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『文』『詩』

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思ったこと感じたことを書き殴ったような文。 共感やこんな感情もあるのか、をコンセプトに。 不定期更新。
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#短編

詩【恐怖という感情】

額縁のような窓から外を見る 新緑だった木の葉が紅葉して 季節が流れているのを感じる 私は動けない 空を舞う鳥のように翼を動かせたら 私は躊躇いもなく この額縁のような窓から飛び出すのに この身体は絵の具で固められたみたいに 動かない 動かせない 恐怖という感情は 本当に厄介だ

詩【あなたがいないと創れない】

あなたがいない朝 ベッドが冷たい 心が寒い 探しても見えないのに あなたがいつもいた場所を見てしまう ため息が霧になり 部屋中に広がる 早く帰ってきて 無事に帰ってきて 私の世界は あなたがいないと創れない

詩【一時の感情でも本物にさせて】

嘘をついて偽って隠して蓋して 笑顔の裏には涙があって 強がって背伸びして慣れない靴はいて 靴下の中は傷だらけ そんなときに優しくされたら 好きになっちゃうよ もしかして狙ってた? なんて調子にのっちゃうから もう泣かせないで悲しませないで 愛して愛させて 例え一時の感情でも本物にさせて あなたと死ぬ夢が見たいから

詩【いちにのさんで】

いちにのさんで 用意して 逃げ出す準備は出来たかい? 胸に勇気を詰め込んで 耳を塞いで扉の前へ 自分の心を偽って 現実に潰されるときもあるだろ 泣いて叫んでも助けは来ない 救い出せるのは自分だけ いちにのさんで 走り出せ 方角なんて気にするな 逃げ道だって立派な道さ とにかく走れ 走り出せ 理不尽ばっかの世の中だから 幸せなんてやってこない 道端にある小さな希望 掴むのだって自分次第 いちにのさんで 望む未来 夢見て走ってかき消されても 胸に勇気を詰め込んで もう一度

詩【仄かな光が灯る】

ゆるり、ゆらり、ゆるりらと。 今年も仄かな光が灯る。 今に感謝し、次に希望を。 願い願って立ち上がろう。 1mmでも進めたならそれで良い。 あなたが向いている方が前なのだから。 道が違えど終着は同じ。 最後にまた会えることを信じて。 今は別れを、次に祝福を。 願い願って立ち上がろう。 ゆるり、ゆらり、ゆるりらと。 今年も仄かな光が灯る。

掌編小説風日記【海老】

私が食べられないものの一つ。 それは海老。 茹でると赤く色付いて、調理法によっては色々な歯触りが楽しめる。 あの海老。 嫌いで食べられないわけじゃない。 むしろ大好きで。大好きで、大好きで。 食べ過ぎてアレルギーになった。 さっくさくになったパン粉をまとうエビフライも、魚のすり身とあらく潰した海老の二つの食感が楽しめる海老しんじょも、パラパラとしたお米の中に潜んでいる小海老探しが楽しい海老チャーハンも、マヨネーズのまろやかさと大きな海老にテンションが上がってしまうエビマヨ

文【大切な人達への道標】SS

今、そばにいてくれる人達を大切にしよう。 そう思っているのに。 ほんの少しの何気ない悪意が、私の視界を黒く塗り潰す。 懸命に光を探すけれど、闇に突き落とされたかと錯覚するほど。 何も見えない。 大切な人達を蔑ろにした罰だ。 今あるもので満足しなかった罪だ。 何処からともなく、そんな声が聞こえてくる。 恐くて涙さえも出ないけれど。 そんなときは、呪文のように 「ありがとう」 と、言い続ける。 ただひたすらに。 声に出ているのか、心の中で呟いているのかは分からないく

