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『南総里見八犬伝』が大好き過ぎて

 はじめましての人も、
 前から知ってる方も、
 ごきげんよう。

 偏光です。

 「曲亭きょくてい馬琴ばきん」が筆名であって、
 滝沢興邦おきくにはただの一度も、
 自ら「滝沢馬琴」とは、
 名乗っちゃいねぇんだよ!

(文字数:約3300文字)



前編:映画鑑賞

  ……とまぁ随所随所で原作厨が、
  発動されそうで大変に危険なんだが、
  封切り当日に観ないわけにいかんだろ。

  『南総里見八犬伝』を、
  もちろん岩波様が活字に直した版だが、
  原文そのままで読み通して、

  出版当時の人々さながらに、
  どハマりしたこの私は!

   『八犬伝』2024年
    監督:曽利文彦
    出演:役所広司、内野聖陽
       土屋太鳳、渡邊圭祐

    ※映画の原作はあくまでも、
     山田風太郎『八犬伝』
     である事に注意。

  今時VFX推しってww
  とか、

  悪役の言動が分かりやす過ぎてダサw
  とか、

  思われた方もいらっしゃるかもしれないが、

  これでいいんだ。
  むしろこれがいいんだ。

  なぜなら映画におけるそうした部分は、
  芝居の書き割りに、
  舞台装置みたいなものだからだ。

  意匠や様式に則って合わせ込み、
  限られた時間の中で、
  観客に何をどれだけ伝えるかを、
  吟味し工夫し尽くした結果だ。

  よくぞ物語パートの要所要所を、
  1時間程度に納め尽くした!

  「なるほどこことここを繋げて、
   ここを飛ばしてこうしたか」と、
  原作マニアにも相当に興味深い!

  強いて言えば駆け足過ぎて、
  「この八人が揃って仕える、
   里見さとみ義実よしざねが何者(汗)
   なんでコイツそこまで偉いん?」感が、
  拭い切れないが、
  (セリフには盛り込まれているけれども、
   普段の仁政部分までを表すには、
   さすがに時間が足りないので)

  何せ虚構は虚構に徹してくれた方が、
  現実パートが身に迫る。

  推しの神絵師、葛飾北斎が、
  あらすじを聞かせた時点で、
  口は悪くても結局誉めてくれるばかりか、

  その場でさらさらっと、
  挿絵的なもん描いてくれるんだぜ?

  見せるだけで渡しちゃくれねぇんだが、
  心得てやがるよな。なおさら有難いぜ。
  小説家としてそれほどに、
  望ましく羨ましい状況なんぞあるかぁっ!!!

  あと鶴屋南北カッコいい!
  鶴屋南北がカッコいい!!!
  配置が絶妙で最高!

  そう。
  あえて「配置」と言わせてもらおう。
  映画全体の配置でもあり、
  出演場面における配置でもある。

  馬琴先生が南北先生脚本の、
  芝居を観に行く場面がある事で、
  先ほどの「VFXも書き割りと同じ」
  という感覚が納得できる。

  納得しかねる方も南北先生が、
  「そういう方もいまさぁね」
  と拾い上げて下さる。

  物語パートを切り取って観たところで、
  馬琴先生部分を早送りで観たところで、
  この映画全体の本領は発揮されない。

  タイパ重視傾向の現代に抗うような、
  構成を築き上げましたな。

  あと小説家は皆、
  曲亭馬琴派か鶴屋南北派に分かれる、
  わけではなくて、

  頭の中に両巨頭が住み着いてて、
  使い分けてんだよ実際のところ。


中編:私の作品紹介

  注意:BLが苦手な方には、
     不明瞭な用語も出ますので、
     これより以下、
     無理してまで読まないで下さい。

  曲亭馬琴先生の文章にどハマりし過ぎて、
  読了後の脳内に、
  マンガ形式で湧き出したものの、
  (なんでマンガで湧いたのか分からんが、
   きっと馬琴先生の文章は超えないからな)

