![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/135179645/rectangle_large_type_2_eed7927b7705b7319d0b8ce8ca1129e8.jpeg?width=1200)
【孫子の兵法・その4】政治理念や国家目標がしっかりしていないと、内部から崩れていく
戦争を検討するときは、五事を考慮し、実情を計り比べるのだ。
五事の一は道、二は天、三は地、四は将、五は法である。
道とは何か。
それは、国民と君主が同じ意志を持つかどうかという、政治的条件のことだ。心が重なれば、生死を共にすることが出来、危険を恐れなくなる。
天とは何か。
それは、昼夜や晴雨の明暗、寒暑、季節など、時期的条件のことだ。
では、少しずつ解説してまいります。
「道とは何か。それは、国民と君主が同じ意志を持つかどうかという、政治的条件のことだ」という文について
ここで言う「道」は、儒教的な「人の道」とは違います。
「国民と君主が同じ意志を持つための道」であって、「上下が一体となれる理念や方針、組織が一丸となって進んでいける目標」のことです。
それは、戦争以前に求められる国家統一力の軸と言えます。
これら政治理念や国家目標がしっかりしていないと、内部から崩れていくことになります。前戦で戦う兵士たちとしても、方針や方向性が分からなければ、心を重ね合わすことが出来ません。
心が重ならなければ「生死を共にすることが出来ず」、「危険を恐れなくなる」どころか、いつでも逃げ出したいという意識レベルの低い状態に陥ってしまうでしょう。
道家の老子では、「道」を天地自然の原理としています。孫子の兵法の内容にも、老子的な哲学が随分入っておりますから、道は集団を統一させる原理と解釈出来ます。
特に政治に統一の原理が欠けていると、いくら兵器を揃えてあっても、いつの間にか侵略され、とうとう亡国に至ります。
そこで、「まずは、同じ意志を持つことで政治をしっかりさせよ」と教えるわけです。戦略や戦術の話は、それからとなります。
![](https://assets.st-note.com/img/1711444736120-UMjyZzSqXx.png)
「天とは何か。それは、昼夜や晴雨の明暗、寒暑、季節など、時期的条件のことだ」という教えについて
「昼夜や晴雨の明暗」は、原文では「陰陽」です。昼と晴れは陽、夜と雨は陰です。戦闘は屋外で行われるのですから、この陰陽をしっかり把握しておく必要があります。そういえば、ロシアに攻め込んだナポレオン軍が敗れた理由の一つに「冬将軍」がありました。
61万人のナポレオン軍兵士の内、ニーメン川を渡ってロシア領内に入ったのが47万5千人、何とかモスクワに入城したのが11万人でした。
ロシア側は、モスクワをもぬけの殻にさせておき、しかも大火が起きた(起こした?)ので、占領地から食糧や物資を調達出来ない状況でした。
フランス軍は、退却を余儀なくされ、帰りは冬将軍の寒さと雪に襲われこともあって、ニーメン川を越えられたのは、僅か5,000人だったのです。
孫子が愛読書であったはずのナポレオンも、「陰陽」の把握を忘れて“神通力”が消え、失脚へ向かいました。天に見放されるとは、まさにこういうことを言うのでしょう。(ナポレオン軍兵数の出所は「カラー世界史百科」平凡社→「最新図説世界史」浜島書店105頁)。
戦闘ばかりが戦争ではない。
軍隊の前線への移動、戦地へ送る食糧や物資の調達(兵站)などを考えますと、季節や気候など「天」を常に意識しておかなければなりません。
今日も、経営であれ選挙戦であれ、陰陽・寒暑・季節などに注意が要ります。スポーツの試合も同様です。時期的条件に適った先手準備は、想像以上に現代でも必要なことなのです。(続く)
【勝つための思考と行動~東洋の英知「孫子の兵法」】は、現時点で書籍化しておりません。
そこで、noteの『定期購読マガジン』機能を活用して記事を配信させていただきます。2年間で読み切っていただけるように鋭意努力して参りますが、月4本は必ず配信させていただく所存です。
どうぞよろしくお願いいたします。
![](https://assets.st-note.com/img/1711444814872-lKrec3kG2q.jpg)
▼ご好評にお応えして、4月に「側近學」を開催‼️
事は一人から起こるが、一人では進みません。
一人のままでは精神エネルギー場が起きず、充実した活動に至りません。
しかし、側近やナンバー2が一人現れたら、トップと側近の間に「関係性」が生じます。
そして、その関係性が「場のエネルギー」を起こし、世の中に働き掛ける活動力が養われるのです。
トップにとっても、ナンバー2にとっても必須の「側近学」講座にお誘いいたします!
▼林英臣YouTubeチャンネル!「ヒデぢい」5回目
治療することを、大和言葉で「手当て」と言います。
手から「氣」が出ている!
古来、日本では、手を当てることで治してきたのです…
チャンネルご登録も宜しくお願いいたします (^ー^)/
▼メールマガジン「林英臣の元氣メール」のご案内
世界はどう動くのか、どうしたら日本は甦るのか?
そして自分の役割とは何か?
多数の志士政治家を育成し、全国の若手経営者を勇気づけているコトダマを、毎週1~2本配信しています。
メルマガ「林英臣の元氣メール」に、ぜひご登録ください。https://www.mag2.com/m/0000149323
![](https://assets.st-note.com/img/1711445578053-hoqqLMHAxo.jpg)
◆林英臣(綜観)が全国各地で熱講!◆
◆講演お問い合せはこちらから→
http://www.hayashi-hideomi.com/request
ここから先は
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/128393107/profile_7b3a2f0d33a41a3ba5593225c41e9eac.jpeg?fit=bounds&format=jpeg&quality=85&width=330)
🔥勝つための思考と行動~東洋の英知「孫子の兵法」
東西文明が交代期にある今、国際政治も会社経営の現場も、鎬(しのぎ)を削る戦いの場となっています。食うか食われるかの陣取り合戦が起こっている…