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[二十四節気:白露]秋刀魚のビリヤニと柿のライタ

二十四節気「白露」

2024/9/7〜9/21「白露」

今年も残暑が厳しいですね。
わかってはいましたが、それでも「もしかしたら過ごしやすい秋を迎えられるかも…」なんて楽観的に思っていた節はあります。
現実はなんとなくわかっていても、ちゃんと向き合わずに逃げてしまう…
これってある意味世の中の縮図ですよね…なんて…こんなことを考えるのはきっと暑さが一段落したということなのかもしれません。

僕の住む飛騨では朝晩はかなり涼しくなりました。朝寒さで目が覚めて、今日は涼しいとタカをくくっていたら日中は余裕の30℃オーバーという日が続きます。皆様、心身ともにお疲れではないでしょうか?

「白露」というのはまさにこの昼夜の寒暖差が生み出す露のこと。
我が家のワイルドな畑に生えているもはや野菜なのか草なのかわからない葉にも露がついて朝日を浴びて白く輝いています。
本来であればこの頃から日中の暑さも和らぎ始めるはずなんですが…
というかきっと和らいで入るんでしょうけれど、僕らが望むほどは和らいでいないという状況。朝晩涼しくなったからエアコンを止めると、実はエアコンマックスの夏よりも少し寝苦しい…なんてこともある、そんな我が家ですが、二十四節気の通りに多少のズレはありながらも季節は進んでいます。

ネクストステップは発酵とローカライズ

秋刀魚のビリヤニと柿のライタ
イタリア産の酸の効いた白ワインがよく合います

飛騨スパイスカレー研究所の発足してほぼ4年(12月で丸4年)、メンバーそれぞれに自分の好きなカレーとの向き合い方がありました。
僕は夏至のカレーで紹介した鎌倉極楽カレーの無水チキンカレーを感覚的な美味しさから再現性のあるレシピに落とし込むという作業をする中で、自分なりの「スパイスから作るカレーのメソッド」を作ってきました。
スパイスを多用する文化圏のカレーすべてを把握したわけではありませんが、気候的に寒い地域と暑い地域に分けて大まかな分類をして、この夏は南インドのカレーに触れ、自分の作ったメソッドにどれだけ落とし込めるのか?という検証をしてきて、なんとなく、自分のスパイスものさしをアップデート出来たかなと感じています。
そんな中、この夏に松本にある「発酵とスパイス」というカレー屋さんで南インドカレーの次のステップが決まりました。

この3年半ほど、スパイスカレーのアウトラインを自分の中に引いてくることに集中していたのは、僕の好奇心の赴くままに動いていたら、ただでさえ変数の多いスパイスの世界や食文化の中で、その輪郭を何も捉えることなく溺れてしまうと思っていたからです。
「発酵」はもともととても興味がある分野だし、その仕組み自体はフードデザインという仕事上わかってはいましたが、このケースでいちばんヤバいのは「なんとなくわかっているからなんとなくインストール」で、これは大抵ろくな結果を生まないのです。
なので、一度区切りをつけてしっかりと向き合いたいと思っていました。

スパイスの使い方は日々勉強です。特にカレー文化圏についてはまだまだ継続的に学んでいく必要があるので、もちろんこれは続けていくのですが、気がつけば既にライフワーク化してきたので、この作業に新たな「発酵」をかけ合わせるにはちょうどよい時期。
その名の通り、僕のスパイスメソッドも発酵を迎える時期になります。

そしてこの発酵を掛け合わせることは日本に、僕の住む飛騨に、ローカライズしていくことでもあります。日本の食文化の中で最も重要であるとも言える「発酵」。味噌、醤油、甘酒、酒粕、塩糀、納豆、鰹節…ともしかしたらスパイスと同じくらいの変数があると思います。
この掛け算がどんな答えを生むのか?
自分が求める答えとどんなギャップがあるのか?
とても楽しみです。

というわけで、今回の白露のカレーは
飛騨古川の酒粕と塩糀、梅酢で味を整えた「秋刀魚のビリヤニ」です。
言うなればビリヤニの飛騨ローカライズです。
ぜひお楽しみください。

【秋刀魚のビリヤニ2024】

昨年の秋に作った秋刀魚のビリヤニがとても美味しくて、これはブラッシュアップしたいな…と思っていました。
スパイスやパクチー、レモンと秋刀魚の組み合わせはとても魅力的で、実際にビリヤニにしてみると、料理技術云々を抜きにしても美味しかった。
でも時を経てくると「あの美味しさは”小さな驚き”の一つにしか過ぎないのではないだろうか?」と思うようになりました。
つまり「珍しい組み合わせで食べてそこそこ美味しかったという驚きがその一瞬の感情的な美味しさとして記憶されて、もしかすると同じレシピで食べたらそこまでの美味しさを感じないかもしれない…」ということ。

