ほつほつと降り積もる幻想 ここは夢の中 触れることのない現実 手を握り返す手 夢から覚めても ほつほつと降り積もる温もり ここは夢の中? なぞる輪郭と絡める手 夢のような輝石 微睡む 微睡む いつの日か描いた夢 雲間から差し込む光 目も眩むような暖かな日差しに染まる
それがどれ程の想いだったのかを あなたは知らない。 それがどれ程の事だったのかを あなたは知らない。 過去は今に。 死の背は今も。 焦げるような想いもあなたには届かない。 焼き付くされるのはいつだってこの身で。 阻むこの壁もいつかは開きあなたのもとへ逝く。 千手岩菲の花
見えないのならこの目は抉れてる 聴こえないのならこの耳は切り落とされてる 触れられない人に触れようとする私を あなたは嘲るでしょうか 人を信じられない私が人を信じようとするのを あなたは蹴落とすでしょうか 飛べない鳥が囀ずる 私の帰る場所はどこだ 翼捥がれても 檸檬の果実
儘ならない衝動と悲哀 ベルが鳴る 時計の針が止まらない 心臓の音 メトロノームで量る もうまもなく 予感がする 足音が聴こえる 耳を塞いでもハートは病まない ダムが決壊するのも時間の問題 震える手で掬い上げるものは。。 目を瞑ればマジェンタとコバルト 鍵は壊れた あとはただ
心の内 巻いた種が芽吹きますようにと 祈る どうか どうか 花開く日は来るだろうかと 心もとないこの足を動かす いつか見た 満ちた月 追いかけて 追いかけて 届かないと不思議に いつか届くのだろうと疑念も持たず 死に絶え断ち斬られてもなお 種は種 芽吹く形をすでに知る
天の水が焦げるほどに祈ろう 今この日この時 すべての祈り手が愛を抱えて微睡む ドウカオモイトドケ 願いの先 糸紡ぎ 願いの咲き 意図紡ぎ 心穏やかな人も 心忙しなき人も 天を仰ぐ この時 この瞬間 ひとつなぎ 叶わぬ想いも叶うはず すべては天のもりの中 その腕に揺れ
ぱらぱらと言葉が降り降りる 拾い集めてふわりと繋げる 意味の無いそれらが意味を持ち 私に知らせる 知ってるかな あなたがどれだけ愛知らしめたか 知ってるかな 君がどれ程愛溢れきたか 示し召せ あらゆることのなかに それは もゆる 尽きること無くきらめく 綿帽子 ふわり
坂の上のいろは 未だ鮮やかに血の色 坂の上のきみは 未だ愕然と朱に染まる 震える手 吹き出す赤 固まる心臓 凍える声 囚われの白 悲鳴と悲鳴 沸き出す慟哭 ブラックアウト 背負うならばそら カラカラと墜ちゆく 血に染まる空を見ていた 地に伏す自分を観ていた きみのそら
肩に落ちた羽 砂塵に削られ行く色 赤い目の鬼 枯れない涙と 波と波の間の幸福 沈まない月は欠ける 月が見てる 僕を見てる 陽の光を見た 日向を影が覆いくる 宵闇の中 探る手には何も触れない 月が見てる 僕を見てる それでも僕らは日向を探して歩く 君の匂いのする方へ
あなたに逢えてどれだけか、私が幸せを享受しているか あなたに出逢えたことどれだけか、神様にキスを贈りたいか 雨が降るようなキスを降らす あなたに逢えてどれほどに、私が当たり前のように哀しいか あなたに出逢えたことどれほどに、私が神様を呪わしく想うか あなたは知らない
艶やかに溢れるそれは色を撒き 夏の夜の花火のように弾け咲く 彼岸花 かの色彩を 揺らめかせ 揺蕩わせ 褪せんとする 散り逝くその刻まで 葉も無きその詞 迷いなく逝くだろう チリチリと火花散らし 燃え揺る黄金の色 その身の絶える時 ふわりゆらゆら 確かにそれは放たれる
花が咲くように 死は咲く 掬い手のように 摘む手のように 花が裂くように 死は裂く 救い手のように 積む手のように 見慣れた姿を眼の裏に 見知らぬ顔を目の前に 待つ手もあらば 迎え手もあらば 送ること 去ること 赦すこと 揺られ子らよと 天からの導は 続くみちては
ひっくり返したおもちゃ箱 これは不安 これは焦燥 拾い上げては投げ棄てて 感情の海に溺れてく 傷む心 痛む体 抱えた爆弾持て余し 右手にはライター 左手には導火線 いかりの子 本気のいたずら 罰ゲームはもろともに 三つ子の魂百まで 罰ゲームは これから これから
