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<詩> よもぎ

海に面し、雲をちぎって溶かす風が吹く、小さなまちに住んでいます
人口は三千人
休日によく見るのは地元住民ではなくバイク乗りの方々です
このまちが目的地になることはありません
役場が最も大きな建物です

僕のことを心配して、母がしょっちゅうやってきます
ご飯ちゃんと食べてる?……まぁ
友人はこのまちに何もないことが気になるようですが、その点、母はここが好きなようです
母の故郷に似ているからだと思います

橋の上からたくさん見えたからと、母に誘われ僕はよもぎ採りのため河川敷へ行きます
初めて知ったよもぎの群生地は、いたどりに圧迫されつつありましたが、
それは新鮮な緑の大波でした
母のよもぎ餅を期待する僕は、その葉の裏は乳白色だということも初めて知ったのです

今日は何してたの?……まぁ、洗濯とか……偉いね……まぁ……いいとこだね……何もないけど……そうだね……(ザッザッと風になびくよもぎが、自らも緑色と乳白色の風になろうとしているようです)

ビニール袋はすぐにいっぱいになります
詰め込まれたよもぎの塊を見つめる僕に母が言いました

風が強いからよもぎがとてもきれいだね、土も虫もついてなくて……(僕は母の顔を見ます)(いたどりの丈は母よりも頭一つ高いです)

寒くなって上着を取りに行った僕は、部屋の窓から母を見ます
母は空を見上げてかもめが旋回しているのを目で追っています
母の服にはいたどりの葉っぱがついていました
僕は部屋を出ました

お母さん……ん?……あの、服に葉っぱついてるけど……あら、どうもね

母が作ってくれたのはよもぎの天ぷらでした
よもぎは大きくなりすぎていて、一番おいしい時期は過ぎていたようですが、
とてもおいしかったです

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