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宮沢賢治「ビジテリアン大祭」菜食は主義or信念?多様性を考える👉読後感に浸る夜byベジタリアン管理栄養士🌔
食の選択と共生の重要性(つまり多様性を認め合う社会との現在のギャップ)を描いた物語。主人公がベジタリアンの大祭に参加した話です。ベジタリアンでない人も新たな視点が得られる作品だと思います。
ベジタリアン、ヴィーガン、プラントベース食に少しでも興味のある人はぜひ一読すしてほしいおススメ本です。ノンベジの人にもぜひ!
宮沢賢治の童話は、子供向けとは思えないシニカルな顛末で終わるものも多いですよね。
私はこの本の最後の場面が好きでした。自分の意見を通そう、相手を言い負かそうと躍起になっている人達の滑稽さを俯瞰しているような結末により、何とも言えない読後感が残されます。
この本は、童話に分類するには使われている言葉も難しいし、内容も時に過激で子供に向いた児童小説ではないです。
ベジタリアンの擁護派と過激に批判する人たちが交互に演説していきます。ベジタリアンやヴィーガンの人なら一度は受けたであろう批判の言葉が本の中に見つかるでしょう。
100年近く経って飛行機が飛びかい、AIが生まれても、人間の基本的な思考は大して変わっていないことに驚きます。菜食を選ぶ人たちの理由も、当時とほぼ同じ。
有名な「雨にも負けず」にも書かれている食事の内容からもわかるように、宮沢賢治は厳格な菜食主義者になりました。病を治そうと思って家族が彼に内緒で動物性食品を取らせようとした時にも、絶対に改めなかったというエピソードが残っています。
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菜食をする人たちは、この本の中で自分たちを表すvegetarianを訳す際、「菜食主義者」というより、「菜食信者」と呼んだ方がしっくりするかもしれないと言っています。この気持ち、少しわかります。
「なぜ、肉を食べないんですか?嫌いなんですか?」と、シンプルに聞かれたら、私は「そういう主義なんです」と答えています。でも、本当は「そういう信念で生きることを選んだんです」と言いたいのかもしれない。そういう私の中のモヤモヤをうまく言葉にしてもらい、少しすっきりした気分になりました。
アメリカでもニュージーランド(住んだことがあるのはこの2つの国なので)でも、ベジタリアンだと伝えた時に「肉が嫌いなの?」なんて質問は一度もされたことはありませんでした。好き嫌いの一種だと思う人がまだ大勢いるのが日本の現状です。
欧米ではベジタリアンが何なのか、多くの人が理解している上に多様性を認め合う風潮が根付いています。100%多様性が認められているわけではないが、日本よりは遥かに先を行ってます。
内心、受け入れがたい主義だと感じた場合でも多様性を認めない社会は、自分も生きにくい社会になるので黙って受け入れるのです。いろいろ分類していれば、そのうち少数派:マイノリティーになることは避けられないですよね。無理やり、自分がしっくりしない生き方を選ぶのは苦しいですよね。どの分野においても、無理して大多数に合わせるのはしんどいです。だから、多様性を認める社会は、居心地の良い社会なのです。
宮沢賢治が亡くなったのは、1933年です。結核は予防も治療も出来る病気になりましたが、ベジタリアンへの理解はその当時とあまり変わりありません。
彼が亡くなってから「ビジテリアン大祭」は出版されたようで、紛失したページもある作品ですが、ぜひ読んでみてください。
多様性を実現するには、日本はまだ先が長い道のりになることを予感させる読み物でもありました。ベジタリアンにとっては、じんわりと心に残る作品の一つです。
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読んでいただいてありがとうございました💖
ベジタリアンへの理解が深まりますように💛
はつみ|プラントベースの栄養と料理@ベジ広間の縁側
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