コレこそが日本の秋刀魚のビリヤニだ!
と思える味わいにするのに、まさにこの「発酵」が重要になってきます。
今回は通常の味付けに使う塩を減らして塩糀と梅酢を使い、酒粕を使うことでカレー全体にコクと香りを加えて渾然一体とまとめていく…そんなイメージで作りました。
日本の発酵食品の素晴らしいところは、腸内環境の改善につながっていくところ。残暑厳しい秋から急転直下の寒い冬へ季節が変わっていく飛騨ではこの発酵食品のチカラを使ってカラダの消化促進や免疫力向上につなげてきました。
この発酵×スパイスにチャレンジすることで飛騨スパ研が目指す「ココロもカラダも喜ぶカレー」にまた近づける…そんな期待を込めて作るビリヤニです。
今回はしっかりとしたグレービーソース(ベースになるカレー)を作り上げるために、茹でたバスマティライスをカレーの上に重ねて炊き上げるパッキ式ビリヤニにしました。

【レシピ】

材料 ー4人分ー 

A .フェンネル(ホール) 小さじ1/2
A .ブラウンマスタードシード 小さじ1/2

□米油 大さじ3
□玉ねぎスライス 1個分
□にんにく(みじん切り)12g
□生姜(みじん切り)12g
□トマト角切り  1個分
□水 150ml
□酒粕(練り) 大さじ1
□塩糀 大さじ1
□梅酢 大さじ1
□アジメコショウ(青唐辛子・生唐辛子) 1本
基本のカレーパウダー”マイルド” 大さじ1
基本のカレーパウダー”リッチ” 大さじ1
□れんこん みじん切り 50g

□秋刀魚 三枚おろし 2尾分
□すだち 1個

□バスマティライス 280g

□赤タマネギ(スライス) 1/2個分
□赤ラディッシュスプラウト(かいわれ大根でもOK)適量

【作り方】
□下準備
・玉ねぎは繊維に対して垂直方向にスライスしておく
・にんにく、生姜はみじん切りに、トマトは角切りにしておく
・アジメコショウ(青唐辛子・生唐辛子)は小口切りにしておく
・秋刀魚は3枚におろして、身と頭と骨に塩を振り170℃に熱したオーブンで20分焼く
・れんこんはみじん切りに、赤タマネギは繊維に対して垂直方向にスライスしておく
・バスマティライスは軽く洗ってから30分浸水し、その後水を切り沸騰したお湯で6分茹でる

1.鍋に米油をいれAのホールスパイスをテンパリングしたらそこにスライスした玉ねぎを入れきつね色になるくらいまで強火で炒める。
2.1ににんにく、生姜、トマトを入れ更に水分を飛ばし、アジメコショウ、塩糀、カレーパウダーを入れ弱火にかけながらよく混ぜペースト状にする。
3.2に酒粕と水、梅酢、ほぐした秋刀魚の身を1尾分入れ弱火にかけながらよく混ぜる。この時点で味見をして味が薄いようであれば塩で調整する(ビリヤニ用のカレーは味が濃すぎるくらいで良いです)
4.3の上に茹でてお湯を切ったバスマティライスを重ねて入れ、その上にオーブンで焼いた秋刀魚の頭や骨、残り1尾分の身を乗せてフタをし、中火で1分熱した後弱火で13分炊き、その後を火を止め10分蒸らす。
5.フタを開けたら秋刀魚の頭と骨を取り除き、しゃもじで秋刀魚の身をほぐしながらさっくりと全体を混ぜ合わせます。一番下にカレーがあるので上下混ざり合わさるように、少し米の白い部分を残るくらいが良いです。
この時に細かく切ったすだちの皮(すりおろしても良い)を入れて混ぜてください。(お好みで針生姜を入れても良い)
6.皿に5を盛付けて、赤タマネギのスライスと赤ラディッシュのスプラウト(かいわれ大根)、すだちをトッピングして出来上がり。
すだちを絞って食べるのがおすすめ
本格的なビリヤニの中にしっかりと和の味わいが感じられます。
トッピングにはあえてパクチーもミントも使いませんでした。

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【柿のライタ】

柿のライタ

スーパーに奈良県産の柿が売っていたので、秋刀魚のビリヤニに添えるライタ用に購入しました。
僕はライタの中ではこの柿のライタが一番好きかもしれません。

ビリヤニと柿のライタ


柿とヨーグルトとスパイスがとても良く合うし、ビリヤニに混ぜたときにより一層美味しくなるのです。
ライタ用のヨーグルトは最近ギリシャヨーグルトにハマっています。
かなり濃厚でもともと水切り製法で作ってあるので、水を切らなくても使えて便利。もちろんヨーグルトだけで食べても美味しいです。
今回は塩と砂糖は使わず、塩糀とみりんで味を調整しました。

【レシピ】

材料 ー4人分ー 

□下準備
柿は皮を向いて角切りにしておく

□柿(角切り) 2個
□ヨーグルト 200g
□塩糀 小さじ1
□みりん 小さじ1
□レモン汁 小さじ2(国産レモン推奨)
焙煎デュカ 大さじ1

【作り方】
ボウルに材料すべてを入れて混ぜ合わせれば出来上がり

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今年はぜひ発酵×スパイスのビリヤニにもチャレンジしてみたくださいね!


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