あのままあの職場に留まっていたらどんな人生だったのだろうと、時々思う。それなりの役職に就きながらも、週末に音楽と文学を楽しんでいたはずである。けれど辞め時を逸したと悔いていたかもしれない。しかし人生に正解はない。いや、どれも正解なのである。比較の無意味は自己にも当てはまるのだ。
退職後に困ったのは、収入。物書きだけでは食えずにバイトを探した。といってできるのは電車整備。他職種に応用が利かぬと思っていたが、それはまったくの間違いだった。玉掛け、クレーン、フォークなど操作できるし、強弱の電気的知識がある。けれどいろいろな経験がしたくて、様々なバイトをした。