第5章|建築家のビジョンと写真家の役割
建築家は人々の生活を見据え、住空間や公共空間を設計します。その背景を無視し、ただ構造美や素材の魅力のみを追求することは、建築の意図を一面的に捉えるにすぎません。建築写真は、人の気配やその場のスケール感を映し出すことで、空間の魅力を伝える役割も持つべきです。しかし、多くの場合、写真家はシャッターを切る瞬間が役割の終わりであるかのように振る舞い、そこに生きる人々の存在を意図的に取り除くの傾向があるように思います。エルウォールの著書『Building with Light: The