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不眠症がなかなか治らない

わたしは中途覚醒が多く、10時に就寝してからわりとすんなり眠れる、しかし夜中の0時とか1時代に目が醒めて、そのあと寝付くのに時間がかかったりする。
 あるいは入眠障害がひどい日もある。昨夜は入眠障害がひどく、2時とか3時すぎにようやく眠れた気がする。就寝する前にあれだけ強い眠気を感じていたのに、いざ眠ろうとするとまったく寝付けない、ということがある。入眠障害はとくにつらいものだが、いちばん酷いときにくらべたら、これでもまだマシなのかなと思う。

一昨年の秋から突然症状が現れた。一睡もできない日々がつづき、仕方なく受診して薬に頼った。仕事は休み、そして退職し、ほんとうに辛い日々だった。原因はもちろん分からない。たぶん「コロナワクチン接種に関連した急性の睡眠障害」だったんじゃないかと疑っている。
 いまでは苦労のすえに睡眠薬を減薬・断薬したけれども、一年以上たってもまだこの有り様である。

眠れない日は、だいたい体温が上昇していて、布団の中に熱がこもっている。眠るためには深部体温を下げる必要があるから、日中運動したり、寝る前に風呂に浸かったり、冷水シャワー浴を続けたこともあった。しかし実際のところ、あまり効果はないように感じている。
 何度も時計をみて、こんな時間なのにまだ起きている、と不安と焦りを募らせる。不眠と付き合ってきて分かったのは、どんなに眠れない日でも朝方は眠れることが多いことだ。その時間帯は、深部体温がもっとも下がりやすいのだろう。

睡眠は自分の意思ではコントロールできない。今日は何時間眠ろうとか、何時に意識を失って眠りに入ろうとか、そういうことは自分の意思ではコントロールできない。したがって、睡眠について思い悩むのは無意味で、むしろ害のほうが大きいといえる。
 自分にできることといえば、せいぜい生活を整えることぐらいだ。

睡眠について医師や医療の言うことが、まったくクソの役にも立たないことは経験的によくわかった。また、ネット上の記事には「不眠症を放置すると危険」と、いたずらに不安を煽るようなものが多い。
 しかしすでに述べたように、睡眠について個人にできることはほとんどない。睡眠は自分の意思ではコントロールできない。眠れないことよりも、そういう不確かな情報を読んで、眠れないことを気に病む方が問題だと思っている。

たとえば、ツイッター上に「不眠症のshin」という方がいる。この人は、デパスやハルシオンほか、何種類もの向精神薬に十年以上も依存し、最終的に精神科医に見切りをつけて自分で断薬したという人物である。
 shinさんは断薬してから何年もたつのに、いまだに“絶不眠”の症状に苦しんでいる。不眠症はかんたんに治せる単純な病気ではないのだ。
 最近は、睡眠に効くという謳い文句で乳酸菌飲料が売れているが、そんなんで睡眠が改善することはないと思う。

他人の経験を参考にしたいと、不眠症の体験記を読んだことがあるけれども、こちらもたいして参考にはならなかった。たとえば、結城真子の「睡眠障害は治さない!」や、椎名誠「ほくは眠れない」とかである。
 この二人の作者の残念な点は、睡眠薬にどっぷり浸かってしまっていて、ほとんど薬物ジャンキー同然であることだ。二人には失礼だが、人間こうなったらおしまいだな、と思っている。
 おそらく不眠を訴えて医者にかかり、最初のうちは薬で眠れたのにだんだん耐性ができて効かなくなった(自分も経験済み)。問題はそのあとで、医者にかかるたびに「眠れない」と訴え、そうしてどんどん強い薬を出され、錠数も多くなり、ますますドツボにハマっていったのだろう
 他人の経験があまりにも当てにならないから、断薬後に自分の体験談を本にまとめ、出版することにした(以下のリンク参照)。最近は自らの断薬体験、ベンゾジアゼピン系薬物からの離脱体験をKindle出版してるかともちらほらおり、参考にする価値があるように思います。少なくとも、薬を飲んだこともない医者が上から目線で書いた本よりも、患者目線で書かれた手記のほうが参考になり、それだけ読まれる価値も大きいのではないでしょうか


有名な経営者の松下幸之助さんの本も読んだことがある。よく知られるように、依存性の強い睡眠薬にたよりながら、一日3時間かそこらの睡眠だったという、それで90代まで長生きしたようだ。
 本を読んでも、睡眠薬のことなんかまるきし書かれていないが、どこか自分の運命を天命だと受け入れているような、運命論者のように感じられた。

いってみれば、その人の人生は90パーセントまでが、いわゆる人知を超えた運命の力によって、すでに設定されているのであって、残りの10パーセントぐらいが、人間の知恵、才覚によって左右されるといえるいえるのではなかろうか。
 松下幸之助「道をひらく」