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廃工場今もねぎらう秋の夕
中学生の頃、祖父母の家から自転車で20分くらいのところに住んでいた。いまはその祖父母の家に住んでいる。
何やらお使いかを言いつかい、自転車で出かけるもしばしばあった。そのとき、この工場の脇を通る。その工場は、何を作っているのかはわからないが、接着剤のような鼻を刺すような刺激臭を発していた。
匂いに過敏なタイプだったわたしは、工場が近づくと思いっきり息を吸い、息を止め、全力で自転車をこぎ、工場をやり過ごすのが常であった。
今では工場は一見すると、駐車場のようになっている。嫌だったあの匂いもしない。業態を変えたのか、本当につぶれてしまったのかはわからないが、失礼ながらここでは廃工場とさせてもらった。
あの匂いに満ちていた頃、業務終了後には、大勢の工員が汗をぬぐいながら帰路についたのではないだろうか。そんな光景を想像し、当時と変わらず工場を見守る空に思いを馳せてみた。
壮大な自然にとってみれば、人の営みなど一瞬のできごとにすぎまい。だが、目に見えぬウィルスが社会を混乱に陥れることもある。目に見えぬ人の営みが、自然を傷つけぬよう謙虚でありたい。
ゆうぐれつながりでこんな句も。
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