文【鉛筆のような人生】

生きるために文章を綴っているけれど。 綴れば綴るほど、私の命が削れていく。 売れる文章を書かなければ、生活だって出来なくなる。 あと一歩。 前に踏み出せたら。 と考えてみても、何処まで歩けば、その一歩になるのだろう。 矛盾している、私の生きる術。 鉛筆のような人生。 これだけ生きても、芯の色はまだまだ薄く。 消しゴムで消されてしまうような。 周りが暗すぎて、自分の文章さえも見えない。 私の残りの鉛筆は、あとどれくらい綴れるのだろう。

文【おやすみなさい】詩

寂しくない 淋しくないと 自分の心に 嘘を言って 偽りの言葉に 言魂をこめる それから電気を消して 真っ暗闇の中で 窓の外の 弱々しい風の音に 耳をすませながら 今日も恐い夢におびえて 眠るんだ おやすみなさい その一言だけで 安心して眠れるのに 私は今日も 浮かばない願いを 何かに祈りながら おびえて眠るんだ

文【未だに私を縛り続ける】詩

雨粒 一つ 窓を叩くと 私の骨が 軋み出す 昔むかしに 怪我した場所が 忘れるな と 言うように 粉々にして 燃やしたはずの 苦い苦い 思い出が 火を消すはずの 水と共に 蘇る 痛い 痛い と 歯を食いしばって 辛い 辛い と 服を掴んで 骨が軋むたびに 耳が動く ぎゅうっと 目を閉じて 自分だけの世界に 身を寄せても 街の片隅で 骨の軋む音がする そっと まとわりついてくる 窓を懸命に叩いている雨粒に この音もかき消されてしまえば良いのに 昔むかしに 怪我

文【僕は今日も見苦しく足掻くんだ】詩

全てが嫌になっちゃうよ 愚痴ばっか吐いて楽しめない人生 全てが嫌になっちゃうよ 好きなことに費やせない人生 弱音を言って 心を休めても 次の日にはまた傷だらけ 体内が悲鳴を上げている 目から水も溢れてる それでも生きる道を選び続けてしまうのは 不思議で不可解 自分でも理解出来ない なんで? なんで? なんで 全てが嫌になっちゃうよ 愚痴ばっか吐いて楽しめない人生 全てが嫌になっちゃうよ 好きなことに費やせない人生 答えが出ない悩みに囲まれて 次の日もまた新しい悩み

文【それでも】詩

戦って 闘って 負けて 勝って また負けて 終わることのない試練に挑み続けて ぼろぼろの身体を引きずって 心を削って 感情を失って それでも立ち上がって また走り出す 僕を突き動かす この衝動は何なのか分からないけれど 気持ちが悪いほど 僕の中を這い回り 動け動けと急かしてくる 焦っても良いことはないだろうにと 頭の何処かで冷静に考えているけれど 戦って 闘って 負けて 勝って また負けて 終わることのない試練に挑み続けて ぼろぼろの身体を引きずって 心を削って 感情を

文【紅葉みたいに染まりたい】詩

心にぽっかりと空いた穴 塞がったと思ったけれど 気付かない振りをしてただけみたい 冷たい風が穴を通って 軋むような音を立てる 触れられたくないと手で覆っても 指の隙間から容赦なく入り込んでくる 気付かせないで 音を消して そんな訴えも虚しく 風に舞う落ち葉のようには まだ美しくなれない いつかまた 紅葉みたいに染まりたい

文【命の芽吹きが感じられる頃には】詩

頬を撫でる風にあなたを思い出した 優しいけど少し冷たい 気が付けば何処かへ行ってしまう そんなあなた 思い出さないように引っ越したのに まだ忘れられないみたい 複雑な感情に足を取られた私の心には 一足早い冬がある 早く春みたいな人に出逢いたい 秋のようなあなたじゃなくて 私の寒がりな体内を 守るように温めてくれる人に 枯れ葉を眺めながら まだ焚き火の残り種のように燻っている熱に 冷たい水を流し込む あなたを過去にしようと 纏わりつくものを振り払うように 精一杯 力を