今でもなお。5 22.1.27
※この記事には『義母と娘のブルース2022年謹賀新年スペシャル』の一部ネタバレが含まれます。
今年2022年の1月2日に、『義母と娘のブルース』正月スペシャルが放送された。
前に書いたと思うが僕はこのドラマのファンで、連続ドラマの頃から毎週楽しく拝見していた。
今回このドラマが放送されることをしたのは、放送の一週間前、テレビの電子番組表に表示された時。すかさず録画予約をして、準備万端でその日を迎えた。
まず、去年の夏、ころなに感染して入院した、主演綾瀬はるかの元気な姿を見られて何よりも嬉しかった。
ストーリーは、綾瀬演じる主人公亜希子が再建したパン屋が、乗っ取り騒動に巻き込まれるというもの。
竹野内豊演じるハゲタカ企業の代表・岩城が佐藤健演じるパン屋の店長・麦田に近づくのだが、
亜希子「岩城は店長を狙ってると思います」
この言葉から、なぜか麦田は岩城が自分に気があると勘違いする。
亜希子「あの手の輩（注・岩城）はとにかくいやらしいんです」
亜希子「必ず穴を見つけて突いてきます」
麦田「（自分の尻を押さえて）穴を？」
亜希子「今度二人きりで会ったら、必ず岩城にやられると思ってください」
……。
…………。
はい出ましたよ、ゲイと見れば尻を押さえる自信過剰なノンケ（異性愛者）男。
これで終わりではない。
その後、二人だけで会おうと岩城にLINEで誘われた麦田、手伝いの青年を呼び出し、ズボンを降ろし下着姿になる。テーブルに置いてあった粘着テープを示して、
麦田「それで、俺が死んでも、う●こできねえようにしてくれ！」
と、さらに下着も下ろし、剥き出しの尻を青年に向ける。
コミカルなBGMも含めて、完全にギャグシーンとしての扱いである。
「ゲイ＝好色で男なら誰でも襲う」という発想は、同性愛者差別で物議を醸した某映画（吸血鬼がうんたらかんたらの）と根底での発想が変わらない気がする。
令和四年にしてこのギャグ――と思っている――扱い。
「ゲイと見れば尻を隠す」って、いったい何時代のネタ……？
まぁ
まぁ
これだけであれば、スタッフか脚本家の神経が行き届かなかったのね、となるのだが（でも、怒ってはいる）、さらに後半。
亜希子が酒に酔って娘と岩城の悪口を言うシーンがある。
亜希子「大体ヒゲ生やす人はね、ナルシストなんですよ。（中略・毎日鏡の前で自分の顔をじっくり見てヒゲの手入れをするので）何分も何十分も男のくせに」
すでに亡くなっている亜希子の元夫のナレーション「亜希子さんジェンダー平等ですよ」
ジェンダーには気を使うんかい！
ゲイへの揶揄と、「ジェンダー平等」が同じドラマの中で出てくることがどうしても理解できない。
ドラマは、世の中に出てくるまでにたくさんの人の目に触れられている。その中の誰一人としておかしいと思わなかったのだろうか。あるいは、おかしいと思っても声を上げられなかったのだろうか。
『やすらぎ』のときもそうだったが、ベテラン脚本家であるにも関わらず、このような「笑いとしてゲイ（カルチャー）を消費する」シーンは、現在のドラマでも絶滅したわけではない。
むしろ「時間帯を問わず使える便利な笑いのネタ」として重宝されているような気もする。
この「ぎぼむす」自体はとても良いドラマであり、一昨年の紅白で、主役の綾瀬はるかが司会、MISIAがこのドラマの主題歌を歌った。その際レインボーフラッグが画面いっぱいに映し出され、当時のことは大いなる感慨とともにここに書いている。
よりによって、その二人が関係するドラマで、なぜこのようなシーンが平気で出てくるのだろうか。
以上の件についてはTBSの問い合わせフォームで意見を送った。
何も言わなければ、無かったことにされてしまう。
そろそろゲイが「ノンケの玩具（おもちゃ）」としての立場を脱してもいいのでは、と思うので。
ただ、あくまでも冷静に、誹謗中傷にはならないように。
どんなに頭に血が上ったとしてもここは大事。
この記事を書くにあたってもう一度当時の紅白を観直してみたのだが、うっかりと目から涙がこぼれてしまった。
善人アピール？ いやいやまったくその通りだが、泣いてしまったものは仕方がない。
MISIAの後ろのモニターに映し出されたレインボーフラッグ
舞台で踊るドラァグクイーンたち
満席の観客
レインボーフラッグの小旗を持って、寄り集まり笑顔で応援する出演者たち
この時から世の中がこんなに変わってしまった
もしくはなんにも変わっていない
ことへの悔しさ的な。
ちなみに、審査員として麦田役の佐藤氏も出ていたんだけども、よりによって、当時司会だった綾瀬はるかとのコンビでなぜこんなシーンを……ねぇ。
特に綾瀬さん、こんなCMもやってたでしょ？
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