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対話にフィードバックを持ち込むと人生が変わる - 左脳的な人ほど陥りやすい罠 -
フィードバックを受けること、返すことの大切さについてまとめてみようと思います。ちょうど昨日、フィードバック”祭り”だったのです。自分がやろうとしているサービス、イベント、そしてクライアントとの1on1の中で、「やっぱりフィードバックって大切だなあ」とつくづく感じたタイミングでした。
フィードバックの有効性とジレンマ
フィードバックは意識されないし、実行されない
皆さん、日常においてフィードバックを意識していますか?僕はこの半生、ほとんど意識をしてきませんでした。そもそもフィードバックが何か、その効果はどのようなものなのかを経験してきませんでしたし、経験がないので知る由もなく、知らないのでやらない、というループでした。
それではフィードバックで辞書を引いてみましょう。
1 ある機構で、結果を原因側に戻すことで原因側を調節すること。電気回路では出力による入力の自動調整機能、生体では代謝・内分泌の自己調節機能など。
2 物事への反応や結果をみて、改良・調整を加えること。
3 顧客や視聴者など製品・サービスの利用者からの反応・意見・評価。また、そうした情報を関係者に伝えること。「現場からの—を設計に反映させる」「アンケートの結果を担当部門に—する」
相手から受け取った反応により、自らを改良・調整する意味として説明されています。人間で言えば、自分が言ったこと、行ったこと、感じたことなどを伝え、相手がどう思うか、感じるかを返してもらうことにより、自分をより良くしていく(思考や行動)と置き換えられそうです。
僕は無意識にフィードバックをもらうことを避けてきました。経営・戦略コンサルタントとして「自分は圧倒的な能力と仕事量で、誰にも分からない正しいことを伝える人だ」ということを(傲慢にも)信じていて、相手に渡したものやことをその通りに受け止められず、異論や反論を受けることを極端に恐れていました。信じていることを否定されることは、自分自身を否定されることに繋がっていたからです。
フィードバック実践との出会い
それが2024年にCo-Activeコーチングの学びを始め、五反田でエクササイズを中心としたトレーニングを続けていく中で、180度変わりました。「正しいことなど何もなく、同時に自分自身はもともと何でもできる存在で、だからこそ相手からのフィードバックはそこに近づくためのギフトである」ということを、具体的な体験をもとに信じることができるようになったのです。
エクササイズの中でフィードバックを受け取ることについて、僕も最初は恥ずかしさやむず痒さ、不安などがありました。しかし、エクササイズはやらなければなりませんし、学び仲間も同じような面持ちでがんばろうとしていますから、自分もえいやとやってみるわけです。
フィードバックの効用
それが、フィードバックを受け取った後で心地よい驚きを抱くことになります。自分でも気づいていない意外な観え方や雰囲気、インパクト、能力やリソースなど、たくさんあることに気づくのです。「え?そう観えているの?」、「そんなことができる人に感じるの?」の連続です。
フィードバックする側のポイントは「良いことは…」を返した上で「更にがあるとすると…」です。「良いこと」の後に「悪いこと」をやってしまうと、相手は自分を悪人にしてしまいます。誰も相手に罪を償わせることを願ってないですよね。だから「更にがあるとすれば…ですね」と返します。
その後、何を思い、考え、感じ、行動するかは相手次第です。今じゃないなと思うかもしれないし、本当はそれに向き合ってみたかったところでガツンと響いた、やってみよう!となるかもしれません。フィードバックした側はそこに責任を持ちません。むしろ、何が起こるのかワクワクして待っている感じです。
自分のことは分かっているようで全然分かっていないのです。例えば、自分の後頭部や背中を直接見ることはできませんよね。だからこそ向き合う相手に観たまま、感じたままを返してもらうことは、自分について知らなかった、気づいていなかった、意識していなかったこととの出会いなのです。
知識偏重社会でこそ重要となるフィードバック
現在は知識偏重社会です。僕が属しているコンサルティング業界を含め、どのような企業であっても脳で論理的に考え、正しいことを伝えなければいけない、という暗黙の了解のような前提をコミュニケーションに置いているように感じます。
相手に一発で正しいことを言い放って終わらせる。
これは対話ではありません。また、これだけ社会が複雑化し、多様性が顕在化した中で、正しいことってあるのでしょうか。上記の前提はそもそも瓦解しているのではないでしょうか。
それでもこの前提にこだわると、相手に対して何かを言うことが怖くなります。だって、現実的ではないのですから。正しいことを伝えなければ、を強く思えば思うほど緊張し、身体はこわばり、相手に対する好奇心と遊びごころは失われ、異論・反論を指摘される恐怖に囚われ、フィードバックを恐れ、受け取ることをせず、対話そのものを回避するようになります。
フィードバックをもらえないあなたは、自分自身の知らない、気づいていない、意識していない自分に出会うこともなく、同じところをぐるぐると回るパターンの中で行き詰まってしまうのです。
相手に説明をして説得をして腹落ちさせる、という考えから離れてみませんか。フィードバックループを繰り返すことで、相手と対話をしているようで実は新しく魅力的な自分と出会い直すことをしている、と考えてみませんか。
フィードバックのやり方
親しい関係性から始めるエクササイズ
やることは簡単です。
相手に向き合う(ベクトルを相手に向ける)
最初に「率直に伝えるからフィードバックが欲しい」と伝えておく
言いたいことを飾らずに率直に言う
フィードバックをいざなう(どう?どう思う?どう感じる?)
フィードバックをもらう(良いことは…、更にがあれば…)
フィードバックを受け取る(感覚、感情、思考)
受け取ったことをフィードバックする(ありがとう、自分は買う感じたし、こう考えたし、こういう行動をしてみたい…どう?)
繰り返す
いきなりシリアスな関係でやることは難しいかもしれませんから、親しい関係の中でやってみることから始めると良いかもしれません。フィードバックループの中で素敵なことが起こるはずです。
フィードバックを受け取る際のポイント
フィードバックを受け取る経験があまりなかった人(大半の人がそうだと思いますが)は、相手に対してまずフィードバックをやり取りしよう、ということを伝えておくことが大切です。同時に、フィードバックを受け取ることの効用や、フィードバックのやり方(「良い点は…、更にで言うと…」)についても伝えておきます。
その上で、簡単なゲームみたいにリラックスした雰囲気の中でやることをオススメします。対話のやり取りが終わった後で、互いに感想を伝え合うことも良いでしょう。
左脳的な思考に陥りがちな人へのアドバイス
フィードバックする際に大切なことは”分析、評価、判断をしない”ことです。自分が感じたこと、思いとして湧き上がってきたもの、感覚で受け取ったもの、身体感覚があったものなどを直接返しましょう。
分析、評価、判断は「正しいこと探し」になってしまいますし、相手も責められたり、非難されたように感じるので、閉じていってしまいます。そうなるともはや本末転倒で、そこから立ち直ることはなかなか難しいでしょう。
遊びごころを持ってやってみてください。
応援しています。