筋トレはすればするほどいいものではない
私は長らく筋トレを続けている。
別にボディビルダーの様に大きな体を
手に入れたいわけではないし、
今からトップアスリートを目指しているわけでもない。
シンプルに体のパフォーマンスを落とさず、
自分が理想とする体でありたいと思うとともに、
筋トレ自体が楽しいから続けている。
そんな私も時々意識的に筋トレを休むことがある。
それは体調が悪くなってきたときである。
30代の前~中頃は少々体調が悪くても
筋トレを続けていたし、
別にそれが理由で何か日常生活に不具合が
出ることなどなかった。
だが、40歳になるころから何だか一気に
体に無理をさせることができなくなった。
昨年は帯状疱疹を発症してしまったし、
疲れがたまってくると露骨にパフォーマンスが
落ちたと感じることが増えた。
この夏には何というわけではないが、
あまり体調がすぐれないことが続いたので
意識的に筋トレを休んでいた。
よく勘違いされがちであるが、
筋トレを止めたからと言って
筋肉がすぐに落ちてしまうわけではない。
プロのボディビルダーの様に
極端に筋肉をつけている人ならば
筋トレを止めることで筋肉量の変化を
実感するであろうが、
私達一般のレベルでそれを感じることは
少ないと私は思っている。
実際、私は2か月弱ほど筋トレを意識的に休み
10月中旬から筋トレを再開したが、
すぐに以前のペースを取り戻し、
11月に入るころには過去と同じぐらいの
負荷で筋トレができるぐらいになっていた。
そのぐらい筋肉は簡単に落ちるものではないし、
比較的早く回復するものでもあるのだ。
だが、今回こうして筋トレを再開し
私はあることに気がついた。
それは筋トレをすることで
露骨にお腹が空くようになったことである。
このことは以前から薄々感じてはいたのだが、
今回2か月ほど筋トレをやめてみて
再開したことで改めてこのことが本当だと
気が付いたのだ。
「そりゃ、運動すりゃお腹もすくだろう」と
思われる方もいるかもしれないが、
私が筋トレにかけている時間はたかが知れている。
1日1~2部位のトレーニングを数種目するだけなので
実質30分/日程度の時間しかかけていないし、
有酸素運動の様にずっと動いているわけでもない。
多くの時間はインターバルとして取っているので
実質の運動量としては大したことはないのだ。
ではなぜお腹が空くかというと、
回復のために体がたんぱく質を求めるからであろう。
最初は筋トレにより筋肉中のグリコーゲンが消費されて
その影響でお腹が空くのではないかと考えたのだが、
言っても1日1~2部位の筋トレでそこまで消費されるとは
思えない。
そうなると、考えられるのは筋肉の回復のために
体がたんぱく質を摂ろうとしているという説である。
筋トレをすることはある意味で体を一時的に
痛めつける行為でもある。
そうしてダメージを受けた筋肉をもとに戻し、
次のダメージに備えて少し強くしようとする作用を
積み重ねていくことで筋肉が付いていくので、
そのための原材料を体は求めるようになる。
そして、その原材料とはたんぱく質である。
今の時代でこそプロテインのようにたんぱく質を
選択的にかつ効率的に摂取できるものができたので、
本来ならば脳は「プロテインが飲みたい」などの
メッセージを発してくれればいいのだが、
当然脳はそんなことを知らないので、
お腹が空いたというメッセージを発生させて
何でもいいから食べ物を食べようとさせるのだ。
そして、そうしてお腹が空くと
私達は嫌でも炭水化物を求めてしまう。
本来体はたんぱく質を摂取したいはずなのだが、
空腹を満たすためには血糖値上昇が必要なのか、
どうしても炭水化物を求めてしまうのだ。
筋肉の回復にも炭水化物は重要であるし、
たんぱく質単体を食べるよりも適切に炭水化物を摂取して
インスリンを分泌させながら摂取したほうが
筋肉の回復は促進される。
だが、それを知っていても食欲という信号に対して
食べるものをコントロールすることは案外難しい。
そのせいか、私は筋トレを再開したことで
わずかではあるが、体重が増えてしまった。
冒頭にも書いたように私自身は別に
ボディビルダーのような体を目指していないので
少々太ったとて何ということはない。
だが、実はこの理屈が原因で
ダイエットに失敗している人は
案外多いのではないかと思うのだ。
かつてはダイエットの基本と言えば
有酸素運動と言われてきた。
20分以上有酸素運動を続けることで
脂肪の分解が始まると言われ、
一生懸命走ったり歩いたりする人が増えた。
だが、最近ではそうではなく
筋トレをして筋肉量を増やし、
その結果として基礎代謝を増やすことで
楽に痩せようという流れが強くなった。
YouTubeを調べれば有酸素運動と筋トレを
組み合わせたようなコンテンツが山の様に出てくるし、
巷ではたんぱく質〇g入りなどとうたう商品が
沢山出てきた。
私はこの流れ自体は決して悪くないと思うのだが、
この方法を採用する限り、
今回私が感じたような空腹というサインが
脳から出されることになってしまう。
栄養補給に対して強い意識が向いている時には
空腹があっても適切に栄養を摂取できるであろうが、
そのような意識をずっと向け続けることは
案外難しいものである。
どこかで意識が低下すると空腹に任せて
炭水化物を過剰に摂取してしまい、
ダイエットのために筋トレをしていたつもりが
逆にリバウンドしてしまうことになる。
では、このような事にならないためには
一体どうすればいいのだろうか。
筋トレをする頻度を下げて、筋トレをした後に
摂取する食べ物を一定にする習慣を
つければいいのである。
筋トレした当日は何を食べて、翌日は何を食べる。
それを決めておくだけで、
筋トレによる空腹をうまくコントロールできるのだ。
そして、筋トレの頻度を毎日ではなく
数日に1回程度にすれば、
ずっと筋トレ後の食事を維持する必要もないし
妙な空腹を感じない期間も作ることができる。
ダイエットや筋トレをするとなると、
なぜだか毎日しなければならないと思い込み
自分を追い込む人が多いのだが、
実はそれが逆効果になってしまうことも多々ある。
それを見なおしてみることで本当に望む効果だけを
得ることが可能になる。
今回紹介した話はあくまで私の仮説なので
どのような頻度で筋トレをするのがいいのか、
この頻度で筋トレをする場合、
筋トレ後はどのような食事がいいのかなどの
基本的なことは今後検証が必要である。
だが、現状筋トレを取り入れながらダイエットをして
上手く成果につなげられていないならば、
一つの考え方として試してみて頂けると嬉しい。
今回筋トレを一時的にやめてみることで
自分の体に起こっている変化を感じ、
今回紹介したような仮説に行きついた。
やはり何事もがむしゃらに続けるばかりではなく
一度止めてみるというのも大事なことだと
改めて感じさせられた。