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第一章 作者紹介 ・原作:前田真孝(まえだ まさたか) ・文章:廣木涼(ひろき りょう) 第二章 このテキストの目的と定義 ・テキストの目的 ・経営とは ・売り上げとは ・プロマジシャンの定義 ・まとめ 第三章 プロマジシャンに必要なスキル ・カッツの3能力 ・コンセプチュアルスキル ・ヒューマンスキル ・テクニカルスキル ・まとめ 第四章 今後の業界予測 ・マジック業界の過去と現在 ・業界が小さい利点 ・業界内外のビジネスチャンス ・情
原作:前田真孝(まえだ まさたか) 後に手品家をチェーン展開させることになる社長トリット(とりっと)こと、前田真孝が高知県高知市にて産声を上げたのは、1980年8月20日のことである。 前田がマジックに出会ったのは、小学3年生のときだった。当時9歳だった前田少年は、テレビ番組でナポレオンズがマジックのレクチャーをしているのを見て、マジックに驚くとともに、演じることにも興味を持つようになる。ナポレオンズはマジックのタネを明かし、丁寧に演じ方を教えてくれたので、初心者だった前田
テキストの目的 現状、マジック業界はとても小さな業界である。そして、その中で働くプロマジシャンという職業も、今ひとつ市民権を得ることができていないようにも思われる。たとえば、「プロマジシャンなんて食べていけるかどうかわからない職に就かずに、真っ当な会社員や公務員になりなさい」などという会話があったとすれば、それがまさしく、会社員や公務員と、マジシャンという職業の市民権の差だと言えるだろう。 この市民権の差は、マジック業界が小さいということに由来するものではないだろうか。この
カッツの3能力 マジシャンとして成功するためには、どのようなスキルが必要なのだろうか。これからマジシャンを始める者も、現在マジシャンとして仕事をしている者も、その職業に必要とされる能力を勉強することは有用であるだろう。 実は、マジシャンとして成功するための能力は、マジシャン以外で成功するための能力とほとんど同じであると考えられる。たとえるならば、人間のDNAとチンパンジーのDNAは99%が同一であるという話に似ているだろう。ほんのわずかなDNA上の違いが、人間とチンパンジ
マジック業界の過去と現在 マジック業界の今後を予測するため、またその予測の確からしさを評価するためには、マジック業界の過去と現在を軽く説明する必要があるだろう。 日本におけるマジックの起源は奈良時代まで遡るとも言われるし、少なくとも江戸時代には手妻(てづま)という大衆演芸として、今でいうマジシャンが職業として定着していたとも言われており、業界の歴史は長いが、その割に、あまり社会に浸透していない節がある。2018年現在においてでも、マジックの市場規模は、100億円とも10億円
マーケティングとは マーケティングという言葉をとても簡単に説明するならば「売れる仕組み作り」と言うことができるだろう。しかし、ではどういう仕組みを作れば商品は売れるのか、というのが、とても難しい議論であるため、マーケティングという言葉の意味も広がりを持つことになる。 狭義の意味としては市場調査のことを指すこともあれば、「企業および他の組織がグローバルな視野に立ち、顧客との相互理解を得ながら、公正な競争を通じて行う市場創造のための総合的活動」と難しい言葉で定義されることもある
用語説明 経営における最重要項目は、理念、ビジョン、戦略を考えることである。 理念とは、その仕事をする目的のことである。何のために仕事をしているのか。その答えは、理念を実現するため、であるべきだ。 ビジョンとは、理念を実現するにあたっての目標である。どういう道筋を通って理念を実現するのか。その道筋の通過予定地点をビジョンと呼ぶ。 戦略とは、ビジョンを叶えるための手段である。その手段は1つとは限らず、数限りない手段が存在し、そのうちのいくつかを選択することになる。 旅行
論語と算盤 日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一氏の著書に「論語と算盤」がある。「論語」とは、道徳や理想や理念を指す言葉であり、算盤(そろばん)とはお金や経済を指す言葉であるが、道徳ばかりでは現実に困窮する経済問題を解決できず、理想を失ったお金が幸せを生むこともできない、として、経営は理念とお金と、両方が大事だ、ということを渋沢氏は言っている。お腹を空かせた子供を助けるには、「助けてあげたい」と思う道徳心と、パンを買ってあげるお金の両方があって、はじめて助けてあげられる、という
AIDMAの法則 AIDMA(アイドマ)とは、消費者が商品を買うにあたっての心理プロセスを指す言葉であり、注意(Attention)、関心(Interest)、欲求(Desire)、記憶(Memory)、行動(Action)という5つの段階を示す言葉の頭文字である。 人が商品を買うためには、まずその商品の存在を知らねばならず(注意段階、認知段階)、知った上で興味を持たねばならず(関心段階、興味段階)、さらに欲しいと思わねばならず(欲求段階)、しかし忘れてしまっていてはならず
売り上げの因数分解 売り上げの上げ方を考えるためには、その目標となる数字、すなわち明確なビジョンが必要であることはすでに述べたが、その上で、売り上げがどのような構成要素で成り立っているのかを知る必要がある。売り上げを分解すると、このような式で表される。 売り上げ=客数×客単価×購入頻度……① 式①を見れば、それはそうだと納得されるだろうし、どうすれば売り上げが上がるかも見えてくることだろう。客数を増やすこと、客単価を上げること、購入頻度を増やすことが、売り上げを上げる
「戦略論:売り上げを上げる」の章で、流出客を食い止めるには顧客リストを使ってこまめに連絡をするのがよい、とすでに述べた。そして、そのためにLINEを使ってリストを管理する方法も説明した。 顧客リストとは、新しい商品やサービスを作ったときに能動的にお知らせの連絡ができて、そのお知らせを受けたときに行動を起こしてくれる顧客が何人いるのか、そのリストである。 売り上げの多い経営者はまず間違いなく顧客リストを作っているものである。そして、年々そのリストを増やしていく努力をしてい
「戦略論:商品を売る」「戦略論:売り上げを上げる」の両章で、新規客の獲得にはまず認知が重要であり、名刺やチラシやポスターがその役割を果たすことをすでに述べた。 この章では、具体的な、名刺の作り方や、チラシやポスターといったプロフィールの作り方について説明する。この名刺やプロフィールの良し悪しで、新しく顧客ができるかどうかが変わってくることは、容易に想像できることだろう。
「戦略論:売り上げを上げる」の章で、単価を上げるにはターゲットを変えるしかない、とすでに述べた。なぜならば、単価(ギャラ)とは、顧客の持つ予算によって決まるものだからである。 ギャラが上がるメカニズムは、マジシャンの腕前が上がることによって、5万円を支払っていた顧客が10万円を支払ってくれるようになる、というものではない。10万円の予算を持った顧客が、あなたに仕事を頼むようになる、というものであるのだ。 10万円、20万円、50万円、100万円の仕事を頼まれるようになる
マジシャンの成長とは この章では、自己成長を題材にしているが、そもそも、マジシャンの成長とは何を指すのだろうか。 その答えは、本書をここまで読んでくれた読者には、あらかた答えがわかっていることだろう。このテキストでは、マジック業界とプロマジシャンについて、まず定義した。その定義の姿を目指すことが、まず成長だと言える。プロマジシャンに必要なスキルも紹介した。それぞれのスキルを会得することが、成長だと言える。理念やビジョンの重要性も記した。それを見て理念、ビジョンを設定したなら