しとしとと 雨は降り来る 死と死とと 飴は降り来る 足音を鳴らし 影を落とし 夏の終わり 秋風が運ぶ 寒々しく 粛々と 帰らずの川 岸辺には船 じくじくと 雨に熔ける じくじくと 飴は溶ける 枯れた地を 炙るため 渇れた喉を 潤すため 黄金の光 向こう岸 果て迄
はるまちぼうけ 黄色いかさ まあるい帽子 缶かんのあめ玉 溶けちゃったチョコレート お布団はがして ふかふかのタオル このままのんびり お日様はぎらぎら ピクニック いついくの はるまちぼうけ ぶかぶかのくつ でっかいリュック 準備できたよ お日様だけ あつい
時を止めて この瞬間 ここにある空気 儚いいろは 孤独に堕ちた 爪先の先 ここだよと手招き 灯火が灯る 茂る棘の荊も 歩こうか 歩こうか 灯火が揺れる たゆたう鼓動 小さく虹がかかった 言の葉越えて 心灯る 拙い声は 何処まで届くか 唄え 蛇も食べない 野茨の花
泡沫の夢 キミにはいつものこと さじ加減は角砂糖の数だけ溢す わらうこと なぐさむること いとおしむこと さらうこと 白紙の広場に色を垂らしては鮮やかに にじむ水跡を詠み上げる 錦糸を蔦って撚り上げるは 紡ぎの唄 裾のあと 楔の穿ち 香の残り香 黒い爪 空描く言葉
晴れた空からの どしゃ降りの雨 全身ずぶ濡れの どしゃ降りの雨 あの日の雨がなければ 私はなかずに済んだだろうか 曇り空 暗雲立ち込める 私は君と笑ったろうか ひとりなく 空の広きこと 言の葉なく 雲の蒼きこと あの日の雨宿りが 私を変えただろうか 見上げるばかりの空日
そっと かいなに いだかれ ゆられよ 揺籠 哀しみも 怒りも 憤りも 子らよ つぶさに語りかけ ふるえて還れ ななし子のこころ みなし子のうつつ やすらかであれよと コウノトリが唱う そっと かいなに いだかれ ゆられよ Lullaby ひとつぶ種を遺し 来る刻まで
足もとを観やる 素足 天を仰ぐ 地表が遠い 沼地には蕀 砂地には硝子 歩けども 歩けども 右手には氷の杖 左手には諸刃の剣 溺れるように喘いでは 慟哭響くのみ 誰ぞ観てはいまいか 誰ぞ此処まで堕ちては来まいか 干上がった空気 飲み下すがごとく ちの果てを只待つのみ
鷹の爪 紫陽花の花びら 柊の実 くちなしの花 薔薇の蕾 百合の雄しべ 真っ白なミルク 暗褐色のブランデー 叩き砕いたカカオ あの日みつけたココナッツ 最後の仕上げ、 魔法の呪文と僕の全部 君にあげる、チョコレートのレシピ
薄紅色 桃の香 いろは歌 わらべの声 夏の空 君を見つけた 赤い眼の俺 神様は知らない 無垢な心 無邪気に笑う 君は知らない 君は知らない 俺がどれほど意地汚いか こんなこと 知らなくていい 知らないまま ただ ただ 俺が君に掬われたように 俺が君を救いたいと
甘やかな香り立つ ふわふわのパンの耳 しとしとと落ちる 珈琲の褐色 甘やかに香り立つ 朝に透ける君の髪 しとしとと落ちる 「おはよう」の言葉の色 はちみつは これくらい ミルクは いらない 暗がりから引き上げた手と手 睦まじく 今日もあふれる 砂糖の要らない毎日
山積みのがらくたを掘り起こしている 掘れども掘れどもがらくたばかりの山を 切り崩している 虚ろな眼 がらんどうの体 嘆く間にも雪崩は起き 雀がちゅんと鳴いた 立ち上がり 目を覚ませ 空を仰ぎ 骸を踏め 雷よ 薙ぎ払え 震えるこの手を穿ち 叫びよ喉を裂き 咲き狂え
艶やかに彩る 君の瞳 儚くも瞬く その刹那と刹那 夢のような時間 ひとときも漏らさない 欠片と欠片 差し出しあって 幸せの余韻を手繰る まるで繊細な糸を紡ぐように 果肉に護られた君を 刺ごと食べたいと言ったらどうだろう 咲き誇るのは 孔雀仙人掌 ずっと君は僕のもの
真夏の夕べに狂い咲きの桜 咲けば散ること知っているか 絶望的に愚かな私は 底無し沼でも笑えるか 病窟で膝を抱える いらぬ命なら焦がれ死にたい しょうしんに身を委ね 転げ堕ちる先は。 夢であれたら知らぬ振り 欲をかくなら世迷いごと 振り子は揺れ 砂時計が鳴る 松毬薊の恋
桃の花 かける頃 白羽の矢 君を撃つ わらべ そぞろ集う中 錦の色濃く 衣羽織る 君が拐われていく 鬼子の俺 その細い首に手をかけ 俺の首を縄で吊った
