外国人のお客さまのクレーム対応力を身につける方法は、「海外のトラブル対応をまねること」ではない
私は社会人歴約25年、外国の方との色々なトラブルに対応する環境にいました。外国人スタッフとの採用・評価などに関するやり取りや、外国人のお客さまからのクレーム対応などです。
中でも最もタフな経験の1つは、2016年の伊勢志摩サミット、外務省の事務局で対応したフランス人報道クルーからの「社運を背負ってきているんだ!!」という緊迫したクレームです。メディアセンターが一瞬凍り付きました。
ANA CA時代は、お客さまの迷惑行為で飛行機を緊急着陸させたり、警察と連携してのトラブル対応に当たるなど、外国人のお客さまとのやり取りを多く担当していました。お陰で、当時は社内一の外国のお客さまトラブル&クレーム解決数でした。
25年の経験をもとに、私は今、グローバルCS研修の中で以下のことをお伝えしています。
・分かりあえない外国人はいない
・トラブルやクレームから事実、ファンが生まれる
・お客さま対応力を高めるには自己承認力が必要
・対応の質を大きく左右するのは、組織や地域の風土とマニュアル
・スキル重視は危険、対応者の心が結果を分ける
・とはいえ、スキルは対応を安定させるので大切
・海外のやり方をまねようとしても必ずしもうまくいかない
外国の方とのトラブルをスムーズに解決する力を、「英語力」「海外の対応を学ぶこと」によって手に入れようとすることは、もちろん間違ってはいません。しかし、「日本人には日本人の解決力」 があります。それは、新しい手法やスキル習得によって手に入れるというより、既にもっているものを引き出すことで得られます。そしてそれは、眠らせたままではなく、活かされた方が、対応の質を格段に高めます。
トラブル対応だけではありませんが、グローバルコミュニケーション力を高めることは、海外のやり方をまねることではありません。海外のやり方を知りながら、日本人としての価値と可能性をしっかり自覚し、そして辿り着く新しい道、それがグローバル化に対応するということだと思います。
・日本のやり方は外国人には通用しない
・グローバルスタンダードに合わせなければ
という考えもあり、間違っていません。しかし、日本人が日本人らしいことには、理由があります。そこには、活かされれば素晴らしい価値があります。そこを自覚するだけで、お客さま対応も、地域作りも、新しい道が現れます。その道が一番太いです。
大きな声を出せるサッカー選手が、試合中、声を封印することはないじゃないですか。プレイ中に声を活かすから、パスが味方に回ります。大きな声が、日本人としての価値です。
結論。
外国人のお客さま対応は、日本人らしさを活かすことでうまくいく。
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「心通わすお客さま対応を社内の標準に」