うつ病患者が闘う相手
うつ病患者は何と闘っているんだろうかと、ふと思う時がある。鬱という病気と闘っているのか、鬱を理解しない社会と闘っているのか、それとも理解を示してくれないパートナーなのか、友人なのか、家族なのか、これはとても難しい問題で、うつ病を克服していくためには避けては通れない問題だと思う。
うつ病の普通の病気との違いは、見た目で判断するのが難しいこと、職場の理解や、取引先など仕事関係の人にもオープンにするのは難しい事、友人やパートナーにも自分自身から一線を引いてしまうこと。家族でさえ、いつ治るかもわからないうつ病患者と一緒にいるのには大変な覚悟が必要だという事。
私自身もうつ病によって離婚を経験し(うつ病だけの問題ではないが)それまで順調に言っていた仕事も他の人間に任せたのだが、上手くいかずに廃業するに至った。大事な親友、大事な取引先、大事な顧客、大事な仕事仲間、全てに私は自分から壁を作ってしまったのだ。心配して声をかけてくれる人にまで心にもない言葉を発してしまったこともある。
そんな人間が、もし寛解したとしても壊れてしまった人間関係は元には戻らないのだ。その状態で社会生活に入っていく事は並大抵の覚悟ではできない。しかし、うつ病を経験したことのない人のほとんどは『自分に甘い、怠けている、自覚が足りない、気の持ちようだ』等と言ってくる。それを言われてしまったら私たちはどう対応するのが正解なのか?
そういった事実を知ってか知らずか、良かれと思ってだろうが、社会生活を送らせるために、背中を強く押したり、手を取って強く引いて前に前にと進めようとする人がたくさんいる。それをされて倒れてしまったら、もう立ち上がることが出来なくなってしまい、自死をするしかなくなってしまう。
前回も書いたことだが、うつ病と言っても様々であり、私の症状でいうならば、希死念慮・動悸・手の震え・眩暈・極度の緊張状態・不安感・対人恐怖・発汗、等々挙げだすとキリがなくなってしまうが、とても辛い症状である。その症状を抑えるために私の場合はOD(薬の過剰摂取)を繰り返してしまうことが癖になってしまった。もう薬との付き合いも長い、どれくらいの量なら大丈夫なのかもわかったうえでやっている。首を絞めて自死しようとしたことも何度かある。それでも私は死にきることは出来かった。
うつ病の闘う相手は誰なのか?それは自分自身という事に尽きると思う。少しきつい言い方だが、うつ病患者だから駄目なのではなく、自分自身の弱さに勝つことが出来ないのだ。一度壊してしまった関係を修復する方法が分からないのだ。それには少しづつでいいから、前へ進もうとする強い意志が必要になってくるのである。それを私は持てるだろうか?正直なところ自信はない。だがこのままの生活が嫌だったらやるしかないのではないかと思う。