬論証

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【大乗仏教】仏護の帰謬論証

【大乗仏教】仏護の帰謬論証

今回は、中期中観派の帰謬論証派である仏護(ブッダパーリタ)の理論化例を見ていきます。帰謬法(背理法)については、下記の記事をご参照下さい。

仏護は、龍樹の「アートマンに関する同一性と別異性のディレンマ」を次のように置き換えています。

仏護は、龍樹のディレンマの二つの選言肢の一つずつを帰謬法で論証しています。彼自身は帰謬を論証式として陳述しなかったのですが、あえて形式化すれば、第一と第二の帰謬式

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