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[二十四節気:立春2025]文旦とマーガオ香る南インド風フィッシュカレー

文旦とマーガオ香る南インド風フィッシュカレー

二十四節気「立春2025」

二十四節気カレーチャレンジ コンプリートまであと3回

2025/2/3〜2025/2/17「立春2025」

前回の「大寒」のカレーですが、春に向けて徐々に目を覚ますような山椒の香りや痺れの奥底で、一年で一番寒いと言われるこの節を乗り切れるようにと大量の生姜を入れて、体の内側からじーんと体が温まるようにしてありました…が…、なんだろうこの温かい日々…春のような日差し…

「小寒」の間に研究所の駐車場に降り積もり寒さにカチンカチンに固まった雪はだいぶ溶けて、屋根からは毎日雪解けの水が垂れてきます。
そして、カウンターに座るお客様の額からも汗…
それものそのはず、「大寒」のカレーを半分ほど食べ進めると体の中でスパイスがガッチリ働いて代謝が高まり、皆さん体が内側から熱くなってきます。

そんな大寒の最後に「節分」を経ていよいよ「立春」を迎えました。
暦の上では今日からが春。二十四節気は「立春」から始まるので昨年の「晴明」から始めたチャレンジのコンプリートは「春分」が一つの区切りとなりますが、ここでは太陰太陽暦のスタート(旧暦の正月)となるこの「立春」に気持ちを新たにする意味でも「立春2025」とさせていただきます。

とはいうもののですよ…
明日から今冬最大級の寒波到来…「立春寒波」だそうです。
このまま「大寒」のカレーを続けたいくらいです…
でも年明けから(というかその前から)人間の中にある鬼がいろいろ暴れていて世の中大荒れですから、このくらいの寒波で本当の邪気払いが少しでもできれば良いなぁとも思います。
そういう意味では今年の節分は自分的にはとても重要な節目だったように感じています。

鬼はやさしい福の顔をしていつだって僕らの傍にいます。
本当の福は鬼のような顔をして僕らのことをうざったいくらいにじっと見てときには耳障りなことを言ったりしてきます。
やさしい福のお面を被った鬼を招いて、鬼の面を被った福を排除した結果、周囲にはイエスマンしかいなくなって自分の思い通りにやりたい放題。
そんな成れの果てが今の世の中であり、政治であり、年明けからの芸能界の騒動なんだろうと思います。

僕は「幸せは決してお花畑のようなハッピーな色や形をしてはやってこない。一見不運に見える出来事の中にこそある」と思っていて、それを見えるようにするためにはそれぞれの出来事を解釈するチカラが必要です。
この考え方は多摩大学院教授の田坂広志先生から学ばせていただいたもので、それ以来いつだって自分の中の軸がブレないように常に寄り添ってくれています。
もしご興味のある方はぜひ下記YouTubeリンクをご覧いただきたいと思います。

YouTube‐田坂広志が語る「すべては導かれている逆境を越え、人生を開く五つの覚悟」

世の中の膿がどんどん表に出てきて混沌としてきている状況でも春はやってきます。
昔環境教育に少し携わっていた時の定番プログラムに「春見つけ」や「秋見つけ」がありました。季節の変わり目に子供たちと森や河原、森林公園などを歩いて一緒に「春」や「秋」のしるしを見つけるというプログラムです。
まさにこのプログラムのようにこの混沌の中で「真実」と「希望」のしるしを見つけていくこと…。この寒波の中で春のしるしを見つけていきたいものですね。

立春大吉の御札を貼りました。

そういえば立春を迎えた2月3日、研究所の入口に立春大吉の御札を貼りました。御札は飛騨市河合町で長尾農園さんが冬仕事として作る「山中和紙」に筆ペンで「立春大吉」と気持ちを込めて書いた手作りのものです。

元は禅寺で新しい年の始まりである立春に、1年の厄除けの願いを込めて「立春大吉」の御札を貼ったことから広まったと言われている「おまじない」のようなものです。
「立春大吉」の文字は、すべて左右対称。縦に書くと、裏から見ても同じように「立春大吉」と読めることから、門や玄関に「立春大吉」と書かれた御札を貼っておくと、家の外から見ても中から見ても、見える文字は「立春大吉」なので、万が一鬼が入ってきたとしても、外から見えていたのと同じ文字が読めるので「まだこの家には入っていない…」と勘違いして扉を開けて結果出ていってしまう…という言い伝えから、この文字を書いた御札が厄除けとして使われるようになった…といういわれがあるそうです。

退治するのではなく勘違いして出ていってもらう…というのがなかなか良いです。この世に蔓延る鬼なんてどれだけ退治したってしきれません。気がつけば自分にも鬼の要素があるなんて気づくこともしばしば。
だったら知恵を使って鬼との距離感を楽しむというのも、自分の中に住む鬼との付き合い方の一つかもしれませんね。

文旦とマーガオ香る南インド風フィッシュカレー

文旦とマーガオ香る南インド風フィッシュカレー
文旦とマーガオ香る南インド風フィッシュカレー

マーガオ(馬告)という台湾の山奥に自生する幻のスパイスを知っていますか?

