拾米(ひろいごめ)

頭のどこからかあふれてくる言葉をここに書いて、自分を落ち着かせ、そんな自分を見守り続ける。 そういうことを目的に、主に詩を投稿します。

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<詩> よもぎ

海に面し、雲をちぎって溶かす風が吹く、小さなまちに住んでいます 人口は三千人 休日によく見るのは地元住民ではなくバイク乗りの方々です このまちが目的地になることはありません 役場が最も大きな建物です 僕のことを心配して、母がしょっちゅうやってきます ご飯ちゃんと食べてる?……まぁ 友人はこのまちに何もないことが気になるようですが、その点、母はここが好きなようです 母の故郷に似ているからだと思います 橋の上からたくさん見えたからと、母に誘われ僕はよもぎ採りのため河川敷へ行き

    • <詩> 金魚

      泣けばいいってもんじゃないし 話せばいいってもんでもない 夏祭りの思い出が光る 金魚の群れがぐったり光る お父さんやめていらないから 僕は手を伸ばさないから やめてったら 金魚の顔は無表情ではない 僕が泣こうがわめこうが もう届くとかの次元ではなく 集中の蟻地獄 というような顔をしている 久しぶりに実家に帰ったら あの金魚はまだ生きていた なんだかよくわからない色になっている クレヨンのカスみたいな餌が水中に揺れる 父が、我が家のシーラカンスだな、と言った 僕は、ここか

      • <雑記> 『サイバーパンク:エッジランナーズ』を見て、アニメの良さを再認識する

        最後にアニメを見たのはいつだっけな……。 社会人になって、もっと勉強しようとか、もっと本を読もうとか、そっちに意識が向いてアニメは見なくなった。アニメを見る段階は「卒業」したと考えてた。 高校入学のとき、もう「卒業」しようと思って持っていた大量の遊戯王カードをすべて売った。あれから何年も経ってカードを買う気は起きない。アニメもそんな感じだと思ってた。 YouTubeで、白い髪の女の子がニコニコしているサムネを見て、急にアニメ欲が沸き上がってきたのはかなり前だった。それを今日

        • <詩> 趣味は勉強

          TEDのシャドーイングと法律読みと高校時代の数学の問題集の循環の中に身を置く 目的はない なんか役立ちそうと思って合格した基本情報技術者試験 応用に進もうとして記述対策で手が止まり、興味の無さが露呈してやる気が失せた 良いって聞くからとりあえず3級を取得した日商簿記 2級に進もうとして工業簿記と商業簿記にうんざりして、やる気が失せた あれもやめてこれもやめて残ったのは、やること自体が楽しいものだった TEDのシャドーイングは、ぐっと集中すれば頭があっつくなる 英語は母

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        • すてき
          6本

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          <詩> あなたと旅行

          人生初の海外旅行 外国に行ってみたい、どこでもいいけど と言うから 近くて、日本人がいなさそうなところ、ということで決めた 顔を赤くして鼻息が少し荒かったあなた 着いてみると、あれもこれもそうでもなかったらしかった 通りを歩く人はスマホ片手にゆらゆら揺れる ……これも、あれも、いつも、だね……そうだね ホテルの部屋にはトイレットペーパーがなく 2人でコンビニで買った 空港で買ったチョコレートが甘すぎてえずき それとトイレットペーパーの余りが土産になった 東京、ついたね

          <詩> あなたと旅行

          <詩> 雪には米

          ラップに包んだ凍った米のかたまりは 解凍6分あたため1分 ぐっと握ればもちもちのおにぎりになる 味は、甘い 冬が来て解凍は7分になった 時計を見て青ざめたのは始業40分前 着替えご飯歯磨き髪走る 米のかたまりを電子レンジにセットする 歯磨き髪は捨てた 豪雪の中、ラップ米片手に走り出た あたため忘れた米はぱらぱら崩れ 僕はラップに吸い付く アッ 風が吹いてラップがはためき、米を半分くらい下に落とす でもふわふわの雪の中で米の白さは案外素直で すぐに見つけて雪ごと食べた 成

          <詩> 雪には米

          <詩> 演繹

          幸せな詩はつまらない つまらないのは嫌だ 幸せな詩は、嫌だ ……? 鬱屈とした詩は良い点がつく 良い点がつくと嬉しい 鬱屈とした詩は、嬉しい ……? (詩は嫌だとは言わないよ嬉しいとも) 私、表現が趣味の感情の人 触れるなら教えて前もって