この身体で混じり逢う 君と私 この心は 解け合いながら この身体で交じり合う 君と僕 この心が 溶け逢うことはなくて 真っ白な頭のなか ぷかぷかうかぶ 連れ去るのは霞の向こう このひとつの身体 いくつもの心が不粋で 誰もいない世界に 何処かに連れて行きたくなった
咲かない花の名前を聴く 薄氷の向こう 手と手を合わす 指でなぞる輪郭がもどかしくて 君の事が知りたくて 重なる身体だけでは物足りなくて どうにかしたくて手を伸ばす 咲かない花の名前を聴く 薄氷に映る眼を その色を すべてを食べてしまいたくて ボクだけのために生きてほしくて
海岸沿いを歩く 波打際にはまだ遠い 潮の香りが鼻腔を擽る 夏が来たことを知る 白波に誘われるように近づく 夕暮れ時 君の香りがした気がした 焦げるような想いも 今は凪 いつだったか君とした約束が もう終わりなのだとわかった じゃあまたねって たぶん、明日も君は僕と会う
積み上げたいしを足掛かりに 君は渡る 拙く 危うげに 儚く 朧気に それでもそれが現の場にあるならば そこがあが生きる場 夢の場に堕ちようと もがき いきをし かえろうと あがあれと いしの場 崩れようと また積み上げる 滑稽で うつろで うろんで 幼稚で ひとよと
SLANG SLANG 呟くよ 君の名を もう逢えないと解りたくない人がいて あんたをおもちゃにした からかって からかって 告白させて 突き放した 手を振り払って それでも あんたが私の手を取っていたら、、 面倒くさい女 感情任せの嘘泣きも 本当の涙になったろうか
蒼い空からふる雨の色は白灰 茂る翠をも染めゆく 遠雷 黄金に空気を染め ひたりと時を留める かえろうや かえろうや 地鳴りはついぞ、やっては来ぬ あまねくこと 聴き漏らすまいと 天音くそら言 呟き漏らすまいと その瞳を美しいと想う この声も稲光りは拐う
重なる手を 解いたのは誰だったのか 紡いだ時を 手離したのは誰だったのか ふたり あの時のまま 結んだ手 去りては時にまみれ 現 夢の在り場のみ 重ねては還すものも無く ふたり 寄り添いの場 さがす さがす ここに在ること ただ其のみぞをしる わたし舟と こうりょう
振り撒く言伝てに 来よ見よと 虫が鳴く あれにこれに さざ波たつ心 不知火の言の葉 声なき声 眼なき涙 還ろうや かの人のもとへと 孵ろうや かの地から麓へと 跳立つには早すぎて 留まるには時もなし さわさわと虫は鳴く あの道を逝こうや 時 幽かに震えれども
聴け 月下光 とどまること罷り成らん 紡げ 紡げ 紡げ 謳え このちの果てを 踊れ 瞬きの間に誇らしげに 刻め 刻め 刻め はやる鼓動 秘する事もなし きょうかい とかす事有るまじき ただ潜めよ しづしづと 水泡 恐れざる 産声をあげ想い遂げよ 月下香
拙い葦 零れ落ちる記憶 暗やみの中 対峙する 私を観る眼 しづかしづか 君の話をしようか どれだけ手を伸ばしても 君と私は雑ざらない 君の持つ記憶が 私の手から離れたように 君の心も 私のものではなくなった 射抜く 君が静観している 私は君の働きに値するだろうか
燦々と降り積もる この世の叡知 光る粒 暗がりから顕る 津々と溢れ出る 空と大地を結ぶ糸 爪弾く 音となり波紋となる 歓びよ 謳え 無数の星ぼしから産まれる詩を 雨のごとく降れ 陽射しのごとく射せ あられもない衝動よ ここに至るまでの積雪を溶かせ 彼方からの声よ響け
ひとは ひとしずく せに なをかける しづく ものいい なのることもなし ひょうじょうに いずる かけるは こころ においたち かわもながるる せにせを よるべ つきあがる そらへ 旅人は見た 今生の空 浮世の通り路 幻夢の道標 足跡に花を散らし ひとよと すべる
陽 燃ゆるは 袖にしたあの日の色 波と凪 対しては 暮れ往くまま 焼け野が原 佇むこと 否 灼熱のまま 灰晒しのまま 焦げ衝いた心 曝し 吟え 銀鼠の涙 赤朽葉の髪 這いずり廻ろうとも 諸共に逝ずる日まで 命 萌ゆる日まで
消えてた顔が消えなくなって 網膜の裏 金色にひかる この感情に名前を付ければ きっと私は死んでしまう 手の震えは止まらないまま 嘔吐く 脳内が侵略される 死んでしまう 死んでしまう 止まらない衝動と 訳のわからない感情と 黒く塗り潰された何かと 死んでゆく 死なないで