個別の映画の詳細な批評を行っています。各作品について、その映像の表層にできる限り潜行し、物語と映像が交差するポイントからその映像そのものが突きつける潜勢力としての内的な体系、いわ…
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【映画レビュー】『映画 聲の形』~<共(コモン)>としてのコミュニケーション~
校庭の遊具に手をかけた右肩に小石が二度ぶつかって跳ね落ち、それに気づいて振り向く西宮。「お前さぁ、もっとうまくやらねぇとウザがられちゃうんじゃねーの?」という石田の声が聴覚にバンディキャップを持つ西宮の耳にはもとより届くはずはないのだが、建物に沈みかけた夕陽が拡散する光に背中を包まれ影を帯びた西宮が両手を胸の前で組み合わせ、「ともらち」という声を発しながら、手話によって応答する。
このダッチア
【映画レビュー】『ゼイリブ』~他にも道があるはずだ~
汽笛とともにオープニングのタイトルバックに浮かび上がる「THEY LIVE」の白いロゴがそのまま鉄橋の落書きとなり、不穏なサウンドとともにキャメラは右から左へとパンしていく。その真逆の方向に画面を横切る貨物列車の陰からネイダ(ロディ・パイパー)があらわれ、あたりに目をやりながら線路を縦断し奥から手前へとゆっくりと歩いてくる。この印象的なオープニングショットは、「THEY LIVE」というエクリチ
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