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『さみしい夜にはペンを持て』書くことは、考えること

たまたま出会った田中慶子さんのVoicyで、最近読んでよかった本として古河史健さんの『さみしい夜にはペンを持て』『20歳の自分に受けさせたい文章講義』の2冊が紹介されていました。

古賀史健さんは、あの大ベストセラー『嫌われる勇気』( 哲学者 岸見一郎さんとの共著 ) を書かれたフリーランスライターです。
アドラー心理学を扱った本書ですが、哲人と青年との対話形式の文章は、予備知識がない人にも読みやすく、古賀さんのライターとしての技量の高さがうかがえます。

田中慶子さんの魅力的な紹介で、思わず古賀さんの本を読んでみたくなった私は、さっそく『さみしい夜にはペンを持て』をAudibleで聴いてみることにしました。
( 2冊とも会員であれば無料で視聴することができます )


書くことは考えること

実際に読んで (聴いて) みて、本書は、
「書くって何だろう?」
「なぜ、こんなに書きたいと思うのだろう?」
とぐるぐると考えていた自分に、たくさんのヒントを与えてくれました。

舞台は海の中。
中学校3年生の「たこじろう」と「ヤドカリのおじさん」との対話を中心に物語が展開します。
学校のこと、自分が「たこ」に生まれてしまったこと、母親との関係などに 悩むたこじろうに、ヤドカリのおじさんはそっと寄り添 ながら、
「書くこと、とは何か?」
について時間をかけて対話した上で、日記を書いてみることを勧めます。

特に私の心に残ったのは、

「書くことではじめて、考えることができる」

というヤドカリおじさんの言葉。

頭の中がモヤモヤ・ぐちゃぐちゃする時は、"言葉未満の泡" つまり言葉にならない「思い」が頭の中いっぱいになって、白く靄がかかっているような状況です。

"言葉未満の泡" にしっかり輪郭を与え、言葉にして吐き出すことで頭の中が掃除され、スッキリします。
誰かに話すだけでちょっと心が軽くなったりするのはこのためです。

でも、これだけだと「考えている」 とは言えません。
「考える」と「思う」の違いは、答えを出そうとするかどうか。

算数の問題を解こうとする時、頭の中で暗算するととても難しいですが、紙に書いてひっ算してみると、簡単に解くことができます。

何か物事について考える時も、書いてみることで、問題が解きやすくなります。
自分の言葉で書いて「いや、こうじゃない」と何回も書き直す作業を経て、これ以上消しゴムが入らないところまで辿りついた着いた時、 そこには現時点での自分の答え=考えが財産として残ります。

本書で語られていることは、実感としてすごくよく分かるのに、なかなか言語化できなかった「書くことの効用」でした。

『さみしい夜にはペンを持て』には、この他にも
「なるほど、 書くことってこういうことなのかっ!」
と膝を打つ内容がたくさん書かれています。

"言葉を決めるのが早すぎる" 

よく考えもせずに安易にいつも使っている言葉を選んで、自分の言いたいことから、かけ離れた文章になっていないか?という指摘にはギクリとさせられました。

単純に物語としても面白いですし、人生の指南書的な読み方もできる、かなり多面的な作品だと思います。
noteには書くことが大好きな人が多いでしょうから、オススメです。

今度はもう一冊の『20歳の自分に受けさせたい文章講義』も読んでみたいと思います。

最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。

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