1740年製グァルネリ・デル・ジェス「イザイ」をセルゲイ・ハチャトリャンが弾いたイザイ「無伴奏ヴァイオリン・ソナタ全6曲」が素晴らしい。作曲家自身が長く愛し、葬儀の際にはクッションに載せられて棺の前を行進し、ミュンシュやスターンが所有していたという伝説の名器の響きが堪能できる。
この世界にはまぎれもなく天才がいて、イザイもそのひとりであることに異論はないだろう。無伴奏ヴァイオリン・ソナタ。もしもヴァイオリンを始めた幼い頃に出逢っていたらヴァイオリニストを志したかもしれない。生き方を変えるには出逢うのが遅すぎたがイザイは私の人生に寄り添い続けてくれている。
ダヴィンチが描いたヨハネのような不敵な笑みが漏れるAugustin Hadelichの至高の業。天才にとってこの楽曲は奏でる愉しみしかないのだろうと思わされる。もはや羨望など無為に思えてくる、ただただ清々しいまでの爽快な憧憬。尊き才。https://youtu.be/qwURbkxB4SU