決意
コバルトブルーの君の瞳に炎が宿った。
霧がかっていた魂の輪郭が形を成す。
瞳孔がぱっと一瞬開き 思わず息を飲んだ。
そうか 君は決めたのだね。
決意の瞬間だった。
瞳から涙が溢れ出てしまいそうな程には悲しいのだろう。
けれど止める権利は僕にはない。
刹那
君は高い位置から
翼の無い腕で空へ羽ばたいた。
この世での君の最後を見届けるのは僕の役目。
そして あの世について手取り足取り伝授するのも又僕の勤め。
天使ってのは楽じゃないんだ。
せめてもの慈悲に
まだ僅かに熱の残るかつて君の魂の入れ物だったものを
翼で一瞬だけ優しく包み
僕は君の魂を追った。