6秒ルール
今日のおすすめの一冊は、安藤俊介氏の『なぜ日本人は怒りやすくなったのか?』(秀和システム)です。その中から「自己肯定感が低いと攻撃的になる」という題でブログを書きました。
本書の中に「6秒ルールを守る」という興味深い文章がありました。
アンガーマネジメントは、怒らないことではありませんが、ムダにイライラしたり、怒ったりすることは、いいこととは考えていません。怒る必要のあることには上手に怒れ、怒る必要のないことは怒らなくて済むようになれたほうが、心身ともに健康でいることができます。
アンガーマネジメントには大切なコントロールがあります。それは衝動のコントロールです。アンガーマネジメントがコントロールできるのは衝動、思考、行動の三つですが、この三つはセットになっています。これらのコントロールは、必ず衝動、思考、行動のコントロールの順番でおこないます。
衝動のコントロールができなければ思考のコントロールはできず、思考のコントロールができなければ行動のコントロールはできません。 つまり衝動のコントロールは、ほかのコントロールに先んじてできなければいけないのです。衝動のコントロールができなければ、思考や行動コントロールはできないのですから、それはアンガーマネジメントができないということを意味します。
衝動のコントロールとは何かと言えば、怒りを感じたときに反射をしないことです。 反射とは、考えなしに何かを言ったり、したりすることです。
「怒りに任せて、つい言ってはいけないことを言ってしまい、取り返しのつかないことになった」「思ってもないことを口が滑って言ってしまい、相手の気分を害した」など、 人生の中で苦い思いをしたことのある人も多いでしょう。
売り言葉に買い言葉は、怒りによる反射の賜物ですが、売り言葉に買い言葉で、その場が平和に丸く収まることはまずありません。怒りの感情にハイジャックされた状態のまま、後先考えずに何かをしていいことは何もないのです。
では反射しないとは、怒りが生まれてからどれくらい待てばよいかというと、それが6秒です。諸説ありますが、怒りが生まれてから6秒あれば、理性が働くと考えられています。 理性が働くことで、次のステップである思考のコントロールができ、今、目の前で起きていることについて、本当に怒る必要があるのかどうかを、改めて考えることができるようになるのです。
これからはどんなにイラッとしても、とにかく一旦6秒は待ちましょう。 いざ6秒待とうとすると、意外なほど長く感じられると思います。そのため「6秒なんて長くて待っていられないのですが?」と、よく質問されることもあります。 ただ、それは単純に慣れていないからです。慣れればいとも簡単に6秒待つことができます。
「言い合いをしているときに、6秒も待っていたら、相手に言い負かされてしまうのではないか?」と疑問を持つ方もいるでしょう。 その気持ちはわかりますが、そもそもの目的をはき違えています。自分が冷静になるために6秒待つのであって、相手に口論で勝つことは目的ではありません。
衝動のコントロールができるようになれば、相手から嵐のように言葉を浴びせられたとしても、冷静を保つことができるので、とくに苦になりません。むしろ、感情のまま瞬発的に言い返して、相手に不要な言質を与えたり、失言して事態を悪化させたりするより、6秒黙っていたほうがよほどいいはずです。
アンガーマネジメントにおける衝動のコントロールには、いろいろなテクニックが用意されていますが、6秒待つ方法に決まった方法はありません。その場で6秒かけて深呼吸をしてもいいですし、数を数えるだけでもOKです。ここでは、あえて具体的なテクニックは紹介しませんので、とにかく6秒待つことだけをまずは意識してみてください。待つという意識を持つだけでも、今よりも衝動のコントロールができるようになるからです。
6秒の時間の使い方について代表的なものに「感じた怒りに温度・点数を付ける方法」があるといいます。怒りを数値化する習慣を持つと自分を客観視できるからだそうです。例えば怒りを0~10段階として、10が人生最大の怒りとすると、他の点数も付けられます。(小尻美奈氏)
ストレスの多い昨今、怒りのコントロールは必須です。6秒ルールを身に付けたいと思います。
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