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あらすじ 兄さん、お元気にしていますか? 妹から兄へと綴られる手紙。 仕事熱心で妹想…
ものごころがついたときから、わたしの家族はあなた一人でした。体が弱くて泣き虫だったわた…
「那美子、なにか欲しいものはないか?」 あと数日で、わたしが十六歳の誕生日を迎えるかと…
小学生のころからクラスになじめずにいたわたしは、中学、高校になっても、親しい友人ひとり…
約束してからの数日は、とても長く感じました。 その日のことを考えては、眠れない夜が何…
ぶつぶつとか細い声で一言つぶやいてから、あなたはそのままあ仰向けになって寝入りました。…
人は、死んだらどうなってしまうのでしょうか。 魂は漂うのでしょうか、消えてしまうのでしょうか。 わたしのこの想いは、どうなってしまうのでしょうか。 今でこそどうでもいい些細なことに感じられますが、当時はそんなことばかり考えていました。 あなたは、わたしを妹としてとても大切に扱ってくれました。しかし、いざわたしが一人の女として、愛情を込めてあなたに接すると、尻込みするようにこわばった態度をとりました。 自分が甘やかしすぎたと考えたのでしょうか、ふだんから冷たくなり、
それからさらに五日間、わたしは体調不良を理由に学校を休みました。 事実、最初の数日以…
その結果なのかどうかわかりません。 数日後、あなたは病み上がりのわたしよりもさらに蒼…
あれは、早春の矢先でしたね。 一日に何度も気持ち悪くなり、わたしは嘔吐をくり返すよう…
そのあとのことはあまり思い出したくありません。こうやって筆を動かしている今も、頭に血が…
その帰り道に、クマのぬいぐるみを買ってもらいました。 かわいらしい、とぼけた表情をし…
それからのあなたは、わたしから逃げるように、ますます仕事に没頭しましたよね。 毎日の…
そんな日々が一年近くもたったある日のことです。 わたしは天気も良いのに、昼間から雨戸を締め、部屋を暗くして過ごしていました。 「那美子さん、いらっしゃいますか?」 突然ドアがノックされ、玄関から女性の声が聞こえました。 日子を抱きながら物思いにふけっていたわたしは、視線だけを玄関に向け、黙ってやり過ごそうとしました。 しかし、声の主はわたしがいる気配を感じ取ったのか、かまわず自己紹介をはじめます。 「三上涼子といいます。那央樹さんと、結婚を前提にお付き合いをしていま