妄想ウォーキング
へー、こんなところに立派な建物があったんだ。知らなかったよ。
わたしのウォーキングは、基本的にコースが決まっている。体力と距離と時間など元にを地図上(Googleマップ)でにらめっこして決めたコースである。
3,000歩、歩くのが目標。平均的な体格の大人の場合、10分歩いて7〜800mでちょうど1,000歩ぐらいらしい。まあ、誤差は承知のうえ。
つまり、3,000歩という目標は30分歩くということ。距離に換算すれば2Kmちょいから2.5Km弱。たいしたことないと思うでしょ?だから、自分でも何とかできるかな、と思った。
引きこもって5年間近くまともな運動はしていない。せいぜいストレッチや軽い腹筋モドキくらい。だから、ムリのないところから始めたつもりだったのだ。
往復30分なので、片道15分くらいの目的地を適当に定め、Googleマップで行き先を尋ねる。徒歩ルートで車の通りが少ないルートを選択。
ふふん、IT使いこなしてるって気分がしてくる。ゲームのためだけにスマホを買い替えているわけではないのだ。
そうやって、30分コース、20分コースを決定。調子がよくないときのためのことも考慮しておいた。
前振りが長くなってしまったが、そんなわけでいつも通る道は決まっている。何日か休んではいるが、約3ヶ月。我ながらよくやっていると思う。
それでも、まだ道中で新発見が多いのは興味深い。
初めの頃はGoogleマップのお導きを間違えないこと、とりあえず歩き通すことだけで頭がいっぱい。道順を覚え、ペース配分に余裕ができると、少しずつ道中の景色を眺める余裕もできる。ランドマーク的な存在はいつも変わりなくそこに存在している。例えば、駅や公園、神社など。
それらも3ヶ月も過ぎると趣に変化が生じる。植物は成長し、夏の日差しに炙られて物の影が一層クッキリとしてくる。すれちがう人々の装いも夏本番らしくなっていくだろう。
それにしても、この建物には見覚えがない。こんなに立派で地域の歴史にも関与していそうな建物なのに。はて、なんという建物だろう。看板を探すか、またもやIT世代らしくGoogleに聞いてみるか。
あ、一昨日、昨日とちょっと用事を詰め込みすぎて、今日は朝から寝込んでいたのだった。すると、君はなにかい?ウォーキングに燃えるわたしの代わりに、頑張っている夢を見せてくれているウォーキングの妖精か何かかい?
そんな妖精がいるかい!っとまだ軽く痛む頭をこづきつつ、起き上がる。軽く休むだけのつもりが、夢をみるほどしっかり寝てしまったとはお恥ずかしい。
ウォーキング中の光景で最後に印象に残っているのは、保育園の園庭でふくよかに実った葡萄の姿だった。実に美味しそうだが、園児全員に分けるほどはなさそうだなぁ。
先生方で秘密裏に処分(おやつにする)しかなさそうだが、園児たちにはどう言い訳をしたものかなぁ。
わたしは普段以上に回転しない頭で、保育園の葡萄をどう円満に処分するか、くだらない妄想をしつつ、帰宅の途についた。明日には保育園まで足を伸ばせそうな気がする。そこに葡萄のあるやなしや。
先生方がどんな奇想天外な物語を、園児に聴かせたかを妄想しつつ、歩くとしよう。