          <詩> 必要悪

          であれば必要である 可能性に言及すれば際限なく であれば帰還困難区域 撮影しますか 好き放題にして良いのでしょうか であれば必要悪である 必要悪が消えたとき 僕は困るのでしょうか 嬉しいのでしょうか 目の前の洗濯機はぐんぐん回り それはあまりに当然のこと

          <詩> 大事な写真

          思い出くらいもてなして その写真のフレームに 残る小さなひっかき傷 フレームの方が高価であって 写真は朽ちた期待であるから フラッシュたいたの私だった 目をぐっと閉じるあなたは素直 私があなたの上に立った唯一の瞬間でした この写真が 私があなたの上に立った唯一の瞬間でした 思い出むしろもてなして フレームは拭いてあげるから できればもっとふしだらに でもやや杓子定規に

          <詩> 大事な写真

          <詩> ドライブデート

          行くの行かないの って揉める深夜の長電話 いるのいらないの このチケットいくらしたと思ってんの あなたと行く 運転するのはあなたの役目 無音なんだねって聞いたら CD派だから、今日は持ってきてないから、って でも高速道路はやめて 虫がいっぱい張りつくから あくびしないでよ 注文多いの許してね嬉しそうだねでも案外 帰ったら教えて 今日は何が楽しかった? 割り勘でいいよ 洗車コースは最高のやつ

          <詩> ドライブデート

          <詩> 食事

          ピーマン 甘唐辛子 ごほう 牛蒡 しょうゆ 醤油 こめ 米 あぶら 油 あーもう良いよ炒めごはん テフロン削れたごまかした 食いついたままの一人暮らし うぬぼれ自炊の仲間はいない 平日安売り売れ残り 自己肯定感セルフレジ

          <詩> 文章の波動

          見よ波が来る 浜辺に立った釣竿に、かかるかもめのくちばしが、思いがけないのは 見よ! 僕の早計は苦しい鳥で、 鳥の造形は寂しい羽で、 羽の透明な凛々しい癖で、 癖の光景は厳しい割目 海の中に入っていくとき 僕だ! 僕がむりやり押し寄せる この文章の波動には、海らしからぬ、性質がある 夜が来て、船が消えれば、文字が浮き出る

          <詩> 文章の波動

          <詩> 真犯人

          心の中身を押し出して 天秤にはごめん もうお前じゃない 同級生が司法試験に合格したんだ 指紋は残っていない 手袋のまま握るハンドル 初めて夏タイヤで冬道走るよ 交換する暇もなくってさぁ 俺は悪くねぇな 心の中身を見せてやった 一生に一度の願いを何度も叶えてやった 聞き飽きたんじゃなくて聞き疲れたんだな 自分でなんでも出来る年頃だよ 突き詰めて考えてみな ほら見えた 真犯人がいた あと3キロのホテルの広間で同窓会

          <詩> コーヒーカップ・プラネタリウム

          ケトルの底に小さな泡がくるくるやってくる、泡たちの上にはゆらぎたち 指で触れるともう温かい ああ次のが来た ポップコーンのような泡の振動 ケトルの踏んばる音は水温よりやや先走る コーヒーの香りも先走ってる 僕の舌も いよいよになってきた 泡たちは駆け巡りもうやりたい放題 注ぎ口からは白い湯気が パチッ!沸いたよ 嘘みたいに静まりかえった熱湯をカップに そして牛乳をなみなみと 勢いよく注いだ流れを受けて 黒い粒がゆったり回転する、コーヒーカップ・プラネタリウム 黒い星座が静止し

          <詩> コーヒーカップ・プラネタリウム

          <詩> 結婚

          ふてくされた女のコミュニケーション能力の塊が 私に似合う卵形 どんぶり食らう大男の 出た腹はみ出す革ベルト でもね、あなた 結婚して後悔してはいませんよ 結婚を前提に付き合ってください それでお互いによかったと思いませんか 声は大きく子供は利口で貯金はたまった 喧嘩もない ねえ それでお互いによかったと思いませんか 私は思いますけど

          <詩> 受験の時期

          席の多い部屋に 裸足の人間が30人いて とても多いのは金の針 見かけないのは鉄の槍 朝のひとこと 今日も1日よろしくお願いします 模擬試験の最中に寝て ひとりの眺めは窓の外 理系7割文系3割 マークシートの塗り方は 周りを囲って中をほじくる 部活は引退 そして方言のように理解できず 聞いて回るの、午後6時

          <詩> 受験の時期