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性格は変えられる?

この記事は、「自分の性格が嫌い」、だから「自分を変えたい」という願望を持っている方に向けた記事です。

まさに僕も過去、長い間、同じような思いを持って生きてきました。

でも、そう思い続けていた時期は、メンタル状態が悪化・低迷し、それを取り戻すためにさらに「性格を改善しないと」「自分を変えないと」という悪循環にハマっていました。

ただ、ある時期そこから行動と学びを得て、循環を断ち切ることで、克服の道に進むことができました。

今回はその方法をシンプルにお伝えしようと思います。

先に結論をお伝えすると、「自分の考えを7つの小さな質問にかける」→そして「特定の場面の行動を小さく変える」という方法です。

再現性がありますので、あなたにもしっかり参考になると思います。


■1. 特定の「個性」は、後天的には鍛えられない


「性格を変えたい」と考える人が持っている「理想的の未来」は、具体的にはどのようなものでしょうか?

例えば、このようなポイントかと考えています。

・フレンドリーな性格になりたい
・人から愛される性格になりたい
・物怖じしない性格になりたい
・自由にのびのびと自分の人生を楽しめる性格になりたい
・特定の好きな人に選んでもらえる性格になりたい

こういう「理想の自分になりたい」という願望が根底にあるのではないでしょうか。

作家の安達裕哉さんがこの記事で、「個性は変えられるか?」について論じています。

慶応大学の安藤教授によれば、行動遺伝学の研究から「勤勉さ」「外向性」「開拓性」「神経質」「同調性」などの個性は、遺伝による性質で、学習によって変えられるものではない

この文章が示すことは、
性格を変えたいと考えていたとしても、その性格のうち、上記の5つの「個性」については変えようがないものである、ということです。

ただし、上記の5つの個性「勤勉さ」「外向性」「開拓性」「神経質」「同調性」のうち、自分がこうありたいという個性を持ち合わせていなかったとしても、十分魅力的な人間になれると、僕は考えています。

  • 「勤勉さ」:例えばあなたが魅力的と思う人は全て「勤勉」な人ですか? あるいは「怠惰」な人ですか? 勤勉でも怠惰でも、人間くさくて、それが面白い、魅力的な人だっていますよね?

  • 「外向性」:あなたが仲のいい友達は全て「外交的」な人ですか?あるいは「内向的」な人ですか? 「外交的な人しか好きになれない」なんてこと、ないですよね。内向性・外向性関係なくフィーリングが合う人は沢山いると思います(また、「外交的に振る舞ってはいるけど自分は本当は内向的」だという人も沢山います)

  • 「開拓性」:「開拓性」の逆は「保守的」あたりでしょうか。開拓が得意、新しいもの好きな人もいれば、保守的な人もいます。むしろ日本社会では保守的な人の方が多く、むしろそういう人の方が仕事の上で必要とされている素質と考えられます。これはスタンスなので、特にどちらの素質の方が魅力的な人間であるといった評価はないと考えられます。

  • 「神経質」:「神経質」の逆は「おおらか」「大胆」あたりでしょうか。神経質な人はとっつきづらそうな印象もありますが、細かいところによく気がつく人で、「神は細部に宿る」ような仕事をなしとげてくれる人でもあると考えられます。「おおらか」「大胆」は細かいところが見えていなかったり細かいところを気にする人の気持ちがわからない傾向にありますが、包容力があります。どちらの人物像もまた、社会に求められる人間像です。

  • 「同調性」:「同調性」の逆は「一匹狼」でしょうか? どちらの人も社会には必要ですよね。時には同調して欲しい。時にはユニークな発想でコミュニティに新しい刺激と価値提供をして欲しい。どちらも魅力的な人間だと考えます。

そういうことで、5つの個性が、自分の中でたとえ不変だったとしても、そことは別の次元で、魅力的になれるし性格は変えていけます。

次に、特定のシーンを深掘りして、行動を変えていくことで、性格を変えられるかについて話を進めます。

■2. 内向的でもスピーチ上手になった人達


「個性」という変えられない部分の中に、自分で納得がいかない部分があったとしても、それは変えなくていい、「そのままで十分魅力的な人間にはなれる」という話をしましたが、

それでも本当に自分の性格が嫌で、今すぐ変えたいんだ、今の自分に納得がいっていないんだ、という時にどうすればいいか、についての話をしようと思います。

心理学的な観点から言えば、性格というのは幼少期に処世術のために作り上げた「信じ込み」でできています。

その信じ込みは、「ビリーフ」や「スキーマ」と言われたりもします。

「外向性」「内向性」は変わらないということを紹介しましたが、
じゃあ内向性に紐づいて、「臆病」「ビビリ」「人前で喋るのが下手」「あがり症」などを持ち合わせていた場合、それらは変えられないんじゃないかと今の自分を評価し、残念に思っている部分があるかもしれません。

しかし、これらの能力や態度は、十分変えていくことができるものです。

有名なセミナー講師やスピーカーで、内向性を今も持ち合わせていて、元々は「臆病・人前で喋るのが下手・あがり症」であったと公言している人は沢山います。

人は、人の嘘に敏感に察知しますし、嘘をついて人の心に刺さるスピーチはできませんから、彼ら彼女らが嘘をついてそう言っていれば、我々にはそれが分かります。

例えば、日本人の84%が、大勢の人前で話すことが苦手というアンケート結果もありますね(ベースメントアップス株式会社 2019年)。

ユニクロ社長の柳井さんや、オバマ元大統領も内向的と言われていますし、「内向的人間こそが社会にイノベーションを起こしてきた」というTED Talkのスピーチで有名になったスーザン・ケイン氏も、彼女自体が内向的でしたが、スピーチは堂々としたものでした。

