【量が多い少ない?】月経量と体質の関係
中医学では、月経の量を観察することで体質を診断する手がかりが得られるとされています。今回は月経の量についての詳しい説明をしていきます。
月経量の個人差と重要性
中医学では、月経の量は女性の体質や健康状態を反映する重要な指標と考えられています。しかし、月経量には個人差があるため、一概に「多い」「少ない」と判断するのは難しいです。そのため、自身の過去の月経量と比較して明らかに変化がある場合に注目することが大切です。これにより、自分の体調変化や体質の傾向をより正確に把握できます。
月経量と体質の関係
月経量が多い、または少ない場合には、それぞれ異なる体質が関係していることが多いです。
【量が多い場合】
特徴: 経血量が多く、ひと月に2回月経が来ることもある(周期が短い)。
関連体質:
気虚(ききょ): 体を支えるエネルギーである「気」が不足している状態です。気が不足すると、血液をコントロールする力が弱まり、経血が多くなります。
症状の例: 疲れやすい、動悸、めまい、息切れなど。
血熱(けつねつ): 血液が熱を帯びている状態です。熱が血液を乱し、月経量が増えることがあります。
症状の例: 顔が赤くほてる、のぼせやすい、皮膚の乾燥やかゆみ、炎症が起きやすいなど。※酒さなど
【量が少ない場合】
特徴: 経血量が少なく、2~3ヶ月に1度しか月経が来ないこともある(周期が長い)。
関連体質:
血虚(けっきょ): 血が不足している状態です。血が不足すると、体内の栄養や潤いが不足し、月経量が減ります。
症状の例: 髪がパサパサする、爪が割れやすい、立ちくらみがある、肌が乾燥する、生理の時に体調が悪いなど。
腎虚(じんきょ): 腎の機能が弱っている状態です。中医学では腎が生命エネルギーを司っており、生殖機能や血の生成にも深く関わっています。腎が弱ると、血を作る力が低下し、月経量が減少します。
症状の例: 体が冷えやすい、疲れやすい、むくみがある、腰が重い、老化の進行が早いなど。
気血同源の考え方
「気血同源(きけつどうげん)」とは、気と血は同じ源から生まれ、互いに影響し合う関係にあるという中医学の基本概念です。例えば、気が不足すると血の流れを制御できず月経量が増えることがあります。一方、血が不足すると、全身に十分な栄養が行き渡らず月経量が少なくなります。このように、気と血のバランスが月経量に大きく影響を与えます。
※月経により血が減ることにより気も減ってしまいます
体質を総合的に診る方法
中医学では、月経の量だけで体質を診断することはしません。他の症状や生活習慣、体調の傾向などを総合的に判断する「弁証法(べんしょうほう)」を用います。例えば、月経量が少ない場合には、次のような症状を一緒に観察します。
髪や爪の状態: 髪がパサつく、爪が割れやすい場合は血虚の可能性が高いです。
※血が足りてないので、肝と関係がある爪が(五行色体表より)割れやすくなる。髪は血のあまりなので、髪に栄養が届かなくパサつく。体調の変化: 立ちくらみが多い、生理の時に特に体調が悪くなるなど。
全身の冷え: 手足が冷たくなる、体温が低いなどは腎虚のサインかもしれません。
判断の難しさと実際の観察
月経量や色の判断は主観が入りやすいため、正確に評価するのが難しい場合があります。例えば、「量が多いか少ないか」を自分一人で判断するのは難しいことがあり、そのためにも過去の自分と比較することが重要です。加えて、髪や肌の状態、疲労感、冷えの有無なども含めて総合的に考えると、より正確に体質を把握できます。
これらの情報をもとに、必要に応じて生活習慣の改善や中医学的な養生法を取り入れることが大切です。