  画力も技術も作画知識も皆無なので、

  とりあえずコピー用紙に手書きで、
  一旦最後まで描き上げてはみた、

  前編10話×32p =320p
  後編12話×32p =384p
  総計704p

  という長丁場の、
  しかしあくまでも下書き
  (前半、第一話の4分の1)
がこちら↓

  私個人の技能では今現在、  
  清書の上で完成させ切れる気がしていない。

  絵師様と懇意になり、
  目を通すだけでも何とぞ、
  お願いしたかったのだが、

  2019年11月1日第一話投稿時点より、
  親しくなれた絵師様などおらず、
  感想以前に興味すら抱けてもらえていない。

  何より原作ファンはもちろん、
  八犬伝のBL系二次創作ファンですら、
  怒り狂うであろう、

  道荘&荘しの
  リバ
だ。

  そう目にしただけで吐き気を催す方が、
  いらっしゃるだろう事も承知の上だ。

  私は荘介が激推しだからな。
  一切の思慮を放棄した、
  心の赴くままであれば、

  荘介の総受、
  
にしたかったところを、

  原作を読み込んで、
  原作の記述内容や時間軸に、
  矛盾だけは生じないように、
  合わせ込んだんだ。

  そもそも呪いと水晶玉が、
  現代においてどのような、
  意味を持つかまで解釈したんだ。

  江戸時代に書かれた、
  室町時代の話だし、
  女性の扱いが酷いとか、
  男尊女卑みたいに思われがちだけども、

  実は八犬士よりも、
  伏姫様がハイパーにカッコいいからな。
  霊体のくせに物理的に蹴り入れるし。
  
  見てみたい方は、
  怖いもの見たさであっても構わないから、
  是非!


後編:ネタバレ厳重注意!


  ネタバレなど絶対に許せない方は、
  今この時点で引き返せ!!!

私の人となりを信頼された方、もしくは、
ネタバレも許容される方はこちら

  残念ながら、と言うよりは、
  当然ながら今回鑑賞した映画は、

  曲亭馬琴作『南総里見八犬伝』
  全体の中ではせいぜい前半部分が、
  まとめられていたに過ぎない。

  馬琴先生が失明してもなお、
  書き上げたかった内容は、
  更にその、先なんだ。

  ええいもう書いちゃうよ。
  盛大にネタバレだけども書いちゃうよ。
  今回の映画で細部まで最後までの、
  映像化は不可能だと確信を持ったからね。

  あと私の下書き704pでも、
  その、先の部分までは、
  手をつけ切れなかったからね。

  下書き704pにすら、
  その理由は書かなかったけど、
  今回この記事でだけ書いちゃうよ。

  ここまで来たらば偏光マニアだろう皆さん、
  よろしいかね。


  敵の居城である五十子いさらこ城は、
  仁の字、親兵衛が合流する前と後で、
  2回、合戦の舞台になる。
  (映画では唐突に親兵衛が合流して、
   五十子城戦クライマックスに向かうが、
   何せ一時間程度の尺なので、
   そこは致し方ない。)

  そして2回目親兵衛合流後の合戦では、
  本気でだ。
  こちらこそが馬琴先生の真骨頂だ。

  悪以外倒さない!!!

  死んだとて仁野郎の親兵衛が、
  次々と生き返らせやがる!!!

  そんな話のどこが面白いんだって?
  敵を倒してスカッと爽快気分に、
  浸りたかったんじゃないかって?

  ああ。
  そう思った奴も出版当時に、
  相当多かったからこそ、

  「途中でやめときゃ良かったのに、
   売れるからって出版社が引き伸ばして、
   やたらと長くなってしまった」説が、
  まことしやかに囁かれ続けたんだよ。

  もう一度繰り返すぞ。
  心して頭の中でもじっくりと、
  思い浮かべてみろ。

  悪以外を誰一人倒さないんだぞ。

  じゃあ悪って何?
  誰も倒せないなら合戦って、
  何のためにやるの?
  奇跡ってどれだけの犠牲を払う事で、
  成し果たせるものなの?

  そんな内容をあくまでも表面上は、
  チャンバラ活劇な流れの中で、

  ソイツにどハマって、
  心底「面白い」と感じてしまった日にゃ、

  敵を倒した城を落としたヤッター、
  程度の物語じゃ、
  全然物足りなく味気無くなるから。

  そしてそんな話が、
  1842年時点で書き上げられていた事実に、
  読ませてしまった馬琴先生の筆力に、

  2024年現在を生きる小説家から見て、
  何かしら忸怩たる思いは、
  湧いて来ないか?


以上です。
ここまでを読んで下さり有難うございます。
  

#私の作品紹介

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偏光
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