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【くら詩note】 #一緒に生きよう

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人生、山あり谷あり。晴れたりやんだり。楽しいときも辛いときも、いつもポケットに詩がありました。今までさんざん書き散らかしてきた詩のノートより、お気に入りをピックアップ。♯一緒に生…
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【くら詩note】太陽しか見えない日

【くら詩note】太陽しか見えない日

【太陽しか見えない日 】

私にはあなたが見えた 

太陽で何もかも見えない日
街の片隅でひっそりと臨んだ
消えそうで消えない
今日の朝の三日月を

まぶしすぎて見失ってしまう
うつむくだけで 
光の影になってしまう
いい子になるつもりなんてない
ただ誰かの笑顔が見たかっただけ

明るいことがすべてだと
勘違いしている真昼の世界から
どうぞ連れ出して

太陽しか見えない日に 
どうかしている私に 

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【くら詩note】透明

【くら詩note】透明

【透明】

いるのかいないのか
ときどき人に
よくわからないと言われます

ときどき透明が怖くなります
交差点を渡る人ごみに紛れて
私はどこかに
いなくなるような気がします

いるのかいないのか
わからない透明に
飲まれてしまいそうで
ついつい確かめるように
歩道に力をいれて
コッツコッツと歩いてしまいます

渋滞のクラクションが響きます
さっきまでうつくしい円形だった
見事な夕日さえ
ほろりほろ

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【くら詩note】 そっぽ

【くら詩note】 そっぽ

動物園のキリンが
僕たちと違う方角を見ている
君はあれからすぐに
フラミンゴの方角にみとれて 
僕と違うところを見ている

今日の風はどこ吹く風
広場の風見鶏は屋根の上で
くるくるとまわりっ放し
東西南北にいそがしい

日曜日の動物園 
おおぜいのひとは
どうしようもないくらい 
ひとである一日を忘れて
陽ざしの満ちる方角にあふれていた

時々そんな日が 
僕たちにあってもいいじゃないか 

ひと

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【くら詩note】アリフレタナニカ

【くら詩note】アリフレタナニカ

キミがどこへ行こうとしているかは
ダレも知らない
ボクだってボクがどこに行くかなんて
わからない
今はヒトのいのちが
どこへ行ってしまうかということよりも
もっと知らないといけないことが
山ほどあって
ボクタチはその道の途中

住み慣れたガラス窓に映る
空は堂々と生きて
ボクは堂々とボクとして
生まれてきたはずなのに
いつの頃からか
ボクの中の何かが
何かになろうとして泣いていたんだ

だけどどう

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【くら詩note】鳥

【くら詩note】鳥

目覚めても
幾度目覚めても
鳥になることはない
翼なんて生えない

朝の光
シーツにうずくまって
覚めることのない夢を抱えていた
カーテンの向こうの空を見ていた
とべない空を見ていた

大空よ僕たちは
鳥になんてなれない
その青さを手にするには
どこから辿りつけばいい?

願いあって
祈りあっても
翼は生えない
だけど僕たちはゆくよ
ひしめき広がる平面の景色を

何があっても
うつむかないってこと

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【くら詩note】ゆび

【くら詩note】ゆび

町の夜はとてつもなく
暗いと感じて
にんげんは
星の光だけでは
足りなくて
求めてしまうのです

行き先のわからない
明日からの身の上を案じ
何億もの星の下
とどかない高さをもとめて
生きてしまうのです

人工につくったあかりは
必要以上にあかるくて
時には見たくない孤独を
さらけ出してしまうけれど

それでもすぐそばに
なくてはならないものに
なってしまって

今宵もあちらこちらから
光りだすに

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【くら詩note】幸福堂

【くら詩note】幸福堂

新規開店の扉の前に
何やら長い行列ができていた

何のお店かわからないまま 
行列につられて 
次から次へと人は続いてゆく

誰かがぽつりと言った 
このお店には評判の 
幸福になれるグッズがあるの

誰かがぽつりと言った 
このお店には評判の
幸福になれるサービスがあるの

何もわからないまま
次々と人は並ぶ
どこまでもどこまでもつられて

やがて木製の小さな扉が開いた
人々は次々と 
扉の向こ

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