そもそも「分析」って何だ? - それは「分ける」こと
データ分析、顧客分析、市場分析、製品分析…。
世の中には分析する対象とそれを分析する仕事で溢れている。
前職のアクセンチュアでは、新人コンサルタントの事を「アナリスト」と呼んでいた。直訳すると「分析する人」。
ひたすらデータを分析し、上司に報告するのが仕事。私も色々な分析を経験した。
けど、改めて「そもそも分析ってどんな仕事だと思う?」と聞かれると、正直戸惑う人は多いと思う。もちろん私もその1人だった。
情報収集?
その要約?
示唆出し?
色々な選択肢は思い浮かぶが、自信を持って「これだ!(ドヤ)」という答えることは出来なかった。
そんな事考えもしなかったし、聞かれもしなかった。
分析するのがアナリストの仕事なのに。
これはかなりマズイ事だと思う。
分析とは何か理解せずにアナリストの仕事をしていたということ。
自分の成果物やレポートが、分析と呼ぶのに必要な基準を満たしているか理解せずに仕事をしていたということ。
これはきつねうどんとは何か理解せずに、とりあえずそれっぽい物を作ってお客さんに提供する感覚に近い。
お揚げが入っていなかったり、つゆがトマト味だったり、下手するとうどんの代わりにパスタが入っていた事もあったかも知れない。
もっとマズイのが、それでも許されたこと。
きつねうどんがきつねうどん足る基準を明確に知っている人が見たら、お揚げが入っていないきつねうどんなんて、即クレームだろう。
けど、経営者も、上司も、きつねうどんとは何かという問いに対する答えを持っていなかったら?
こっちもそれっぽい物を作っているから、だから出されたものに対して、「うーん、まあこんな感じ?」となってしまう。
それなりに美味しいしお腹も満たされ、クレームにならない。
だから誰も本質を探ろうとしない。
分析も一緒。部下やコンサルが時間をかけて作ったものがなんとなくイメージに近ければ、「んー、まあこんな感じ?」となるのもわかる。
けどここでは一歩引いて、より深く分析の本質を探ってみたい。
過去の投稿でも書いたが、物事の本質を理解するにはその言葉をじっと見つめてみる。
分析というのは読んで文字通り「分ける、析(さ)く」行為を指す。
つまり、分析とは「分からない」対象を「分かる」レベルまで「分ける」ことを言う。
読んで字の如く、「分からない」状態というのは「分けられていない」に等しい。なので、分析と称して「分ける」のだ。
こんな感じの状態を、
こんな感じに分けてみる。
すると、何色のブロックがあるのか分かる。更に形で分けるとどんなブロックが含まれているかもっと分かる。
市場分析なら、顧客の属性別に分けてみる。製品の価格帯別に分けてみる。地域別に分けてみる。俗に言うセグメンテーションだ(詳細は過去の投稿を参照)。
これをすると今まで見えていなかったものが見えるようになる。
当然分析対象の複雑性が増せば増すほど、分ける事による効果は大きい。
流通するデータ量が増え、VOCAと呼ばれる複雑性が高い今だからこそ、「分析=分ける」ことの重要性が高まっている様な気がする。