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久しぶりに無駄に教養が付くかも知れない大人の講座。 今回も「古典」です・・。令和の出典元、・万葉集を読むその1

久しぶりの古典の大人の講座です。


テーマは、前回の女流文学から時代を
ぐっと前に持ってきまして、
「万葉集」を取り上げることにします。
 万葉集は「令和」の出典もととなった事もあり、
さぞや格調が高いように思われますが、
その実体は「ますらをぶり」といいまして、
豪快でストレートな句が多いのに気がつきます。
また、この撰集は、帝から地方に住む一般庶民の句も
一緒くたに集めていますから、
その形式も含めてきわめてバラエティにとんでおります

「万葉集」とはなにか


誰もが一度は学校でこの名を教わるはずですね。
教科書的に解説しますと、
7世紀後半から8世紀後半ころにかけて編まれた
日本に現存する最古の和歌集で、
天皇、貴族から下級官人、防人など
さまざまな身分の人が詠んだ歌を4500首以上も集めたもので、
大伴家持おおとものやかもちがこれを編纂したと言われております。

 では、この中に詠まれた歌はといえば、
意外と知らない人がほとんどじゃないのでしょうかね。
せいぜい、百人一首の元歌になった
「田子の浦~富士の高嶺に~」あたりとか、
額田王ぬかたのおおきみの「野守は見るや、きみが袖振る」
くらいなもんじゃないでしょうか。

 この万葉集というのは、
実はすごい物でございまして、
まずは、「和歌」という共通カテゴリーの下に、
天皇から下々の者に至るまで、
すべからく差別無く掲載しておるわけです。

しかも、そのジャンルがハンパない。

あたしは、一瞬、
こいつは古代版twitterとかFacebookみたいな
「SNS」じゃないか
と思うくらいのおもしろさなんです。
さらに言うならば、万葉集に収録された歌の約7割が
「ラブソング」なんですね。

その相手やシュチエーションはさまざまですが、
いつの時代も人びとの関心事は「色恋」なんだなぁって、
ホントに思っちゃうわけです。
そうですね、万葉集って、
ざっくりと言ってみれば「つぶやきまとめ」
みたいなもんじゃないかと言う印象を感じます。

万葉集は壮大な「古代版Twitter」だった

 さて、一口に万葉集と申しましても、
その全容は実に壮大なものなんです。
なんせ4500もの作品って言うか、
「つぶやき」を収録してるんですから、
全体像で言えば、なんと20巻もある超大作なんです。

 全巻完成までは、さまざまな人によって
まとめられていったようでして、
それこそ200年あまりの時間をかけて
さまざまな人が何巻かずつ編纂して、
最終的に大伴家持によって8世紀末頃、
トータル20巻にまとめられたって言うのが
実のところだろうって言う事なんでございます。

ですから、古点本、次点本、新点本というような、
成立年代ごとに細かな分類がなされております。
ですが、ぶっちゃけこんなのはどうでもいいんでございます。

また、その形式も今言われているような
「短歌」と言う形式にはこだわらず、
実にバラエティに富んでおります。
まさにやりたい放題の世界なのかも知れません。

まぁ、難しい話はさておいて、
7割が恋の歌というわけですから、
その内容を紐解いてみたりすると、
中にはめっちゃくちゃ下品な戯れ歌なんてのも収録されてるんです。
こいつらを見つけてみるのも面白いかも知れません。

「古文」ッて、なんとなくいかめしいイメージがありますけれど、
その実、なまら素朴でストレートな内容が多いんです。
その片鱗をいくつか紹介していきましょう。

出張先で「浮気」するアホ男のつぶやき見つけた

 で、今回見つけたはこの歌。これは、第14巻、3427番目の歌です。

筑紫なる にほふ児ゆゑに みちのくの 可刀利娘子の 結ひし紐解く
(つくしなる におうこゆえに みちのくの かとりおとめの ゆいしひもとく)

 さて、この歌はどんな意味なんでしょう?
これは、防人歌さきもりのうた
に収録されておる歌なんですが、
実を言うとこれなんかもろtwitterのつぶやきに近いんですな。

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 特に14巻なんかは、東歌とか庶民が詠んだ作品が多いわけです。
作者不詳が多いわけですから、
言ってみれば「民謡」とか「戯れ謡」に近いものなのかも知れません。
酔った席でちゃかぽこ詠った歌も
納められてるんじゃないかって感じもします。
それだけおおらかなんですね。

さてこの歌を解説してみましょう。
まずは、筑紫つくしなる」は今の福岡県、
防人というのは国境警備隊です。
当時の異国は朝鮮や中国です。
九州が国防最前線だったという事ですね。

これだけで言うと、東国にいる人びとが
兵士として国境の筑紫の国に招集されたわけだ
これが「防人」と呼ばれた方々・・
東北の出身者が多かったと聞きます。

ここまで言うと、前線に送られて大変だね・・。
という話になるんですが。

「におう児ゆえに」
ときます。

「におう」とは、現代語訳だと
「色っぽい、華やか」と言うようなニュアンスがございます。
しかも「児」は若い女の子を指します。

言ってみれば「ギャル」とか「オネーチャン」という意味合い・・・。
前線の筑紫の国って意外と
賑やかで開けていたと考えられるんです。
もちろん外国からの窓口ですから、
自分の故郷の東国から比べたら、
女性たちも垢抜けて、華やかに見えていたんじゃないですかね。

木綿のハンカチーフなのかも?

 さて、だから何?の世界になりますが、
そこで「みちのくの、かとりおとめ」という言葉にかかります。
みちのくは現在で言えば東北地方のことを指します。

この防人は東北の草深い故郷に、
おとめ」を置いてきています。

妻ではなく娘子おとめ」まだ結婚はしてない彼女のことです。
かとり」は地名だとも仕事の名だともいわれますが、
要するに「紐を結び合った仲の彼女」が
この男にはおるわけでございます。

 万葉集によく出てくる「紐」とは
下履きの紐のことを指します。
ちぎりを交わした男女は互いの下着の紐を結び合うというのが、
この時代の「エッチ」という表現
なのでございます。

ですから、紐を解くというのは、
「下着を脱ぐよ」
というわけです。
 では、ここまで解説すると、この歌は、こういう意味になります。

「筑紫の国のおねーちゃんはあまりにも色っぽいので、ふるさとに彼女はいるんだけど、ズボン下げちゃう」

 みたいな、ぶっちゃけ浮気男の歌にになってしまいますが、
深読みすれば、「木綿のハンカチーフ」みたいな物語が
この歌からは読み取れるような気もいたしますなぁ

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