「能トモ」プロジェクトvol.2 が決定しました!能を観たことがない友だちを誘って能楽堂へ行こう! という企画「能トモ」プロジェクト。 その第1回(vol.1)は10月4日、GINZA de petit 能「船弁慶」(林宗一郎師)をピックアップ公演として取り上げ、予想以上に大勢の方にお集まりいただきました。 「能トモ」プロジェクトでは、能を観た後の疑問に檜書店がお答えすることが特徴の一つです(出演者に尋ねないとわからない質問には、出演者に確認します)。 先日のピックアッ
能を観たことがない友だちを能楽堂へ誘ってみたい、と思っていらっしゃる方、檜書店がおススメする公演に一緒に行ってみませんか? 初めて観る方にぴったりな公演からスタートして、その後も一緒に行ける「能トモ」になってもらおうという企画です。 友だちを能に誘ってみたいけど、「何を言っているのかわからなかった」「うーん、やっぱり難しいね」なんて、言われそうで、誘いにくいという方、実際にそういう経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。 また、能を観たことがないから観てみたい
すでにお知らせしている通り、檜書店は現在の店舗がある千代田区神田小川町の再開発に伴い、神田神保町に移転することになりました。 新店舗での営業開始等はこちら。 檜書店前身の山本長兵衛が万治2年(1659)に謡本を出して以降、京都を本店として歩んで参りました。大正6年(1917)に東京店を開業し、昭和3年(1928)に東京が本店になりました(なお、京都店は2013年に閉店し、現在は京都観世会館内で売店を営業中)。 現在の檜ビルは昭和37年(1962年)竣工です。 これまでの歴史
「留守文様(るすもんよう)」という意匠をご存じでしょうか。 『源氏物語』などの古典文学、能・狂言等の登場人物を省いて、象徴となる背景や持ち物・小道具などから、その作品や演目、主題を連想させる表現方法で、工芸品の意匠として伝統的に好まれてきました。 少し難しく書きましたが、登場人物が留守にしている、の意味ですね。 絵画、蒔絵(まきえ 漆で絵や模様を描き、金粉などを蒔き定着させる技法)、着物の柄、かるたや双六にまで幅広く残っています。 檜書店で制作した「ひのき謹製 一筆箋」も
2024年のNHK大河ドラマ「光る君へ」の主人公は、女優の吉高由里子さん演じる紫式部です。 NHKホームページには、次のように書かれています。 1月7日からいよいよ放送が始まりました。 能の中には、『源氏物語』を典拠とした作品がたくさんあるので、楽しみにされている方も多いと思います。流儀による違いはありますが、現在上演されるいわゆる「源氏物」は10曲(「葵上」「浮舟」「落葉」「碁」「須磨源氏」「住吉詣」「玉鬘」「野宮」「半蔀」「夕顔」)です。 これと紫式部自身がシテの「源
能の内容がわからない、何を言っているのか聞き取れない、といった声にお応えするために始まった、檜書店の字幕サービス「能サポ」。 字幕については、様々なご意見もあるかと思いますが、広く能や字幕に興味を持っていただければ…と願い、字幕制作のウラ話、苦労や失敗などを時々お話していきたいと思います。 流儀の違い能の台本である謡本は、シテ方の各流で出ていて、その通りに上演されますが、能はシテ方以外に、ワキ方や狂言方、囃子方、それぞれに流儀があります。また、小書(特別演出)も合わせれば、
7月7日は七夕ですね。 願い事を書いた短冊を笹に飾ったり、織姫と彦星の話を思い出す方もいるかもしれません。 「七夕」にまつわるお能がありますので、ご紹介いたします! 天鼓(てんこ)【あらすじ】 美しい音色で鼓を打つ天鼓という少年は、その名付けの元となった、生まれた時に天から降りてきた鼓を献上しなかったため、死罪となってしまいます。その鼓は宮中に置かれましたが、誰が打っても鳴ることはなく、帝は天鼓の父を呼び鼓を打たせます。 父は息子が処刑された恨みを抑え、息子を想って鼓を打
長い年月を経る中で、演出が変化した能がいくつかあります。 そうした演目を、以前行われていたであろう演出で上演するのが、「古演出による」「古式による」とした催しです。 5月28日(日)京都観世会例会では、古演出による「鵜飼」、6月18日(日)京都観世会復曲試演の会では、古演出による「昭君」が上演されます。 古い演出には、今は出ない作り物があったり、登場人物が多く出ていた…など、様々ありますが、シテの役柄が前場と後場で別人格の「鵜飼」「昭君」では、古くは、前シテが中入りせず舞
