スライド7

経理

論語と算盤

 日本資本主義の父と呼ばれる渋沢栄一氏の著書に「論語と算盤」がある。「論語」とは、道徳や理想や理念を指す言葉であり、算盤(そろばん)とはお金や経済を指す言葉であるが、道徳ばかりでは現実に困窮する経済問題を解決できず、理想を失ったお金が幸せを生むこともできない、として、経営は理念とお金と、両方が大事だ、ということを渋沢氏は言っている。お腹を空かせた子供を助けるには、「助けてあげたい」と思う道徳心と、パンを買ってあげるお金の両方があって、はじめて助けてあげられる、ということである。「論語と算盤」は、「理想と現実」を表す言葉でもあるだろう。

 さて、経営における「算盤」の役割は、経理という言葉で表されるだろう。経理とは、経営管理の略語であり、お金を計算することによって経営を管理するという、とても重要な部門でもある。経営者は、ある発想を実現するためのお金があるかどうかによって、判断を変えなければならないのである。
 そういうわけで、お金の管理である経理は、とても重要であるのだが、マジシャンは得てして、そういう数字的事情を疎かにする傾向があるようである。時折り、年商年収を区別していないマジシャンもいるようであるので、ここでは、基礎的な数字の話を説明することにする。

 これから様々な戦略を説明していくが、その前提として、売り上げ粗利経費利益といった言葉を理解しているとともに、今現在、その数字はどれほどなのかを知っておかねばならない。
 「過去最高益を上げる」という目標を立てるためには、いくら稼げば過去最高なのかを知っておかなければならないのは、言うまでもない。数字の管理をすることが、健全な経理のための第一歩なのである。


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