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HSK13 - Housemanを笑顔にする方法(1)


ハウスキーピングで一緒に働く仲間に、ハウスマンという業務を担当するスタッフが毎日一人いました。

主な仕事は、ランドリーで洗濯されたキレイなシーツやタオルを各フロアに運び、部屋から出た汚れ物を回収すること。
チェックインのお部屋にベビーベッドをセッティングしたり、エキストラベッドを用意するのも、主にハウスマンの役目でした。

はじめの頃にハウスマンとしてバリバリ働いていたのは、このホテルができた時からずっと働いているという長身で強面のおじさん。多分ロシア近郊の出身で、自国の簡単な言葉を教えてくれます。
仕事中のエレベーターで習うので、私はいつもすぐ忘れてしまうけど。
日本語で「ありがとー」って言うのもお気に入りのようでした。

このおじさんは見かけるとたいてい機嫌が悪く、こちらが気を遣うこともしばしば。


なぜ機嫌が悪くなってしまうのだろう?


元々の性格も関係しているでしょうが、仕事の実態を知ると理解できます。

ホテルの客室フロアは19あって、彼は一日中、どこかに何かを運び回収しています。それぞれのフロアには、担当するルームアテンダントが掃除をしていて、
「枕カバーが足りない」
「タオルが足りない」
と彼を見かけると催促します。

本来なら、掃除の進行状況をチェックするスーパーバイザーやチームリーダーが、「どのフロアに何を持ってきて欲しいか」を指示するのが順当な流れです。しかし、良いタイミングで巡視に来てくれなければ伝えることもできませんから、ハウスマンは、フロアで出会った皆から直接攻撃されるような状態になるんですね。

ランドリーにきれいなシーツやタオルがなければ運べませんから、何度催促されても無いものは運べない。
また、物が足りていない状況の時は、部屋を仕上げたい各ルームアテンダントがランドリーまで必要なものを取りに走ることも多いため、彼の頭にある「ものをどこにどれくらい運ぶかと言う計画」がぐちゃぐちゃになります。

私のところに優先して早くちょうだいよ! って強く言うスタッフもいますから、時々喧嘩してることもありました。

理想を言えば、朝の段階で各フロアにきれいなシーツやタオル類のストックがあると、ルームアテンダントは安心して仕事を始められます。朝からフロアにシーツがないと、シーツ以外を仕上げた部屋に、後で戻らないといけません。
まあ、二度手間ですよね。

みな、その日その日を「うまく無難に時間内に終わらせたい」と思っています。

それは、ハウスマンだって同じ。

その日イメージしたように、きれいに物を運び、皆に感謝されて仕事を終えたいですよね。


私はとにかく人が不機嫌なのが苦手で、特にその感情を私に向けられると、居ても立ってもいられないため考えました。

「彼を笑顔にするにはどうすればいいだろう?」


私のとった行動は…(2)に続きます。




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ひなた とりこ
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