公開中の映画「Village」では、能のシーンが印象的に描かれています。 映画はまず「邯鄲(かんたん)」の演能場面から始まります。人生は夢のように儚い...というテーマは、物語の根底に流れ続けます。 舞台となるのは、霧深い山あいの美しい自然に、巨大なゴミの処分場が建つ、霞門村(かもんむら)。いったん社会から落ちこぼれた人間は復帰するのが困難という、現代日本の縮図のような村の中で、主人公の優と幼なじみの美咲が見せるきらめく瞬間。これが一睡(炊)の夢に重ねられ、邯鄲男の面(お
資料と人形の虫干し 江戸時代(万治2年、1659年~)より続く謡本の版元である弊社では、代々の当主が、謡本をはじめ、能楽に関する書物の蒐集も行ってきました。 紙は古い物ほど不純物が少なく、虫がつきやすいため、1年に1回はそれら資料を点検し防虫剤を入れ替える、いわゆる虫干しをします。 去年の活動はこちら! 古書の整理と虫干しをしてきました!in 北鎌倉|檜書店|note 資料のほとんどは社内の書庫に保管していますが、一部は、鎌倉の檜家旧宅にもあり、先日こちらの虫干しをしま
この度、対訳でたのしむシリーズから「百万」が刊行されました! 詳細はこちらからご覧くださいね! 百万のあらすじ・見どころはこちら! ■能「百万」とは 能「百万」は作者の世阿弥が後世まで廃れることはない名曲だと太鼓判を押していた曲で、作られてから現在まで一度も途絶えることなく続いている曲の一つです。 春の京都・嵯峨野の清凉寺でわが子を探す母が念仏を唱え、舞を舞い、わが子と再会する物語です。 シテ(主役)の百万という女が登場後、すぐにアイ(門前の男)を笹で叩くシーンがあ
2月19日(日)に国立能楽堂で「式能(しきのう)」が開催されます。 翁付五番立(おきなつきごばんだて)と言われる番組構成で、毎年2月に能楽協会主催で催されています。 第63回 式能 https://www.nohgaku.or.jp/shikinoh2023 ■式能について 式能の番組構成です。 はじめに翁があり、能→狂言を繰り返していきます(能五番・狂言四番)。脇能の次に演じられる狂言は「脇狂言」とも言われる祝言性が高い演目になります。 演目の種類(曲趣)も決まってお
新年も明けて、早くも1月が終わりましたね。 今年は卯年なので、可愛い兎の年賀状をもらった方も多かったかもしれません。 早速ですが、こちらの絵柄を見たことはございますか? 「波兎(なみうさぎ)」という日本の伝統文様です。 波の上を走る兎の絵柄ですね。 工芸品などでも取り上げられる縁起物の図柄です。 兎といえば月をイメージする方が多いでしょうが、なぜ兎に波なのでしょう。 それは能「竹生島」にある謡の一節から引用されていると言われています。 能「竹生島」のあらすじは次の通り
毎年、檜書店では宮内庁の歌会始(うたかいはじめ。今年は1月18日に行われました)のお題に合わせて、御題小謡を作成しています。 これは、文化人に作詞を依頼し、節付を観世宗家がなさるものですが、記録でたどる限り、昭和初期から80年以上続いています。 過去の記事はこちら。 また、これまでの御題小謡リストも作成しましたので、ご参照ください。 皆さんの生まれた年の御題小謡は何だったでしょうか? さて、今年のお題は「友」で、作詞を法政大学能楽研究所所長の山中玲子先生にお願いし
能の演目は同じ内容でも、シテ方五流によって「読み方」や「表記」が違う演目があります。 今回はよく上演される演目をピックアップしてみました。 1、同じ漢字で読み方が違う演目どの流派も漢字表記はおなじですが、読み方が違う場合があります。 「半蔀」と「卒都婆小町」をあげてみました。 ちなみに「卒都婆小町」の「卒都婆」は「塔」ではなく「都」です。 「半蔀」 『源氏物語』「夕顔」の巻に描かれる光源氏と夕顔の上の恋物語に取材した能。(あらすじ・見どころはこちら) 「卒都婆小町」 平
お調べが終わり、幕から囃子方が、切戸口から地謡が出てきて、さあ、これから能が始まるぞ、という時、わくわくしますよね。 揚げ幕が上げられ、橋掛りから役が出てくる時、笛・小鼓・大鼓による登場音楽が囃されることが多いですが、「次第(しだい)」と呼ばれる登場音楽は、多くの演目で演奏されています。 最初に笛がヒシギという甲高い音を出すと、大鼓と小鼓が掛け声をともない打ち始めますが、笛の後、大鼓が打ったら、それが「次第」です。 「次第」の演奏のなか、能の役が登場します。囃子の