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【エッセイ】私の中の完璧主義さん。


「完璧主義なんて、大っ嫌い。」


完璧主義さんは、何かをするたびいつも口を出す。

「もう一度だけ見直しておいた方がいいんじゃない?」

メールはもちろん。
note、SNS。何度も何度も添削をせまってくる。


そのせいで深夜まで作業をして、翌朝はクマをつくって出勤。


「君のせいで、何度体調を崩したことか。」


思わず、そんな言葉がこぼれ出る。


一度の失敗で1週間も落ち込み、朝から職場に行くのが怖くなり、心も体も疲れきる。


「完璧主義さんなんかいなければいいのに。」



それでも、何度も思い出す。


完璧主義さんは、たくさんの幸せな時間もくれたんだ。


前職の予備校で担当した、県内トップ高の生徒。
偏差値70越え、知識も思考力も、はるかに上をいく。

隙があれば、心の中で語りかけてくる。



「提案内容はこれで平気?」
「課題は間違ってない?」



お風呂に入っているときでさえ、何度も語りかけてくる。


迷いながらも1年間、懸命にやり抜き、迎えた合格発表の日。


生徒は国公立最難関の旧帝大に合格し、笑顔で校舎に来てくれた。


「いつも的確な指導をしてくれて、ありがとうございます。先生がいたから合格できました。」


肩を組んで、写真を撮るとき。
メッセージカードを読みながら、涙が止まらなかった。


心のなかで、涙をすする音がした。



やりとりは、noteでも続く。


「誰も読んでいなかったらどうする?」
「本当にこのままでいいの?」


いつだって、不安にさせる。


でも、どん底から「もう少し頑張ろう」と立ち上がらせてくれるのは、いつも彼。


「まだやれることがあるはずだよ。」
「次は、もう少し読みやすい書き方を工夫してみよう。」


優しく語りかけてくれる。



試行錯誤を繰り返すうち、少しずつ文章力もついてくる。

「完璧主義さんがいなかったら...。」


今の自分を思うと、彼には感謝しかない。






完璧主義さんは、冬の寒い夜に欠かせない厚手のコートみたいなもの。


ときどき重く感じて脱ぎたくなるけど、寒風にさらされると、
あたたかさに助けられる。


そんなあなたに、今だったら、素直に言える。




「いつも支えてくれて、ありがとう。」




・・・



人生を生きづらくするのは、いつだって同じ。


私を守ってくれて、やるべきことを最後までやり遂げさせてくれる「大切な相棒」だ。


「ちょっとだけ、優しくしてくれてもいいのにな。」



ちょっとの愚痴とちょっとの感謝で、一緒に前に進んでいこうね。


「私の中の完璧主義さん」










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