「兎と波」の伝統文様の元ネタは能!?
新年も明けて、早くも1月が終わりましたね。
今年は卯年なので、可愛い兎の年賀状をもらった方も多かったかもしれません。
早速ですが、こちらの絵柄を見たことはございますか?
「波兎(なみうさぎ)」という日本の伝統文様です。
波の上を走る兎の絵柄ですね。
工芸品などでも取り上げられる縁起物の図柄です。
兎といえば月をイメージする方が多いでしょうが、なぜ兎に波なのでしょう。
それは能「竹生島」にある謡の一節から引用されていると言われています。
能「竹生島」のあらすじは次の通りです。
臣下が老人の舟に同乗し、竹生島へ向かう場面で下記の謡が謡われます。
兎が波に戯れる文様はこの場面から作られたのですね。
とても想像力豊かで、竹生島の美しい情景が浮かんでくるようです。
今年の観世会初会では「竹生島」が「女体」の小書付きで演じられました。女体という演出は弁財天が女性の神であることを強調したもので、後半のシテ(主役)が龍神ではなく弁財天になります。
観世流には元々、女体の小書はありませんでしたが、喜多流から、観世流の「松風」の小書「戯之舞」と交換に伝わったといわれています。
「波兎」の文様を見かけることがありましたら、ぜひ「竹生島」の一節を思い出してくださいね。
また琵琶湖の竹生島へ訪れる際にも、思い出していただけると嬉しいです!
「竹生島」の2023年公演情報はこちらです!