マーガオ(馬告)

馬告は、台湾の原住民「タイヤル族」の住む山奥にのみ自生しており、車では入ることのできない場所で1つ1つ手摘みで採取する、その希少性から「幻の香辛料」「レアスパイス」などと呼ばれています。「伝統」「長寿」「繁栄」などを意味する言葉の「馬告」は、「伝統が長く繁栄することを願った言葉」として名付けられたと言われています。

magao.jp

飛騨スパイスカレー研究所では2年ほど前にメンバーとの活動の中で色々と使ってみて、この不思議な香りの虜になりました。
黒胡椒のような見た目なのに、レモングラスのような後に残る爽快な香り、そして山椒のような辛味や生姜のような苦み、そして乾燥したスパイスならではのクリスピーな食感がとても面白くて、色々なものにミル挽きして楽しみました。

このスパイスが立春から始まる新しい一年の香りを楽しむための嗅覚の呼び水となってくれたら嬉しい…そんな思いで今回「立春」のカレーに使うことにしました。

「大寒」のカレーは八角やシナモン、オールスパイスなどの深い香りで体の深い部分にリーチするようなイメージでしたが、「立春」のカレーはそれとは全く違う爽やかな春風を感じるようなイメージで作っています。

文旦

そんな「立春」のカレーの主役は高知県で自然栽培されている「文旦」です。「文旦」というと直径20cm位もある大きな実が特徴ですが、今回は自然栽培の過程でどうしても出てしまうソフトボールくらいの大きさのSサイズを使っています。
研究所がこの「立春」の間に使用する量は微々たるものですが少しでもオーガニック農家さんのチカラになれたらと思います。

この文旦に合わせるのは淡白な味わいの白身魚。
写真ではメカジキを使っていますが、開所日に提供する魚は日によって異なります。
白身魚をマーガオと文旦果汁でマリネして、ココナッツと合わせた爽やかで温かい春の日差しのようなイメージで作りました。

ただ、思いがけぬ立春寒波予報がありますので「大寒」と同じく生姜は多めにして作ります。
小さいですが文旦の実も少し入っていますので、酸味の中にある仄かな甘味やマーガオ、ココナッツと重なった香りの三重奏を感じながらお楽しみください。個人的にはパクチーや「あじめこしょうのスパイスオイル」と合わせるのがオススメです!

開所日に提供する飛騨地鶏の無水カリーとのあいがけ
お皿は店主の気分で変わります…

このカレーは2月5日・7日・8日・11日・15日・16日と研究所の開所日にあいがけカレーとして味わっていただけます。
ぜひお召し上がりいただければと思います。

【レシピ】

材料 ー4人分ー

□白身魚(メカジキや鰆など) 300g 
□文旦果汁 大さじ3
□文旦果肉 50g
□玉ねぎみじん切り 1個分 約200g
□にんにくみじん切り 14g
□生姜みじん切り 35g
□カットトマト缶 200g (生トマトだと1個)
□基本のカレーパウダー”マイルド” 大さじ2
□マーガオ(ミル挽き) マリネ用 1g
□塩こうじ 大さじ1
□梅酢 大さじ1※ なくてもOK
□酒粕 大さじ2※ なくてもOK
□ココナッツオイル(なければ米油でもOK) 大さじ3
□ココナッツミルク 200g
□水 100〜200g(味、ゆるさを見ながら調整してください)
□マーガオ(ミル挽き) 仕上げ用 少々

-A-テンパリング用ホールスパイス
Aブラウンマスタードシード 小さじ1/2
Aフェンネル 小さじ1/2
Aフェネグリークシード 小さじ1/2
Aカレーリーフ 10枚

【作り方】
□下準備
・白身魚は食べやすい大きさにカットし、塩こうじ小さじ2(分量外)とミル挽きしたマーガオ1g、文旦果汁大さじ3を加えよく混ぜビニール袋に密閉し一晩寝かせる。
・玉ねぎはみじん切りにして、少量の塩(分量外)を振っておく
・ニンニク、生姜はみじん切りにしておく
・生トマトは角切りにしておく(カットトマト缶はそのまま使う)
・酒粕(板粕)は水100〜200gを入れた鍋に入れ火にかけ溶かしておく

1.フライパンにココナッツオイル大さじ3を入れ、Aのスパイスを入れテンパリングした後、マリネした白身魚を表面に軽く焼色がつくくらい軽くソテーして別皿に一旦よけておく。
2. 1のフライパンにみじん切りの玉葱を入れ少し色づくまで強火炒めたら、弱火にしてみじん切りのニンニク・生姜・カットトマトを入れ水分を飛ばし、塩こうじ(大さじ2)と梅酢(大さじ2)、基本のカレーパウダー”マイルド”(大さじ2)を入れ弱火でよく混ぜておく。
3.2のフライパンにココナッツミルクと酒粕を溶かした水を入れ沸騰させた後に、別皿によけた白身魚切り身を戻し、そこに文旦の果肉を入れ30分ほど煮込む。
5.皿に盛り付けたらミル挽きしたマーガオをふりかけてパクチーを添えて完成です。

基本のカレーパウダーマイルドはコチラからご購入いただけます。

2月の開所日(営業日)案内

2025年2月の開所日カレンダー

2月の開所日は少し変則的になりますのでご注意ください。

1月〜3月は水・土・日曜日を基本といたします。
※春から秋にかけての週末イベントが多い時期は水・金・土曜日営業ですが、冬季は週末イベントが少ないためです。
場所(たまに研究所外のキッチンでの出張営業もあったりします)や毎月の営業日のご案内についてはInstagramやストーリーズ等でご案内してまいりますので、チェックしてみてくださいね。

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