つまり、人前で喋るというのは、内向的や神経質であっても習得できる単なる技能・スキルの一つであり、経験値を積むことで伸ばしていけるものなのです。

そして、「スキルと経験を身につけさえすれば、その人は全く内向的に見えなくなる」という状況さえも生まれます。

その人本人は「自分はどちらかというと人前で喋るのは苦手」「だから事前に用意するし練習もする」「そのおかげでなんとかうまく人前で喋ることができている」と思っていたりするわけです。

しかし、まわりがそうは判断しないし、そうさせてはくれないということなんです。

これは私の経験でもそうでした。

とにかく人前で恥をかきたくないし、できるかぎり上手いと思われたい。だから何度も練習をするんですね。5回も6回も練習すれば、口にそのセリフが定着して、うまく喋れるように自然となるんです。人間にはそういう能力が元々備わっているということです。

スティーブ・ジョブズも、大きな発表会の前は必ず10回以上プレゼンの練習したそうです。スピーチ上手のジョブズが10回練習し、スピーチが苦手な我々が1-2回の練習、あるいはぶっつけ本番でうまくいかないと言っているのは滑稽な話だと思いませんか?

また、人間の面白いところは、実は行動が先で、感情が後に来るんですね。

ビビって行動しないでいると、「自分はビビリだから行動できないんだ」と思うようになりますし、
ビビっていても行動してそこから成功体験を得ていると「自分はなんやかんやで行動できる人間なんだ」と思うようになります。

ということで、「内向的な人がスピーチをする」という一場面に限って話を展開してきました。行動やスキルは変えられるし、それによって、本心がどうであれ、周りからみれば性格が変わったようにしか見えない状況を作れるという話をしてきました

ただし、そうは言っても、

幼少期に作った「信じ込み」を変えるのは、並大抵のことではないのも事実です。

なので、性格を変えたい場合、「ある特定の場面に絞って」それを変えていくという手法を取るのが確実です。

■3. 特定の場面の小さな行動を変える


例えば、「コロナで疎遠になってしまったけど、ある大好きな友達と再開し、カフェで喋りながら楽しい時間を過ごしたい」と考えたとします。

しかし、たまたまその時、自分のメンタル状態が低下していて、「自分みたいな者が連絡しても迷惑なんじゃないか」と考えてしまってとても誘えないという場面があったとします。

・【理想の未来】:友達が誘いに乗ってくれてカフェでお茶できる
・【自分の今の考え】:どうせ無理、断られるのが恐怖、だからやめとこう

こういう場合、心理療法の一つである「問題解決療法」の知見を活用した質問が役に立ちます。

以下の7つの質問に答えていくことで、より現実的で発展的な判断ができます。

7つと言っても、大きく3種類に分けられる質問です。

【裏付け質問】
①「自分の考え」がその通りであるとの事実や根拠は?
②「自分の考え」に反する事実や根拠は?

【メリデメ質問】
③「自分の考え」を信じるメリットは?
④「自分の考え」を信じるデメリットは?

【天国地獄質問】
⑤もし行動した時、最悪パターンは?
⑥もし行動した時、奇跡の最良パターンは?
⑦現実的にはどうなりそう?

例えばこの場合、それぞれの回答を当てはめて書いてみるとすると、

【裏付け質問】
①「自分の考え」がその通りであるとの事実や根拠は?
→相手に用事があれば、断られることもあるかもしれない

②「自分の考え」に反する事実や根拠は何かある?
→以前、フレンドリーに接してくれていたから、タイミングが良ければ乗ってきてくれる可能性は十分ある

【メリデメ質問】
③「自分の考え」を信じるメリットは?
→相手を誘うというリスクを負わなくていい
 断られることもなくなるので負担は軽くなる

④「自分の考え」を信じるデメリットは?
→お茶したいと思っていてもできない
 相手がタイミング良く誘ってくれることはないだろう

【天国地獄質問】
⑤もし行動した時、最悪パターンは?
→ひどい言葉で断られて、二度と連絡してこないでと言われる

⑥もし行動した時、奇跡の最良パターンは?
→誘ったことに対して感動してくれて、お茶できるだけでなく、飲みに行きフェスに行き国内旅行に行き海外旅行にも行く親友関係に発展する

⑦現実的にはどうなりそう?
→ひどい事は言われず、感動されることもないけど、日程を調整して、カフェに行ける

■4. まとめ:性格は変えられる


ここまで考えれば、ある特定の場面で、「自分がパッと思いついた考えは最悪な考え」だったとしても、
冷静にこの3ジャンル、合計7つの質問テンプレに合わせて考え直すと、割と悪くない考えに至って、それまでより「マシな行動」ができるようになります。

面倒だとは思いますが、極端にネガティブな考えが頭の中に生まれた際、この「質問回答を作る」という作業をノートにメモ書きしながら、2回3回・・10回繰り返してみましょう。

そこまで数やれば、いちいち書かなくても脳内でできるようになります。

すると、「最悪な考えを思いついてそれを真実と受け取る」という思考回路のクセが、より自分に利益のある考え方、機能的な考え方に書き変わっていきます。

自分の「信じ込み」は、そうやって変えていくことができるわけですね。

とすると、これって、

「性格は変えられる」

ということをあらわしていると言えると思いませんか?


今回書きたいことは以上です。ではまた!


【stand.fm】HiroのメンタルUPラジオ:#001 性格は変えられるのか?
https://stand.fm/episodes/64f097baf6e75e34cc74704b


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